「pidetään kahvitauko」って、どんな意味?
実はワタクシ、3年前から昨年の夏までルプチメック(現・レフェクトワール)さんのサイトで月刊コラムを連載していたんです。
3年前。記念すべき第1回目のコラムタイトルが「コーヒー休暇のススメ」。
「フィンランドのコーヒー休憩」について、小さなお話を綴りました。
朝起きて、通勤の途中で、仕事先で、帰り道で、帰宅後に、夕食後に。
誰かとともに、誰かを招いて、ひとりの時間に、愛する人と、街で、森で。
1日に何度もコーヒーを飲む。
この回数の多さと心地よい生活のリズムは、「コーヒーと過ごす時間」そのものを大切にする、フィンランドの国民性が自然と作り出しているように感じる。
例えば、
「1日に2回以上のコーヒー休憩時間」が、会社の規則にきちんと設けられたりしているのも面白い。
コーヒー片手に仕事に追われ、熱中しすぎて後半のコーヒーは飲まずに終わっちゃった、なんていう我々の過ごし方とはちょっと違うのだ。
だからと言って、「コーヒーを飲む」行為自体は特別なことではなく、歯を磨いて顔を洗うくらい日常的なことであり、日々繰り返される当たり前の習慣に過ぎない。
大事なのは、その「コーヒーと過ごす時間」をきちんと楽しむことにある。どういうわけか私には、彼らがコーヒーと過ごすその時間が、コーヒーブレイクというよりも、コーヒーと過ごす「小さな休暇」という印象を受ける。「わざわざ計画しない小さな休暇」
その休暇を1日の中に7度も8度も、ごく日常的に作ることができるフィンランドの人たちの潜在能力を、私はとても尊敬しているし羨ましくなったりする。
こんなお話を綴っていたんですねえ。懐かしい。
そもそも社会制度として、「コーヒー休憩」が設けられているところがフィンランドらしくて羨ましくて、このコラムを書いた記憶があります。
ということで、
今回は、istutオリジナルエコバッグの名前「pidetään kahvitauko 」について紐を解いてみたいと思います。
「kahvitauko」
このフィンランド語をそのまま分解すると、「kahvi」はコーヒー、「tauko」は休憩。つまり「kahvitauko」は、「コーヒー休憩」という意味になります。
日本だと「コーヒーブレイク」の方が親しみのある呼び方ですかね。
先日のnoteに書いた通り、この「コーヒー休憩(kahvitauko)」という言葉は、今回のエコバッグの名前にどうしても入れたかった単語です。
コロナのイタズラで、世界がこのような状況になることなど、まったく予想もしていなかった3年前のコラムで、偶然にも「フィンランドの kahvitauko」について書いていたことは、不思議な縁のようなものすら感じますね。
素敵な内容でistutを紹介していただいた「日めくりフィン語辞典」でも「kahvitauko」について取り上げられています。
「なんだか退屈でダルイなあ」
「ミーティングが行き詰まってイライラしてきたなあ」
ちょっとその場の空気を転換させたい、一旦頭を冷やしたい。そんな時の溜息交じりの「コーヒーでも飲もっか」。マイナス方向のその先にあるコーヒー休憩。これも、確かに「kahvitauko」ですね。
でも。
せっかくならば、ポジティブな「kahvitauko」がいいなあって思うんです。
難しい作業をギューってやり遂げたり、大切な手紙を書き上げた後など、「さーて、コーヒーでも飲もうかな!」と席を立つ時ってありますよね。自然と笑顔になっている、ポジティブなコーヒータイム。
そこで、選んだフィンランド語が「pidetään」です。
「pidetään」
このフィンランド語は、
「~でもしようよ!」という誘いかけの動詞です。
つまり「pidetään kahvitauko 」を直訳すると、
「今こそコーヒー休憩をしようよ!」という意味になります。
こんな時だからこそ、
疲れた気持ちを休めたり、負の考えを切り替えて、「さあて、コーヒー休憩でもしましょうか!」と、少しでもポジティブな気持ちになれる時間を、皆さんに持ってほしいなあと思った私たち。
しかも、このバッグを作り始めた当初は、まだ緊急事態宣言下でした。
だからこそ。
いつの日かistutの店内で純粋に「kahvitauko」を楽しんで欲しいなあという想いや、皆さんの毎日の暮らしの中に積極的に「kahvitauko」を取り入れてほしいなあという想いも、このバッグに込めちゃいました。
istutのエコバッグの名前が「pidetään kahvitauko」になった背景には、こんな想いやストーリーがあったのでしたとさ。
めでたし。めでたし。
では、なぜサブネームが「さてさて」と「ぼちぼち」なのか?
50代になってのコロナ禍で、ヨレヨレ具合が加速している私たち。
「pidetään kahvitauko 」を、今の私たちに当てはめて訳すと、
「さてさて、コーヒー休憩でもしましょうか」
「ぼちぼち、コーヒー休憩にしますかねえ」
って感じになるんですよね。
焦らず、急がず、自分たちのペースで。
ぼちぼち、ぼちぼちと、歩いて行きましょうよ。
肩の力が抜けきった、istutからのポジティブなお誘いです。
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