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わたしが「人生を取り戻す」までの記録

私は今、オンラインカウンセリング・コーチングのプラットフォームを運営する「cotree」という会社で働いている。

今回は(自己紹介も兼ねながら)cotreeと出会い、「自分を大事にできている」「自分の人生をいきている」と感じられるようになるまでの経緯を、振り返ってみたいと思う。

成果主義の組織と「無力感」

先に書いてしまうと、私がcotreeの事業に共感し、メンタルヘルス・ウェルビーイングの領域に関心を持ち始めたのは、仕事に没頭しすぎたあげく心を亡くし、「自分の人生の舵を取っていない感覚」になったことがきっかけである。

そして、そもそもなぜ仕事に没頭するようになったのか?を遡ると、「成果主義」の組織に属した経験が影響している。

それは、大学時代に体育会チームでマネージャーをしていた経験だった。そのチームは強豪校だったので、集まっている選手は日本のトップレベル。そして学生といえども、大学という大きい組織から予算がつき、企業のスポンサーもつく。文字通り「日本一」を目指し、成果を出すために集まっていて、体育会特有の上下関係が存在する。ティール組織への5段階のなかでいえば、琥珀・オレンジあたりのようなチームだった。

女子マネージャーの仕事は練習のサポートや、企業でいうバックオフィスの業務。4年間、ハイプレッシャーで「個人の意思よりも、組織の成果」を追い求める環境で過ごした結果、もともとは「誰かをサポートするのが好き」という気持ちではじめたけれど、組織の「目標」にダイレクトに貢献できないしんどさに変わっていった。

最後の試合で日本一を逃した瞬間、一緒に夢を追わせてもらった感謝と同時に感じた大きな「無力感」。このコンプレックスに近いような気持ちが、数字に現れるビジネスの世界でチャレンジをしたいという気持ちに無意識につながっていった。

ネガティブな感情を押し殺して働く日々

社会人になって、スローガンという人材領域の事業会社、オーリーズという広告代理店で働いた。2社とも心から共感できるビジョンがあり、信頼できるメンバーが集まっていて、今でも大好きな会社である。

社会人になってからの仕事は、ただただ楽しくて仕方なかった。
価値観が近くて尊敬できる同僚や上司、常に新しいことに挑戦できる飽きない日々。そして、マーケティング領域で仕事をしていたこともあり、業務の結果はダイレクトに数字に表れ、組織に対する自分の貢献が目に見える状態。「いつオフィスに行っても石高がいる」と言われるほど没頭する時期もあった。

このとき、早く経験を積みたかったときの私は、自分のネガティブな感情が邪魔だった。もっと組織に貢献したくて、ただ淡々と働き、人よりも量をこなしたいと思っていた。

朝起きるのが辛くても、お腹が痛くても、身だしなみが雑になっても、人が同じ状態だったら心配するのに、自分の心配をすることができなかった。何日もネガティブな気持ちが晴れずに、ネットで「うつ病診断テスト」などを受けることはしても、「辛くない仕事はない」などと考えて辛い感情を一掃した。

そんなときに、調子が悪いことよりも堪えたのは、「自分の人生をコントロールできていない」感覚だった。

仕事を理由に大事な友人との約束を断ったとき、そして仕事に100%の時間を使い、自分の「やりたいこと」には時間を一切とれていないと気付いたとき。

「周りの人との時間を大事にしてきたはずなのに。」「一つ一つの選択を大事に選んできたはずなのに、どうしてこうなったんだろう?」

自分の選択の結果が、自分が望んでいない人生になっていることに、向き合わないといけないと感じはじめた。

cotreeとの出会いと、生き方の変化

cotreeと出会ったのは、2018年の9月ごろ。メンタルヘルス・医療関係の領域で仕事をしたいと思っていた私は、soarに掲載されていた記事を読んですぐに応募フォームをかき、副業で働かせてもらうようになった。そして2020年からフルコミットしている。

cotreeに入り、知ってよかったことが3つある。

1つ目は、心のバランスを崩すことはよくあるけれど、うまく付き合うこともできること

今まで、学生時代も社会人になってからも、周りには何人か心の不調を起こす人がいた。でも心の問題になるととたんに、本人は(場合によっては周囲まで)自分のことを責めたり、その問題に触れにくい空気がただよったりする。それが何なのかわからなかったし、どう接するべきなのかもわからなかった。

cotreeに入って、心の変化は、体調の変化と同じように自分で気付くことができると知った。そして自分のパターンを知ることで、周囲の心の変化にも敏感になれることを知った。

2つ目は、すべての感情が、自分の人生の舵を取るためのヒントになること
私はネガティブな感情を押し殺し続けた結果、自分の幸せ・辛さ、好きなもの・嫌いなものに鈍感になり、大事なものを大事にできなくなっていった。どうすればよかったのだろうか?

cotreeに入って、まず立ち止まって自分の感情に気付くことが大事だとしった。まずは気付くこと。そしてそれを言葉にできれば、助けを求められるし、具体的に手を打っていける。

3つ目に、自分の心・人生を大事にすることが、周囲にも良い影響を与えること。

これまでの自分は、「自分が幸福であるか」がまわりにどう影響するかなんて、考えていなかった。でも自分の状態・言葉は、明らかに伝播していくのだ。今年出会った本の一節を添えてみる。

人が精神を病む。それはその人ひとりの内面だけの問題ではない。もしかしたら、ぼくら自身が他人の「正常」や「異常」をつくりだすのに深く関わっているのではないか。
自分の「こころ」が人柄や性格をつくりあげている。誰もがそう信じている。でも、周りの人間がどう向き合っているかという、その姿勢や関わり方が自分の存在の一端をつくりだしているとしたら、どうだろうか。

引用:うしろめたさの人類学, 松村圭一郎 

cotreeに入って、自分の感情や「自分の物語」を共有することが誰かを救うこと、人との関係をより良く・深くすること。そして「自分の物語」は、人との関わりのなかでうまれることを、強く実感した。

2020年、変化の年

cotreeで多くの学びを得ながら、大きく変化した年だった。

オフラインのネットワークが遮断され、人との雑談が、移動の時間にある景色が、街の賑わいがどれだけ心を豊かにしていたかに気付き、どうしようもない変化のなかでどう幸せに生きるか、もう一度考え直した年だった。

cotreeの市況はというと、メンタルヘルスの問題が表出し、「心の問題」が徐々に話題になるようになった。世の中の多くのサービスはオンラインが一般化して、カウンセリングも、オンラインであることが受け入れられ始めた。
メンタルヘルスの領域は注目度が高まり、より多くのユーザーにご利用いただき、法人からcotreeにお声がけいただくことも多くなった。

2021年は、今年とも去年ともまったく違う新しい年。新しい環境で、cotreeのメンバーとまた新たなチャレンジを。そして、自分と周囲の人と真摯に向き合い続けるチャレンジを続けていきたい。


◆「cotree advent note」マガジンはこちら


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