【投資】1億総アクティビスト? - 『「モノ言う株主」の株式市場原論』(丸木強著、中央公論新社)
いまはちょうど3月末決算の会社の通期決算発表真っ只中。そしてこれから6月の株主総会シーズンを迎えます。そして、アクティビストといういわゆる「モノ言う株主」の動きも活発化、それに関する報道も今後多くみられるようになってきます。
『「モノ言う株主」の株式市場原論』
こうした中、著名なアクティビストの1人、ストラテジックキャピタル代表の丸木強氏による同書を読みました。
アクティビストというとどうしても敵対的なイメージもありますが、株主として経営陣に株主資本の効率的な活用を求める、至極真っ当な投資家です。どうしても資金力のある大手機関投資家の1つに思われがちですが、当方は「保有する株数に関わらず、株主であれば経営陣に対して必要なモノは言うべき」と思っています。もちろん、正式に株主提案をし、またそれが株主総会で採択される、あるいはそもそもモノを言っても聞いてもらえるかどうかは、そこは資本主義、規模が大事になります。それでも、そこまでの株数を持っていない個人投資家が、株主総会やそれ以外の場で株主としての意見や要望を言ったりする活動を否定されるべきではありません。
個人投資家といえども、会社のオーナーの1部であることにはかわりありません。どういう意識、課題を持って投資先の企業を見るべきか参考になる点が網羅されている内容でした。
最近では個人のアクティビスト活動も活発化
最近では以下のように、インフルエンサー?YouTuber?の田端信太郎氏が、自称"個人アクティビスト投資家"として、メルカリの株30,000株保有し(一定期間後株主提案できる株数です)、同社に対して長期に低迷する株価を改善すべく、米国事業からの撤退、そして株主還元の拡充を求めています。そして機関投資家アクティビストさながらに、その主張を展開するHPまで作成しています。さすがインフルエンサーですね。"まわりへの影響度の拡散のさせ方"がプロです(笑)
また年初に当方のnote("極小時価総額日本株投資 - 個人も「物言う株主」時代")でも取り上げていましたが、日経新聞の方も2024年1月16日の記事で、個人投資家からの株主提案も増えていると記事にしています。
これからは機関投資家、個人投資家に関わらず、1億総アクティビスト時代の到来ですね(笑)
経営陣からしたら、面倒な株主が増えることになるんですが、本来上場するとはそういうことです。外部の株主にとやかく言われたくなければ、非上場化すればいいだけです。
自分はどちらかといえばエンゲージメント
そんな私は、これまで何度かこのnoteでも書いてきたとおり、アクティビストほどは強くはないんですが、時価総額の小さい企業の株を多めに保有し、株主提案まではしなくとも、株主総会等で株主としての要望・意見を言ったりしていく、緩めのフレンドリーな対話を志向して投資をしています。対話型、エンゲージメントと言ったりもしますが、それよりも緩めかもしれません。ダメそうならいつでも売ればいいや…って感じですしね。
ただ、いい企業には長期でガッツリ応援したいと思っています。どちらかといえば以前noteで"日本一の個人投資家"として紹介した竹田和平氏のようになりたいな、というのが当方の目標です。
いずれにしても、個人投資家だろうと機関投資家だろうと、株主として大いにモノを言ってもらい、経営陣に「上場している意味」を改めて問いただし、日本の企業の多くで株主資本をより効率的に活用してくれるようになればいいかと思います。