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あなたはサリー・ワイルを知っていますか?

1930年代くらいの日本の洋食創生期の話になると、時々みかけていた「ドリア」を生み出したヨーロッパからきた料理人のエピソード。その料理人こそ横浜ホテルニューグランドの初代料理長サリー・ワイル氏。その日本での日々をまとめたのがこの本です。

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横浜ホテルニューグランドでは「ドリア」をワイル氏が、そしてその弟子の入江氏が「ナポリタン」、その後にGHQに接種されている間には「プリンアラモード」が誕生しました。

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日本にまだフランス料理の文化がなかった頃に、スイスから来日し、日本に洋食の基礎・厨房での働き方・コースではなくアラカルトで楽しめるレストランのオープンを手がけ、戦後スイスに戻ってからは日本人料理人がヨーロッパにわたる手助けをしていたワイル氏。でも彼のことを知っている方はたしかにあまり多くはいません。

スイスに戻ってからは日本での輝かしい実績の甲斐もなく、料理人の職を得られず食品販売会社の営業マンになってしまい、病気で亡くなってしまうという最後を迎えた彼の痕跡を丁寧に調べあげた、読み応えのある本です。あとはスイスの傭兵カルチャーというのか、積極的に国外に出て経験をつみ自分のキャリアを形成していく文化的な側面も知ることができます。

テレビドラマ「天皇の料理番」が好きだった方はきっと楽しめる一冊かと思います。

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伝説の総料理長 サリー・ワイル物語(2015年、神山典士、草思社文庫)

【本日の朝食】

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豆乳ラテ、果物、焼き芋餡・小豆とドライフルーツの餡・栗の渋皮煮・ピスタチオ・ヨーグルトをのせたトースト

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