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視覚と味覚の不思議な関係性;グラフィックデザイナー向け教養

グラフィックデザインの仕事は広告やパッケージなど視覚に訴えかけるアプローチをコントロールすることで、欲求を生み出す仕組みを提案しています。しかし、そんなアプローチはなぜできあがり、どのように発展したのだろう?という疑問が浮かび、この本を手にとってみました。

著者の見解をまとまるならば「1870年代以降の科学技術の発展と工業化で、企業は色や匂いなどの感覚的な要素を数値化し再現することに成功した。さらに販売形態がセルフ化したことで消費者の嗜好に訴えかけることの重要度が上がった。」ということが、↑の疑問へのひとつの答えなんだと思います。

この本の面白いところは、その弊害として食品への着色・人工的な調味料による過度な味の再現といった、イメージに人が引っ張られすぎて、自分の五感で食品を見極められないことへの言及でした。

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そういえば・・出前寿司のお店を立ち上げていた頃、先頭で様々なクレームを処理していましたが「寿司とはこういうものだ」「マグロとはこういうものだ」というイメージや思い違いからのお叱りを多く目にしました。そういえば、割引クーポンをチラシに出すとその商品はあえて質を下げて出しているはずだ、と思う消費者が結構いることも、その後広告に携わる上での学びになりました。

あと、日本って江戸時代の浮世絵の頃から「東都高名懐石尽」(三代目歌川豊国、初代歌川広重)という有名料理屋50件と売れ筋の歌舞伎役者がコラボした販促物なんかも作っているんですね、知りませんでした。

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視覚化する味覚(久野愛、岩波新書)

【本日の朝食】

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花蕾とデコポンのサラダ、ビーフソーセージ・ラペ・紫キャベツサラダ、ほうれん草に玉子のソース、パンにて。

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