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未来人から見た時に自分たちは「よき祖先」になれているのか:お坊さんが翻訳者という点もポイントが高い本

未来の人からみた時に「あなたは良い祖先になれるのか?」ということをテーマに、短期的な思考よりも、長期的な思考でモノゴトを考える大切さを提案する一冊。

この手の本で時々みる変に危機を煽るわけでも、妙な上から目線でもない、すっと入ってくる文章なのは原著のこともありますが、翻訳者の方が僧侶の方というのもあると思います。

たしかに「未来志向」とか「未来を考えよう」ってフレーズは好んで使われていますが、この本の中に出てくるシカゴ大学の研究のように

未来思考の80%は当日または翌日
1年以上14%
10年以上先8%

という感じで、近い未来や自分の目が届く未来にしか意識は向いていないのかもしれません。

また、「近代産業時代の鍵となる機械は蒸気機関ではなく時計である」というフレーズも、時計があることが全ての産業はおろか現代の人の生活に密接に関係している、という意味ではとても含蓄のある視点だと思いました。

歴史という時間軸でみると、同じような過ちを人は繰り返しがちです。いま世界に起きていることが、未来の子孫たちから見た時に、あまりにも愚かだと思われるような結論に至らないことを願うばかりです。

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グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか(ローマン・クルツナリック、2021年、あすなろ書房)

【本日の朝食】

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ベーグルのオープンサンド:ヨーグルト・りんごバター・苺、ハム・パプリカマリネ・紫キャベツにて

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