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読書備忘録『江戸川乱歩傑作選』


またまた積読本を1冊解消したので備忘録を残す。
今回は江戸川乱歩の傑作選。


いつ買ったのかなぜ買ったのかも覚えていないがたまたま本棚の中からすっと呼ばれるように手を取ったのが本作だった。

江戸川乱歩は読んだことがなく、コナンくんの名前を決めるあのシーンくらいの印象でしか無い。

本作に収録されているタイトルは「二銭銅貨」「二癈人」「D坂の殺人事件」「心理実験」「赤い部屋」「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「鏡地獄」「芋虫」

発行自体かなり古いし、ミステリー小説はあまり読まないため読むのに大変かなと思っていたが、思いの外読みやすく各話スムーズに読みすすめることが出来た。

その中でも特に印象に残っている「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「芋虫」の感想を書いてみる。

「屋根裏の散歩者」

本作全体を通して、犯人を主点に描かれている作品が多い印象を受けた。
自分はあまり推理小説を読んでも犯人を当てる才能が皆無のためこういうスタイルの作品の方が楽しめる。
犯人の感情や思惑、周りの人物にばれるんじゃないかというドキドキ感を楽しむことができる作品で、今となってはよくあるけど当時は革新的な描き方なんだろうなと思いながら読んだ。

「人間椅子」

こちらはある程度最初から内容を予測することができたが、それでも気味が悪く背筋がゾクゾクした。
この作品からの3作は特に江戸川乱歩の独特な気持ち悪さを味わうことができて他の作品も読んでみたくなった。
あと最後の終わり方も安心するようで実はそうじゃないんじゃないかと思わせる終わり方で面白かった。

「芋虫」

タイトルは聞いたことがあったけど予備知識がなくて、本当の芋虫が主人公の話なのかなと思っていたら想像を絶する内容でマジで怖かった。
芋虫が耳が聞こえて、口がきけて、顔に傷が残っていなければここまで怖くなかったんだろうけど、
残っているのが視覚と食欲、性欲という限られたものだけで、それを自分一人で満たすことができないために自分がそうだったらと思うととてつもなく怖い。
そして妻の異常な欲望も怖い。
終わり方としては悲しいけど、あのまま生活を続けていたら妻がどこまで豹変するのか気になった。
四股を失いつつ生き残ったことは医学的には奇跡だったのだろうけど、本人や妻にとってはどっちの方が良かったのだろうと考えさせられた。



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