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No.221, 続・寛容ではないひとのお話『ええじゃないか!ええじゃないか!』

はじめに

物事や人の対して寛容ではない人っていますよね?


もちろん、それに気づく私は、自分の中にも 「寛容じゃないな~」といったことを自負しているからだろう。

そもそも寛容である(寛容性)ことと、寛容ではない(非寛容性)とはどういったことだろう?と考えていくと、物事や人がよく理解できないといった ❝曖昧さ❞ からくるものです。

つまり、❝そういった曖昧さが許せない人は寛容ではない❞ といった方がわかりやすいだろう。

Frenkel Brunswi(1954)は、曖昧さに対して非寛容な人の特性として、先入観、0か100(白か黒か)思考、早く結論を出す、ルールやパターンを重んじる、物事に固執するひとは曖昧さが許せないと定義している。

ここ最近のコロナ禍で騒ぎ立てる自粛警察や陰謀論者はこのような傾向があるだろう。

非寛容(寛容ではないひと)

① 友野(2010)は、大学生309人を対象に他人に対して非寛容な人のストレス状態について研究している。

研究によると、他人に対して非寛容な人は他人がよく理解できない場面では、話をしなくなったり、かかわり合わないような態度をとる。その結果、本人はストレスを抱えると検証されている。

② 吉野・小塩(2020)は外国人移住者に対しての寛容性と性格について研究している。

②-1 移住者に寛容があるひとは、 

●外向性(他人との付き合いで刺激を求める傾向)

●協調性(思いやりがあり協力的である傾向)

●開放性(知的好奇心、創造性、そして人が持つ目新しさや多様性を好む傾向)

●勤勉性(自己コントロール能力を示す傾向、忠実に行動する傾向、達成を目指す傾向、自発的な行動よりも計画的な行動を好む傾向)

と関係があり、

②-2 非寛容なひとは、

●神経症(心理的ストレスを受けやすい傾向を表している。怒り、不安、抑うつ、脆弱性(英語版)などの不快な感情を容易に経験する傾向)と関係がある。

類似した研究だと、交流や接触の経験があると寛容性が高くなることが示されている一方、深い交流でない場合にはより排外的になると言われている(永吉、2017)。

以上のような個人特性があると示唆される。

考察

これらの研究結果から神経質なひとは、本人が理解できない他人の考えや行動、些細なミスを許せない。

許せないが故に、関係性から距離を取る。
結果的に人間関係が希薄になり、より孤独化して日々ストレスを感じている。

日々起こるさまざまな物事(出来事)やヒトの考えや行動は一見すると矛盾(あいまい)に満ち溢れている。

一見そのように見えていても、深く調べたり観察すると矛盾(あいまい)ではなく、ある一定の論理やつじつまが合っていることがわかる。

これらの研究からいえることは「わかると、曖昧さがなくなり寛容になれる」といったことだろう。

しかし、昨今の社会は、SNSの台頭によりさまざまな情報が飛び交い、また社会情勢や経済のことなど研究者でも意見が分かれわからないことが多い(そもそも科学は万能ではない)。

そもそも正解などというものはない場合が多く、『結果』があるだけかもしれない。

調べてもわからない、理解できないものはしょうがないので、非寛容といったネガティブな行動や思考ではなく、江戸時代のように「ええじゃないか」でええじゃないかと思う。

ええじゃないか - Wikipedia

天から御札(神符)が降ってくる、これは慶事の前触れだ」という話が広まるとともに、民衆が仮装するなどして囃子言葉の「ええじゃないか」等を連呼しながら集団で町々を巡って熱狂的に踊った。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)


引用文献

Enright, R. D. (2001). Forgtυeness is a chotce.Washington, DC : APA LifeTools, American Psychological Association.

Frenkel-Brunswik, E. 1954 Further explorations by a contributor to “The Authoritarian Personality.” In R. Christie, & M. Jahoda (Eds.), Studies in the scope and method of “The Authoritarian Personality.” New York: Free Press. Pp. 226–275

長谷川真里(2014)「他者の多様性への寛容:—児童と青年における集団からの排除についての判断—」『教育心理学研究』第62巻、第1号、pp13-23

長谷川真里(2020)「異質な他者への思いやり─寛容性と社会的排除の発達」『心理学ワールド』第91号

加藤司(2000)「大学生用対人ストレスコーピング尺度の作成」『教育心理学研究』第48号巻、第2号、pp225-234

永吉希久子(2017)「日本の排外意識に関する研究動向と今後の展開可能性」『東北大学文学研究科研究年報』第66号、pp143-164

友野隆成(2010)「対人場面におけるあいまいさへの非寛容と特性的対人ス ト レスコー ビングおよび精神的健康の関連性」『社会心理学研究』第25巻、第3号、pp221- 226

吉野伸哉・小塩真司(2020)「日本における外国人居住者に対する寛容性と Big Five の関連 ─社会生態による調整効果─」『心理学研究』 第91巻、第5号、pp 323-331






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