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No,101.スマホ依存・ネット依存とコロナ (COVID-19)自粛について

コロナは高齢者こそが重症化しやすいのはもはや自明。

長引くコロナ自粛によってIT関連企業は軒並み利益を生み出しているみたいです。思うに、昔IT企業の申し子であったホリエモン(象徴として名前を出させてもらいました)を嫌っていた保守的な企業の方たちの多くは、高齢者になっている。

国(政治)は、そういった方々の健康を守るための対策だが、結果的にIT関連が儲かるという矛盾こそが世の中の摂理かもしれない。


記念すべき101回目は、ネット社会についてつらつらと書いてみる。(以下、ネット依存とスマホ依存は同様のものとして記述します)


背景

ネット社会と言われて久しいが、2008年にスマートフォンが発売されて以来、その普及率は急速に増加した。スマホ便利さについては今更って感じですが、端的にまとめると増加した理由がよくわかる。

● PC並みの性能でしかも持ち運べる

● 新聞も本もスマホアプリで全部読める

● 簡単な料理レシピなど調べながら作業が出来る

● カメラや動画撮影ができて、記録もできる

● カレンダーやスケジュール管理

● 動画が見れるので映画も見れる

など、便利さは言うまでもないですよね。

が、しかしその便利さ故にこんな社会現象も起きている👇

ネット・スマホ・ゲーム依存の問題が、新型コロナの活動自粛により激増し社会問題になっている。

先行研究を交えながら、依存に至る経緯や予防・対策についてレビューします。

依存とは

依存とは以下の6項目について、「過去1年間に1ヶ月以上,もしくは1ヶ月未満であれば繰り返して3項目以上が該当すれば依存症と診断される」

① 物質を摂取したいという強い欲望あるいは強迫感


② 物質使用の開始,終了,あるいは使用量に関して,その物質の摂取行動を統制することが困難


③ 物質使用を中止もしくは減量したときの生理学的離脱状態.その物質に特徴的な死脱症状群の出現や,離脱症状を軽減するか避ける意図で同じ物質(もしくは近縁の物質)を使用することが証拠となる


④ はじめはより尐数で得られたその精神作用物質の効果を得るために,使用量を増やさなければならないような耐性の証拠


⑤ 精神作用物質使用のために,それにかわる楽しみや興味を次第に無視するようになり,その物質を摂取せざるをえない時間や,その効果からの回復に要する時間が延長する


⑥  明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず,いぜんとして物質を使用する.たとえば,過度の飲酒による肝臓障害,ある期間物質を大量使用した結果としての抑うつ気分状態,薬物に関連した認知機能の障害などの害,使用者がその害の性質と大きさに実際気づいていることを(予測にしろ)確定するよう努力しなければならない

引用:WHO(世界保健機関)ICD-10(国際疾病分類第10版)

スマホ依存症


WHOの依存に関する定義は、従来の依存(アルコールや薬物)であって、スマホ依存に関しては医師によってさまざまな見解があるみたいです。

推測だけど、現在の日本でのスマホ依存数は271万人(100人に2人)といわれている。

ネット依存に関しては成人におけるネット依存傾向にある者は、271万人であると推測されている(大嶋・小田、2017)


スマホ依存がもたらすさまざまな問題


そこで、スマホがもたらす健康上の問題について調べると、

 特に問題視されているのがブルーライトの身体面への悪影響である。ブルーライトの放出量はスマートフォンが最も多く,眼や身体に大きな負担をかけると言われており,厚生労働省のガイドラインでも「1 時間の VDT(デジタルディスプレイ機器)作業を行った際には,15 分程度の休憩を取る」ことが推奨されている。。こうした過度なブルーライトへの暴露が健康な睡眠行動を損なうことが指摘されている(厚生労働省,2002)。

また、心理面でも

ブルーライトによる睡眠障害による影響として、香港の中高生を対象にネット依存と不眠症、抑うつとの内的関連性を検討した結果、ネット依存と不眠症とも抑うつに関連していた(Cheung and Wong、2011)。

と言われている。


スマホ依存の性格特性


どういった性格の人がスマホ依存になるのか?

八木(2017)は大学生のインターネット依存と性格特性との関連について調査し、ネット依存傾向が高い群は「外向性」「協調性」「勤勉性」「情緒安定性」が有意に低いことを認めている。

つまり、スマホを含むインターネットを利用する時間が多い人は、少ない人と比べて内気で協調性がなく、また自己管理が苦手で情緒が安定していない人らしいです。

この結果は、他の研究でもほぼ一致しているようです。

インターネット依存傾向の高い者は、「新奇な刺激に対して衝動的に接近するが、情緒的に不安定で不安レベルが高く、現実社会での他者とのコミュニケーションを回避する傾向が高い」ことを示唆している(岡安、2015)。


スマホ依存の予防と対処例(中山、2015)

では、仮に依存になった場合はどうすればいいのかについては、さまざまな対処法があるみたいです。


◉ 家庭

 ・若年のうちはなるべく高性能なインターネット機 器やスマートフ ォ ンの 所有を避ける


・パソコンやゲーム機は居間などの共有スペースのみに置く


・あらかじめインターネ ット使用時間に関するルールを作り遵守させる


・社会的活動(部活,塾,趣味 ・特技など)や家族でのレクリエーション などに参加する機会を多くもつ


・以前よりゲームにのめりこみがちの人やADHDなどの発達障害傾向の人は 要注意


・インターネット,ゲームの使用時間などに関する口記などをつ けて ,現 状を正確に把握する


・本人自身で制御の計画を立てて実行するよう援助する


・家族以外の第三者(教師医療関係 者 ,カウンセラーなど)の力を借りて インターネットの使用について相談する


・金銭面に関して(課金問題)家族が制御 す る


・生活のリズム(特に睡眠関連)を崩さないように援助する


◉ 教育機関

 ・インターネット依存の実態調査(スクリーニングテ ストや使用時間に関するものなど)


・ネット依存の啓発


・学校としてのインターネット,ゲーム使用などに関するルール作り

・部活などへの参加の促し、長期休み中の補習授業 ,登校日の設 定など (生活の乱れを整える目的 )


・生活の乱れなどがより重症な人へのカウンセリング導入や医潦機関への紹介


◉ 医療機関 ・合併 精神疾患の治療,対処


・生活指導,精神療法的アプローチ


・不登校 ,ひきこもり傾向が顕著な場合には,デイケア参加や入院加療も考慮


まとめ


そもそも、スマホを長時間利用するから情緒不安傾向などの特性になるのか?

もともと情緒不安傾向などの特性なのでスマホ依存になるのか?では意味が全く違ってくる。

前者では、スマホがもたらす原因だけど、後者ならスマホが原因じゃないってことになる。

とはいえ、結果として子どもがスマホ依存になった場合なら本人の力ではコントロール出来ない。上記のとおり予防や対処については、家族のフォローが絶対に必要だろう。

大人の場合はとにかく山に行け!

登山を開始した当時に比べると現在の方が、内発動機や同一視動機といった、より自律性の高い動機が高まったという研究結果もある(岡本・藤原、2015)。

スマホ依存と性格特性の中で、スマホ依存傾向の人は内気であったり自己管理が苦手であるといわれているので、登山で自立性が高まれば自己管理も高まるし何より家でスマホを眺めるより健康にいいからね。

最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)

引用文献

Cheung, L. M. and Wong, W. S.(2011). The effects of insomnia and internet addiction on depression in Hong Kong Chinese adolescents: an exploratory cross-sectional analysis. Journal Sleep Re︲ search, 20, 311-317

宮戸悠貴・小玉正博(2017) 「中学生におけるインターネット依存と学校適応, 精神的健康との関連」『埼玉学園大学心理臨床研究』第3巻、pp10-21

岡本卓也・ 藤原武弘(2015)「登山行動に関する社会心理学的研究: 登山動機の構造とその変遷」『関西学院大学社会学部紀要」第120号、pp167-180

岡安孝弘(2016)「インターネット依存の心理社会的影響およびリスク要因に関する研究の動向」『明治大学心理社会学研究』第11号、pp23-45

大嶋啓太郎・小田哲久(2017)「インターネット依存に関する研究―大学生への質問紙調査を中心に」『社会情報学会』http: //gmshattori. komazawa-u. ac. jp/ssi2017/wp-content/uploads/2017/03/25.pdf

中山秀紀(2015)「若者のインターネット依存 (< 特集> 現代の若者のメンタルヘルス)」『心身医学』第55巻、pp 1343-1352

八木成和(2017)「大学生のインターネット依存と性格特性との関連について」『四天王寺大学紀要』第64号、pp73-82






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