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卒業研究中間発表会までを振り返る

 今年もあと数時間。例に漏れず振り返りをすると、思い出すことの大半が卒業研究に付随した話ばかりだったので、忙しさで忘れないうちに現時点での所感を残しておきたいと思う。

研究活動開始

 まず真っ先に述べるとすれば、新型感染症拡大の影響を色濃く受けたということ。大学に設置されている機器の使用が難しいのはもちろん、研究そのものが通常よりも2ヶ月ほど遅れたスタートで、かつ学部棟にいる学生も少ない。人と話すことで得られるインスピレーションは減ったし、極めて個人的である研究活動の孤独さがより際立った。作業についての相談や指摘はもちろん、雑談の重要性を再認識させられる1年だった。


研究そのものへのモチベーション

 大学院進学を予定していることもあり、研究へのモチベーションはある程度高く維持できていたように思う(知識については本当にまだまだなのだが)。観察を続け、データが貯まっていくことは純粋に嬉しかった。そして研究を進めるにつれて、ただ自分が面白がるだけではなく、これをどう料理していこうか、どうまとめれば皆に面白いと思ってもらえるか、と考えるようになった。苦しくも楽しく、日を追うごとに意欲的になれる。

当たり前かもしれないけれど、ただ自己完結的に手を動かすだけでは何にもならなくて、誰かに向けて発表しフィードバックを受けてこその研究活動なのだろう。学部を卒業してもいない現時点でも、進学を決めてよかったと思っている。もうちょっとやらせてくれ。


恣意的にならないために

 より厳密に言うと違うのかもしれないが、「規則性を検討し、一定程度の能力を持つ者が同じ条件・手法を用いれば同様の結果が見いだせる」ことが、根拠を持ちうる科学のひとつだと考えて卒業研究を進めてきた。今行っている作業や条件に再現性はあるのか、自身のバイアスがかかって恣意的になっていないか、そういうことを気にしつつ過ごす日々は、今まで使ってこなかった脳のどこかに血が巡るようで、不慣れで不思議な感覚だった。小中学校の自由研究はこういう思考の取っ掛かりや醸成に一役買っているのだなと、いっちょ前に感じたりもした。どうしたって、大学生が幼少期についてたられば言っても遅い。


発表へ向けて

 所属する研究室でゼミを開いていただいて、何度も何度も進捗報告と発表練習を繰り返した。これまでしてきた論文レビューの時は、誰かから指摘を受けることへの不安感が非常に強かったが、自分の研究内容を話すようになってからはそういうものは一切なく、「疑問・質問・懸念点どんとこい、もっとくれ!」という気持ちで臨んでいた。自分の研究をより良くしたいし、議論を広げていきたい。ここまで来ると、理系科目が苦手だなんてもう関係なかった。きっと元担任や高校以前の友人らは驚くと思う。

 また、自分のため、あわよくば同じコースの友人らの役に立てばと、自主開催のオンラインゼミを複数回行った。自分が発表すれば客観的な指摘や改善点がたくさん出てくるし、誰かの発表をみれば自分の発表をアップデートするアイデアを得られる。これは先輩方のゼミ発表でも同じことが言える。畑の違う人に見てもらったり忌憚なく意見できる場所って、案外少ないように思う。練習に付き合ってくれた皆様に最大限の感謝を。


発表当日とそれから

 ハプニングがありつつも、どうにか規定時間内に発表を終え、しどろもどろになりながらでも質疑に答えることができた。誰か一人でも研究内容を「面白い」と思ってくれる人がいればいいなと思って作ってきたが、話を聞くと、その思いはどうにかこうにか先生方に伝わっていたようだ。
しかしながら、発表が悪くない出来とはいえ、後ほど発表をビデオで見返すと、緊張しいで早口なのが一番の問題だということに気づく。議論するうえで補完が必要なデータもある。伸びしろしかないと思うことにした。


気づき

 まず技術的な面について、発表では原稿を作りすぎない方が自分に向いていた。指導教員に「文章に引っ張られている、書くのが得意な人は一文が長くなりがちだ」という趣旨の指摘を受けたのだ。まさしくその通りで、発表の流れは文にして検討したが、最終的には使うべき接続語と言いたいことだけ覚えておけばよく、あとはスライドにかいてあるものとこれまでの研究活動で得た知識で十分話すことができたと思う。

 そして何よりも、研究に対して、また自分に対して自信がついたのが一番大きい。やればやるだけ一歩二歩と(僅かな歩幅であっても)前進するし、4月に理解できていなかったことが分かるようになり、知らない世界がどんどん広がっていく。こんなにも卒業研究にワクワクするなんて、入学当初からしてみれば全く想定していなかった。誰よりも面白がって研究をしたという自負もある。改めて、知ることは生きることで、学ぶことは世界の解像度をあげることなのだと感じさせられた。


あとがき

 残すは多少のデータ処理と論文執筆。せっかく自然科学系の学部に在籍しているのだから、今だからこそ書けるものを、自分の納得できる形にして残したい。

 ここまで研究活動の話をしてきたけれど、今年の総括も少しだけ。
旅行やライブに行けない日々が続いて胸が痛い代わりに、面白い物語にも素敵な音楽にも出会えたし、私個人としては悪くない年だったのではないかなと思う。
来年はより心穏やかに、より多くの楽しみを見出せる1年になりますように。そして、拙くパーソナルなnoteを読んでくださった方々、感想をくれた友人各位、私の周りの愉快で大好きな人たちにとっても良い年になりますように。

 来年もどうぞよろしくお願いします!

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