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女子高校野球の決勝戦を観てきたよ。

初めて女子野球を観たのはいつだったか、たしか会社からの帰り道、たまたま尼崎のベイコム野球場で発足2年目の女子プロ野球をやっていた(当時は2球団しかなかったから、まちがいなく京都アストドリームスvs兵庫スイングスマイリーズだ)からで、就職2年目かそこら、仕事に倦んでいた日常に「すごく面白いもの」がやってきた感覚があったのだった。

小西美加という目を剥くようなレジェンドがいて、「これが真のオンナ投げ」とか言いながら打てばホームラン(女子野球ではものすごいレアなのだ!)、走れば盗塁王という、大谷翔平よりずっと早く二刀流どころか三刀流をやっちゃってた。川端友紀は「ヤクルトの川端の妹」という枕詞がなくても4割で首位打者取っちゃうヒットメーカーで、でもお兄ちゃんにバッティングフォームがそっくりで、マエケンファンとしては観てるだけで嫌なバッターだった。それに比肩する三浦伊織というアヘアヘ長打ウーマンもいた。厚ヶ瀬美姫は足が速く守備が巧い小兵で、ポスターの「自信はあった。活躍する舞台がなかっただけ」という言葉には当時の女子野球の状況がすべて現れてて泣いた。深澤美和の堅い守備とバントも好きで、初めてサインをくれたのは何を隠そう彼女だった。

ずっと尼崎で女子野球を観られるのかと思ってたら、いつのまにか無くなっちゃった。経営が厳しいことは観客が少ないことからも感じてた。選手がかなり無理をしてたことも知ってた。

「なんで?」ってずっと思ってた。女子野球はこんなに面白いのに。

「女子野球はレベルが低い」という人がいる。でもレベルの高い野球が観たいなら、それこそメジャーリーグを観てればいいだけ。

みんながみんな大谷翔平を観たいわけじゃない。

日本プロ野球にもファンがいる。高校野球にもファンがいる。大学野球にもファンがいる。そこにレベルの高低は関係なく、それぞれの野球があるだけ。誰かが女子野球の魅力に気づく日はきっと来る。

女子高校野球の決勝戦が甲子園で開かれるようになった。ガラスの天井は破られようとしている。なにかが起こりそうな雰囲気が(すごく楽しそうな雰囲気が)満ちていて、ほんのすこしのきっかけでそれは爆発する。

「スモールボール」が好きなら、観てていちばん楽しいのは女子野球だと思う。緻密な戦術、考え抜かれた配球、一瞬の判断、光るスキル。

そのほうがスリリングだし、プレイヤーの感情も豊かに現れるし、

なによりカッコいい!「ダイヤのA」で「なぜスイッチで打つのか」訊かれた選手がこう答えてた。「松井稼頭央がカッコいいからに決まってんだろ」。

野球をする理由も観る理由も「カッコいいから」それだけでいい。

かつてあった「かわいいよりカッコいいと言われたい」は女子野球の名コピーだったと思う。

女子野球の時代はすぐそこまで来てる。そう感じられる名ゲームでした。優勝した神戸弘陵の選手たち(昨年秋の全国ユース大会、今春の全国選抜大会と、史上初の女子高校野球3大会の3冠達成だそうです!)、負けじと戦った岐阜第一の選手たち、ありがとうございました。

秋には女子野球のワールドカップが始まります。なんと日本チームは世界6連覇中です。三次でグループリーグが行われるので、応援に行くつもりです。

がんばれ、女子野球。

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