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スーパードルフィン

この名の響き、結構カッコいいと思うんですよね。
「ドルフィン」ってだけでもカッコいいのに、スーパーまで付くとかどんだけカッコいいのかよ!

そんなカッコいいイルカがあるのか?って感じですが、これはイルカではありません。
飛行機です。正確に言えば飛行機の愛称なんですけどね。
僕、この飛行機にはちょっとした思い入れがあるのですが、残念ながら昨日(2020年6月14日)でお別れとなりました。

ANAのグループ会社が所有するボーイング737-500型機に付けられている愛称が「スーパードルフィン」なのですが、今日の福岡発羽田行きの便がラストフライトとなりました。

この飛行機は、定員130名弱のコンパクトな機体ですが、特徴はエンジン部分にイルカのイラストが描かれているところです。
このイルカのイラストがあるおかけで、空港でも見つけやすい機種です。

そんな「スーパードルフィン」ですが、僕が初めて乗った飛行機がこれでした。
高校の修学旅行で沖縄に行った際、行きの便でのことです。
当時、初めて飛行機に乗る田舎者の僕は、楽しみで楽しみでしょうがなかったことを覚えています。
空港に着いて諸々手続きが済んで、いよいよボーディングとなり機内に向かって歩いていると、ボーディングブリッジの窓からエンジンにデザインされたイルカのイラストに目がいきました。

「おお、なんかカッコいい」

なんかって何だよって感じですが、このなんとも言いようのない感じが、ファーストインプレッションでした。
でも、多分それはイルカのイラストがあったからこその補正効果。
もう1つ感じたこと、

「え、こんな小さいの?」

今でこそネットで搭乗する便の使用機材がわかりますが、当時は飛行機の機体とかも全然知りませんし、わざわざ調べておく程でもなかったので、どの機材かは知らないまま当日を向かえていました。
初めての飛行機、僕の中でのイメージは、ボーイング777のような大きいやつ。
まあ、よくあるイメージだと思いますが笑。
乗客も多い地方の主要空港から出る沖縄行きなので、さぞ大きいやつに乗れると思っていました。

機内に乗り込んで、次に思ったこと。

「おーい、小さいやんか!」

大きさにしか目が行かなかったのですかね、当時の僕は。
3-4-3の10アブレストみたいなやつを想像していましたが、そこにあったのは3-3の6アブレスト。
結構ギチギチで、思っていたやつと違う感じが、少しがっかりさせられたことを覚えています。

席に着いた飛行機初めての僕は、シートベルトに苦戦しつつ周りをキョロキョロ。
落ち着きがない状態で、テーブルの下のポケットに入っている機内誌やら機内の説明が書かれたシートを見始めました。

「ボーイング737-500っていうやつなんだ。スーパードルフィン?ああ、あのイルカのことか。カッコいい名前やん!」

ちょっと下がっていたテンションを上げ直すことに成功しました(すっげぇ単純)。

そうこうしているうちに、離陸のために動き出しました。
滑走路をゆっくりゆっくり走り、所定位置で停まっていよいよ離陸のとき。
この瞬間って、今でもドキドキするんですよね。
エンジンが高鳴り「ゴー」と響かせ、背中を重力で押される感覚を感じながら一気に加速し、機体が持ち上がる。
田舎者の高校生、初めての飛行機は僕だけではなかったようで、機内には「おー」という声が響き渡ったのには笑えました。
他にも乗客はいるのに、実に恥ずかしい。
でも「おー」ってなったのはもちろん僕も同じ。

「やべー、飛んでるよ!」

窓から見える青い空、白い雲。下の方に見える町並み、山並み。
空から見下ろすその景色は、非現実的に見えました。

那覇空港に近づき高度を下げ、見え始めたのは沖縄の青い海。
当然沖縄も初めての僕は、そのとにかく青々しい海を見て異国に来たような錯覚を覚えました。
海スレスレを飛び、滑走路が見え始めいよいよ着陸のとき。
離陸のときと同様に、この着陸の瞬間も今でも緊張しますが、当時もドキドキバクバク。
タイヤが滑走路に接地して、ちょっと上下に揺れ無事着陸。
離陸したときと同様に、飛行機初めての田舎者高校生が多く乗る機内は、またしても「おー」という声が響く、こっ恥ずかしい状況になりつつ、無事那覇空港に着陸しました。
これが、僕の初フライトでした。

修学旅行の帰りの飛行機は、ボーイング777-200でした。
イメージ通りのでっかいやつ。
「これこれ、飛行機ってこれだよな」という謎の満足感で帰路についたことを覚えています。

それから大学生となり、社会人となり、飛行機に乗る機会もできました。
僕が初めて乗ったスーパードルフィンことボーイング737-500には、この修学旅行のとき以来、一度も乗ることはありませんでしたが、空港で見かけたときはそのときのことを思い出していました。

最初、ちょっぴりがっかりはしましたが、僕の初フライトが「スーパードルフィン」でよかったと思っています。
小さい機体、ちょっと狭い機内、小さいゆえにちょっと揺れちゃう。
でも、大きい飛行機では感じることができにくい、飛行機により近く接する感じというか、距離感の近さが魅力的だと思います。
それは、まさに

イルカに乗っているような感じ

「さあ、これからイルカに乗って空を飛ぶよ!」とでも言えそうな、高揚感。
この名前の響きがあったからこそ、初フライトの印象が色濃く残ったと思っています。

25年間、日本を飛び回ったスーパードルフィン。
本当にお疲れさまでした!

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