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コンブとアラメの採苗を行いました。

2022年10月。石巻の磯焼け対策事業「ISOP(=Ishinomaki Save the Ocean Project)」では、コンブとアラメの「採苗(さいびょう)」を行いました。採苗とは、養殖のために海藻の胞子を人工もしくは天然でとる作業のことです。

ISOPでは、海中での植林活動を通じて、海藻を増やす活動に取り組んでいます。人工的に海藻を設置することで、ウニの食害から天然の海藻を守り、魚のすみかも増えることが見込まれています。

しかしいま、海藻はブルーカーボンの観点からも注目を集めています。ブルーカーボンとは、海藻の光合成によって吸収されるCO2のこと。海藻を繁茂させることによって、大気中のCO2を減らせるのではないかというわけです。

そこでISOPでは、これまでの活動に加えて、ブルーカーボン用の海藻を育てることを試験的に始めています。その取り組みの第一歩として、母藻となる海藻から、海藻の赤ちゃん(遊走子)を採取する「採苗」を行いました。

採苗の様子

母藻となるコンブとアラメをダイバーの方にとってきてもらう。これはISOPの活動で育てた海藻の一部。
母藻となるコンブ。
コンブの葉が、茶色の濃い部分と薄い部分に分かれているのが見てとれる。濃い部分は、海藻の赤ちゃんが入っている袋であり、子嚢斑(しのうはん)と呼ばれている。
採苗のリスクとなるものはできる限り減らすため、海藻に付着しているゴミや小さな貝類を取り除く。
陰干し、葉っぱを乾燥させる(葉っぱに切れ目に生じさせる)ことで、採苗のとき、海藻の赤ちゃんが出やすくなる。
陰干のあとは冷蔵庫で保管。これで葉っぱの水分はかなり抜ける。
母藻と、海藻の赤ちゃんを付着させるための糸をタンクに入れて、採苗を行う。
採苗が完了するまでにだいたい3時間ほどかかった。
顕微鏡を使って、コンブの赤ちゃんが海藻から出ているかチェックする。
小さな丸いのが、遊走子と言われるコンブの赤ちゃん。
海藻が育ちやすい環境をつくるため、光度も調整する。
胞子がついたら採苗が完了。採苗後、2月ごろまで水槽の中で育てる。1mmほどの大きさまで成長させる。

この海藻を海に投入するのは2月ごろ。元気に育ってくれることを祈るばかりです。

ISOPでは、今後も磯焼け対策の取り組みを続け、情報を発信しています。海の多様性を守るために、わたしたちに何ができるのか?これからも伝えていきます。

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