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Apple Vision Proはいい意味でゲームチャンジャーではない

Apple Vision ProはHMDでもXRグラスでもないですね。空間コンピューテュングのための「わたしたちのVision」なんでしょう。

Apple Vision Proは、iPhone以降ではじめて、革新的な体験をもたらすきっかけになると思います。Appleが失敗しても誰かがこれを実現させます。サムスンかな、PSの延長線上でしか考えていないソニーにはできない気がなんとなくします。そしてこの領域レベルは本物のスタートアップが突然デビューできるものではないです。

革新的な体験とは何でしょうか。

スマートフォンがもたらした体験を次の形で提供する、いわゆる「次世代のスマホのようなもの」への答えがApple Vision Proに詰まっていると思います。ただし、まだ詰まっているだけなので、旧スマホはこれによってまだまだ延命確定です。現時点のApple Vision Pro自体はゲームチェンジャーではありません。

ちょっと前にHMDの表面にiPhoneを貼り付けてお面みたいにしている人を見たことがありますが、今回のEyeSightってそういうことですもんね。グラス化(メガネ化)がまだ無理ならお面にすりゃいいじゃんて話ですよね。こういうの好きです。配膳ロボットや警備ロボットなんかも同じです。昨年秋にインチョン空港でロボットにノーマスクを指摘された時の自分の感情を思い出します。

さて、ゲームチェンジャーiPhoneが登場した時と今回が決定的に違うのは、まず価格です。iPhoneは7万円ほどでしたが、今回は50万円です。大事なことは7万円になるまでAppleは待たなかったということです。市場はこれを嫌っているようですが。

AI周辺のテクノロジーや、ディスプレイテクノロジーの加速的進化によって、この価格差は想像以上に短時間で縮まえるので(それでもやっぱり2030年ですね)、はやいとこ市場を作りに行くべきだということだと思います。なぜならこれに対応する「コンテンツというか体験価値」が世の中にはまだ存在していないからです。

その点に関してネット上では目先のコンテンツがないとか、iTunesみたいなものの用意がないとか、そういう声も散見されますがそれは当たり前です。

iPodはiTunesで「既存の」音楽の体験と流通を再定義して、iPhoneはモバイルコンピューティングを実現させたわけですが、今回のApple Vision Proは「既存の」コンテンツも体験価値も、そもそも存在していません。世の中どこにもないです。これは映画を見るためのものではないはずです。それは画面サイズでも解像度でも、音響でも共有感でも、タイムセーブでもなく、反射光と自己発光の違いだと私は見ています。

話が逸れました。

なので50万円という微妙な価格でAppleマニアも取り込みながら、具体的な製品の形にしてクリエイターの想像力を刺激する。そのためにこの時点での発表なんだと私は思います。何かの間違いで市場をMetaに持って行かれるよりは100倍マシです。10万円になる頃にいい感じでコンテンツやユースケースがラインナップされていればいいからです。

そしてそもそもそんなニーズはないという可能性ももちろん否定はできません。

結局は完パケ映像コンテンツの呪縛から僕らはどうやって離脱できるか、という話に帰着すると思います。

クリエイティブ環境としてはUnityは対応しているが、絶賛大喧嘩中のUnreal Engineには非対応というところは今後どうなっていくのか注目したいです。その点でもソニーにはゲームチェンジは無理な気がします。あ、逆か?

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