【初心者向け】どう買うの?アートの購入方法について教えます!
前回下記のアートフェアレポートの記事を記述した。見てくださった方たちの中でいくつか質問を頂いた。その中で一番多かったことは「どうやって絵を買うの?」ということだ。結構アートを購入したことがない、という方は多かった。
アートを購入するということはとても勇気がいる事だと思う。パッと見て価値が分かりにくいし、実用性がないにもかかわらずとんでもなく高い場合がある。また、売る方も接客などをあまり行わず、不親切な対応をしてくる場合もあるだろう。
興味はあるけど知り合いにアート購入経験者などが居ない場合、どうすればいいか分からない…と思われる方は少なくないはずである。
私はとても環境に恵まれていたのでアートを購入するということはそこまでハードルが高くなかった。百貨店ギャラリーで知り合いのアーティストを購入するところから始まったので、色々教えていただいた。ただ全員が全員そういうわけではないだろう。
私は本当に出だしが良かったと思う。環境や暖かい人たちに恵まれていた。最初に行ったアートフェア東京のように無視されていたらコレクターになっていなかったかもしれない。
その方たちを含めたお世話になっているアート業界に少しでも恩返しできればと考え、筆を執る。
ただし私はプロではなく自己流でアート購入をするようになったため、正しいとは限らない。一例としてみていただければ幸いである。
一人でも素晴らしいアートを見つけた時に「どうすればいいか分からない」という理由で購入を断念することがないように願って。
このnoteの他には下記サイトが分かりやすかったのでお勧めしたい。しかしちょっと物足りない部分もある気もする。このnoreで分かりにくいところもあると思うので、かぶっているところはあるが、こちらも参考にしてほしい。
事前準備:お気に入りのアーティストを探そう
ここではお気に入りのアーティストの探し方を紹介する。結論から言うと「とにかく数を見る事」である。
ギャラリーに行く
まずはギャラリーに行こう!と言って最初から六本木や銀座の高級画廊へ入ることができる人は少ないだろう。本当はそれでも全然かまわないのだが、もう少し気軽に入ることができるところもある。例えば下記のようなところである。
・百貨店の画廊
・蔦屋書店などにあるギャラリー
上記はいずれも美術好きだけがいるわけでない大きい建物内にあるため、気軽に入りやすいだろう。高価そうなギャラリーに入りにくいのであれば、ぜひそういうところからでも始めてほしい。
美術館に行く
アートの購入を検討している人は言うまでもないもないと思うが一応記述する。
美術館で取り上げられるものは人気や有名なアーティストが多く、トレンドや人気が分かる。更に、大きい美術館などにコレクションに収蔵されたり、個展が行われると、かなり人気が出る傾向がある。コレクション収蔵などのタイミングは読みにくいが、個展が発表されたアーティストでほしい作品があれば早めに購入した方がいいかもしれない。
アートフェアに行く
アートフェアに入るには我々も結構な金額を払わないと入場することはできないが、出展ギャラリーは高額なアートを一点購入できるのではないか?というくらいの大金を支払わなければいけない。
そのため、プライマリーギャラリー側は今後に期待するアーティストを出す傾向がある。アートフェア内だけでは利益が出なくても、今後そのアーティストの作品が売れ続けることで結果的に儲かるからである。そのため、欲しいアートがあったらアートフェアで購入してもいいかもしれない。
また、好きなアーティストが見つかったらギャラリーやアーティストのSNSをフォローして、情報を見逃さないようにしよう。
番外編:ギャラリーのレセプションに行く
気に入ったアーティストの個展があれば、かなり勇気を出さないといけないと思うが、レセプションにいってみてもよい。大体は展覧会初日にある。ギャラリーによっては無いところもある。もちろんアートを見るだけで十分かもしれないが、アーティストと直接話すことで、人柄や作品の意味が分かる場合もある。
実際に買ってみよう!アートの購入方法
事前準備をして好きなアーティストや、その傾向が分かってきたと思う。もし、たまたまあなたがギャラリーにいて購入したい作品を見つけたとする。しかし、簡単には値札は見つからない…。でもギャラリストには聞きにくいし…。
そういう場合の対処法(?)を教えよう。
①ギャラリーやアートフェアなどにいる場合
・絵の近くに値段が書いてない場合
冒頭に記述したような状況である。大抵売られている物は商品の近くに値札があるだろう。しかし、アートはそういう場合もあればない場合もある。
そういう場合はギャラリーのテーブルの上を見てみてほしい。作品リストのようなものがあると思う。これはプライスリストという。大抵は作品写真の横に値段が書いてあるはずである。
・プライスリストに値段が書いてない場合
たまにプライスリストを見ても値段が書いていなかったり、ASKと書かれているものもある。これに関しては勇気を振り絞ってギャラリストに聞くしかない。しかし、そういう作品は相当高価なものが多く、100万は超えるだろう。場合によるが1000万~の可能性が高い。そのため駆け出しコレクターには向いていないかもしれない。
・購入を即決できない場合
値段は分かった!しかし、検討している作品は思ったより高かったらどうだろうか。一点ものだったらなおさらだ。「他のギャラリーにも行きたいし…でも行っている間に売れてしまったらどうしよう…!」なんてこともあると思う。
その場合は商談中(ホールド)が有効である。
商談中とは自分が買うか迷っていると悩んでいる場合、とりあえず作品を抑えておくという方法である。これは私は作品を買う前は必ず行う。なぜならそれなりに調べてから購入したいことと、衝動買いを防ぐためである。
注意してほしい点としてはホールドできる時間は限られているということである。もちろんギャラリー次第である。個人的な経験としては1日程度は余裕があるはずである。しかし、0.5~2時間ではないとダメと言われたことや、期限が狭められたこともある。逆に一点ものではない作品は1週間程度はいいと言われたこともある。これは作家やギャラリーによると考えられる。
②SNSやネットなどで見かけた場合
作家やギャラリーのSNS、好きなギャラリーのメールから好きな作品を見つけた!値段次第で購入したいかもしれない!という時にどうしたらいいのか。
一般的にはギャラリーに問い合わせをすることが良い。作家に問い合わせてもいいかもしれないが、購入検討の場合はギャラリーがベストかと思う。人気作家ならなおさらギャラリーに問い合わせた方がいい。数千人フォロワーがいる場合DMが埋もれる可能性もある。
また、実物を展覧会で見てから決めたいから問い合わせはやめておこうかな…という場合もあるだろう。個人的には迷わず連絡してほしい。人気作家だと普通に展覧会前に売り切れる(他の方に商談中にされる)こともあるからである。さらに展覧会が始まる前に予約をし見てから購入を判断するという選択もできるかもしれない。なるべく展覧会が始まる前に多くの情報を集めて購入を検討しよう。
アート購入でNGな行動
次にアート購入をする際にマナーとして知っておきたいことを記述する。
×アーティストやギャラリストに付きまとう
近年ギャラリーストーカーが問題となっている。性的に魅力的を感じ、毎回アーティストが画廊にいる時間を狙って買わずに話だけして帰る。しかも話の内容もセクハラまがいや個人情報を聞き出そうとするものであり、これは絶対やってはいけない事である。傾向としては女性作家が被害に遭いやすい。なお、ギャラリストや卒展などで美大生がターゲットになる場合もある。
特に相手が異性の場合だと勘違いされやすいので気を付けたいが、普通に絵の話を常識的な長さでしているだけならまったく気にしなくてよい。作家も自分の作品について話してくれた方が喜ぶはずであるので、気を付けながら積極的に行動して頂けたらと嬉しい。
△(過度な)値下げ交渉
ここからは絶対にやってはいけないわけではないが、個人的には避けていることを記述する。まずは値下げ交渉である。数十万するときには数万下がれば相当嬉しいだろう。私だってそうだ。数千円だって数百円だって嬉しい。
しかし、その引いたお金のしわ寄せがどこからきているかを考えてほしい。アート投資の記事でも書いたが、作家が食っていくには相当難しい。画廊も作家を支える為にとても頑張っている。そのため、長い目で見れば画廊や作家の力が落ちてしまう可能性があるため、お勧めしない。また、私はその方たちに敬意を示すためにも値下げをお願いしない。
ただ、学生だからという理由で積極的に作家から値下げを提案されたこともあり、「どうしても購入したいが本当に手持ちのお金では本当に足りない」という場合は迷わず相談するべきだろう。なお、私の意見としてはその状態でアートを購入することはお勧めしない。まずは生活を優先させてほしい。
△すべてギャラリーを通さないで購入する
これは私も行ったことはある。画廊を通さない分、安く買えるのである。しかし、良い画廊は本当に作家からできた作品を取り扱うだけではない。作家をサポートしたり、アドバイスをしたり、DMをしたり、お客さんを付けてくれる場合だってある。そのため、私はギャラリーにもお金を落としたい。正直画廊の取り分も大きいのでかなり安くなると思うが、そこも我慢するところだと考えている。
良いギャラリーの見分け方
最後に個人的に良いと思うギャラリーの見分け方を記述する。なお、下記に示す良くない傾向のギャラリーの多くは価格帯が相当高いギャラリーである。そういう画廊は最初から客を見極めて金を持っていそうな人しか相手をしないところもあるようだ。画廊側の気持ちもわかるがあまり良い行動だといえないと考える。将来どこでお客さんになるかわからないし、作家の作品を愛していればそんなことはしないだろう。
挨拶をしてくれる
ギャラリーに入る時「こんにちは」とあいさつをされる場合がある。店に入れば「いらっしゃいませ」と当たり前に言われると思うので当然かと思われるだろう。しかし良くないギャラリーは全く挨拶がないところもある。私は入る時は挨拶をし、出るときはお礼を言うのだが、それに関しても会釈もせずガン無視のギャラリーもある。効率的だなぁいろいろな捉え方があると思うが、個人的にはここまで行くとマナーとしてどうなのかとは思う。
積極的に話しかけてくれる/愛がある
作品を見ているととてもうれしそうにギャラリストが話しかけてくれる場合がある。たとえそれが数百万の作品で、あなたが若くてもその作品の良さやコンセプトを教えてくれるギャラリーもあるだろう。そんなギャラリーは良いギャラリーだろう。作品を商品とだけしか捉えていないことはないからである。
所属アーティストの知識がある
上とつながると思うが、積極的に話してくれるギャラリストは所属アーティストの知識がすごい。作品だけでなく作家のバックグラウンドから作家と話し合って知識を深めている。
逆に質問しても全然答えられないギャラリーもあった。しかも複数人にである。内容は「(大きい美術館)でこの人の作品が一昨年展示されていましたよね?」という事である。正直この程度のことは誰か知っていてくれないと困る。
アーティストと仲がいい
これは実際に作家がいるときにしか確認できないが、ギャラリストと若手アーティストが普通に穏やかに話をしているギャラリーは良い。なぜならそういう場合風通しが良く、作家とギャラリーが相互に情報が行き来しやすくアドバイスなどが通りやすいからである。
以上、良いギャラリーの傾向をお伝えした。基本的に私が購入したことのあるギャラリーはよいギャラリーだと考えている。加えるとすれば高崎/前橋のrinだろうか。
おわりに
冒頭でも記述した通り、アートを購入するということは勇気の他に知識が必要である。購入だけでなく、ギャラリーに入るだけでもなかなか勇気がいると思う。
本来アートは誰にでも開かれているはずである。しかし、一部良くないギャラリーがそもそものハードルを上げてしまっていると思う。素敵な出会いがあるかもしれないのに美術全体のハードルを上げてしまっていることは非常にもったいなく、残念である。
私の経験上、恐怖が生まれる理由は知識不足が大きい。まずは軽くでもいいのでこのnoteで何かを得ていただけたなら幸いである。
また、ネットでも購入できるところもある。tagboatでは値段も書いているため、そちらでも検討してもよいと思う。
良いアーティストを見つけたならば良いギャラリーに出会えるはずである。それに続いて、あなたも良いコレクターになっていただけたら嬉しい。
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