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6000人以上の子どもに食育を行った食育のプロが教える「子どものやさい嫌いのなおし方」

・子どもが野菜を食べなくて…
・お残しが多くてもったいない…
・野菜を食べさせたいけど、無理には食べさせたくない…


こんなお悩みを、栄養士さんや保護者の方から聞くことがあります。
この記事では、200回6000人以上の子どもたちに食育を行ってきた私が、子ども(3~9歳くらい)の野菜嫌いの直し方をご紹介します。

▼目次
1.味以外の魅力を伝える
2.野菜そのものに触れる
3.栽培
4.絵
5.スタンプ
6.八百屋さんごっこ
7.クッキング
8.畑に行く
9.やってはいけないこと

1.味以外の魅力を伝える

野菜が嫌いになるのは、野菜を食べた結果によるものがほとんどではないでしょうか。味やにおい、食感が苦手に感じた結果、拒否反応を示すのだと思います。
その場合、例えばピーマンを細かく刻んでハンバーグに入れるなど、味やにおいや食感を感じにくくする方法があります。今回は、そういった方法は書きません。子どもたちが、「野菜って面白い!」、「不思議!」など野菜に親しみをもつためのアプローチ方法を書きたいと思います。

2.野菜そのものに触ってみる、においを嗅いでみる、断面を観察してみる

丸のままの野菜を用意し、触れたり、色を見つけたり、においを嗅いだり五感を使って感じてもらいます。触っている最中に、「どんな色?」、「どんなにおい?」、「どんな色がある?」など、発見を促す声がけをするといいでしょう。

この活動の目的は、色がきれい、つるつるしている、〇〇のにおいに似ているなど味覚以外の野菜の特徴を知り、野菜に親しみを感じてもらうことです。

触ったり、においを嗅いだりしていると、「どんな味なんだろう?」と思う子も出てきます。触った野菜の料理を用意して、味も感じてもらえらたらベスト。生のまま食べておいしいものは、食べる用として用意しておくのもいいですね。

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3.栽培する

種をまき、水をやり、「大きくなってね」と声をかけながら栽培してもらいます。ニックネームを付けて呼んでもいいかもしれませんね。例えばキュウリなら、キューちゃんと名付け、「キューちゃんのお花が咲いたよ」、「キューちゃんの実ができてきたよ」などと声がけすると、愛着を持ちやすくなります。

芽が出たり、実がなったりしたときは一緒に喜びましょう。成長の過程を観察し、食べごろになったら子どもに収穫してもらいます。

収穫後、調理も一緒にできたらいいですね。食べるときは、「種から育てた野菜は、どんな味なんだろうね?」と投げかけ、一緒に栽培した人と料理を囲み、ともに食事を楽しむ機会も設けましょう。

今まで保育園で野菜の栽培の指導をしてきましたが、自分で育てた野菜は、ほとんどの子が食べてくれます。その野菜が苦手であってもです。それはなぜなんでしょうか?そのものに関わった機会が多いほど、愛着や興味を持つからだと思います。テレビCMと一緒です。何度も目にするうちに、その商品が気になるようになったという方も多いのではないでしょうか。

なので、種をまくところと収穫のいいとこどりだけでなく、水やりや肥料あげなどの途中のお世話が大事だと思います。その時に、愛着や興味を持つきっかけづくりをしていくのがポイントです。前述のニックネームを付けて声がけをする、絵を描く、長さを測る、栽培している野菜が出てくる絵本と比較する、スタンプするなど。

野菜は虫などの生き物と違って動きもなく地味。なので、こちらから興味を持ってもらうアプローチを作っていくことが大事だと思います。

4.絵を描いてみる

描くことで、野菜を身近に感じるきっかけになります。この時に大事なのは、否定しないこと。色が違う、形が違うなど指摘しては、子どもの描きたいという気持ちをそいでしまいます。正確に書くのが大事なのではなく、楽しく自由に描くことが最も大事です。楽しく書ける雰囲気作りや声がけをしましょう。

用意する野菜は、半分にカットして断面が見えるようにしたものや、同じ野菜でもいろいろな種類を用意します。例えばナスだと、紫だけでなく白や、丸型、緑など。野菜にはいろいろな種類があることを、言葉ではなく描いてもらうことで伝えることができます。①の野菜に触れる活動の後に行うと、より効果的です。

5.野菜スタンプ

③の絵を描くと同様、作品つくりをすることで、野菜を身近に感じます。

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スタンプは、形に注目がいく活動。切り方によって断面が変わる面白さを伝えられ、子どもの創造力を養うことにもつなげられます。

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例えば、大根を横にし垂直に切ると断面は丸になりますが、斜めに切ると楕円形になります。オクラを横にし、直角に切ると星形になりますが、水平に切ると尖ったロケットのような形になります。

スタンプを始める前に、野菜を切るところから始めるのがおすすめ
です。どんな形になるんだろうね?と投げかけながら切っていくと興味を持ってもらいやすいと思います。

スタンプが完成したら、その後の料理に注目する前振りをしておくといいでしょう。「この後のご飯に出てくる野菜の形はどんな形だろうね?」と投げかけ、食事に移ると、普段何気なく食べていた料理が違って見えます。調理(どのように切られているのか)に興味をもつきっかけにもなります。

6.八百屋さんごっこをする

実物の野菜を用意し、テーブルなどに並べます。実物を用紙するのが難しい場合は、写真でも構いません。

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子どもには、八百屋さんになってもらいます。大人はお客さん。子どもの理解力に合わせ、「おいしい野菜はどれですか?」、「どうやって料理するんですか?」、「元気になる野菜はどれですか?」など質問をしながらやりとりをします。

終了後、本物の八百屋さんやスーパーに行ってみて、どんな野菜があるかや、どうやって並べられているかなどを観察してみるのも学びが多いと思います。

7.クッキング

クッキングは、野菜嫌いを無くす定番の食育ですが、実施する上でポイントがあります。それは、「子どもたちを叱らなくてもできる作業内容にする」こと。

包丁を使わせるのが怖い場合は、しっかりとフォローし、切ってもらいましょう。それが難しい場合は、手でちぎるなどでも、十分子どもたちは楽しめます。

「危ない!」、「気を付けて!」など、子どもたちは怒られると意欲が減り、楽しい体験が台無しになります。「クッキングは楽しい!」「自分でもできた!」といった充実感のある終わり方を目指しましょう。

出来上がった料理を子どもたちと一緒に食べながら、「上手に切れているね!」「とってもおいしいよ!」と伝えると、料理や野菜についてもっと知りたいという意欲につながるでしょう。

8.畑に行く

収穫体験だけでなく、畑を楽しむ活動(かけっこ、つなひき、生き物探しなど)を行います。収穫は、子どもたちが大好きな体験です。視覚、触覚、嗅覚、聴覚をフルに使って収穫した野菜は特別なものになります。

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農家さんに収穫の仕方を教えてもらったり、一緒に食事をしたりなどで関わることで、農家さんへの親近感につながります。結果、野菜への興味関心度も高まります。

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他にも、野菜に関する絵本を読む、紙芝居を読む、レストランのシェフごっこをする、野菜クイズをするなど、いろいろなアプローチができます。子どもの興味や理解力に合わせて実施していきたいですね。

9.やってはいけないこと

最後に、野菜嫌いな子どもたちに、いちばんやってはいけないことについて書きます。それは、「無理やり食べさせる」こと。子どもたちは、味覚が未発達なので、苦みや酸味など私たちよりずっと敏感です。

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私たちが、苦みや酸味などをおいしく感じられるのは慣れによるもの
です。いろいろな味のものを少しづつ食べることで、様々なものを食べられるようになってきたのです。その経験がないまま、「野菜は体にいいから食べなさい!」といって食べさせるのは、無理な要望です。

子どもたちが「野菜は無理やり食べなければならないもの」と認識してしまったら、野菜というものを受け入れる気持ちがなくなり、好きになるきっかけを失います。

今回描いた記事を参考に、子どもたち自ら「どんな味なのかな?」、「食べてみようかな」と思ってもらうきっかけを作っていきましょう。


野菜ソムリエプロ
磯川茂克(いそっぺ)


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