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#1 迷えるバイト先のお兄ちゃん Spread your wings/ Queen

尻の青いガキが選ぶ名曲シリーズ、その1

♪Spread your wings/ Queen

 数年前に映画『Bohemian Rhapsody』で再注目を浴びました、イギリスのロックバンドQueen。メンバー全員がヒット曲を生み出せる、作曲能力の高いバンドとしても有名です。中でも、私はベーシストのジョン・ディーコンが作る曲が大好きです。

 他のメンバーと比べて、POPなノリが特徴のディーコン曲。ディーコン本人も、意外と冗談好きでお気楽な性格だったということも聞きます。(しかし、彼にはしたたかな一面もあるようで「影のリーダー」という異名もあります。調べてみると非常に面白い人物です。)Anyone Bites the Dust は彼の代表曲で、ディスコのようなノリノリのナンバーとなっています🕺🕺🕺

 今回紹介する Spread your wings はディーコンの初期の作品です。

 この曲の魅力は、なんといってもストーリー性のある歌詞です。

主人公サミーは、ある時大きな決断を迫られます。彼は周囲の言葉に惑わされながらも、最後には自身で決心を下します。サミーが一体「何を」決断したのかはハッキリと明示されませんが、それがかえって聞き手の共感を呼ぶのでしょう。

 一説には、ディーコンがQueenに加入する時の自身の体験を投影したのではないか、という解釈もあるようです。個人的には、否応なしに自らの未来について決断を迫られる、就活目前の23歳におすすめしたい歌詞ですね。

 メロディーと歌詞の調和も素晴らしいです。冒頭にピアノの美しいメロディーが響きわたり、そこにフレディーの伸び伸びとしたボーカルが乗ります。美しい旋律のまま進んでゆくかと思いきや、ズンズンと重たいベースが鳴り響き、曲が一気に盛り上がります。ベースの登場と共に、歌詞も世界もまた動き始めます。

 歌詞と曲全体の強弱も巧みです。力強い歌詞はフレディーが朗々と歌い上げ、ベースやギターもハードに響きます。しかし、優しい歌詞の場合はピアノがメインのメロディーを担い、フレディーは優しく包み込むような歌声でマイクに囁きます。この強弱によって、聞き手は曲のストーリーに没入していくのでしょう。4分半聴き終えると、まるで一つの小説を読んだような達成感を覚えます。

 皆さんもぜひ、歌詞を眺めながら聴いてみてください。英語が苦手…という方も大丈夫。Queenはファン層が厚いので、ネットで検索すれば先人達の良質な和訳を手軽に見ることができます。

 あなたの背中を押してくれる、素敵な一曲となれば嬉しいです。

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