本を書いています。
Vol. 4 学ぶということについて
「面白さとは何か(仮)」の原稿も、やっと第2稿ができました。第1稿から無駄な部分をガッツリ削るのが中心の作業でしたが、見直すたびに修正したくなる箇所が後からドンドン出てきます。長い文章だと、やはり細部まで詰めていくのは一苦労ですね。ただ、これも経験としては面白いなと思っており、色々勉強になることばかりです。
本を書き始めてから、「学ぶ」ということについて考えることが多くなりました。前回、最近になって本をたくさん読んでいるということを書きました。執筆の参考になるものを読み漁っているうちに、脳科学、認知科学、心理学、言語学、歴史、哲学など、様々なジャンルに興味が湧いてきて、いまは「学ぶ」ということが楽しくて仕方がない状態のようです。これがもっと若い頃であれば良かったのですが…。まぁ、若い頃はここまで落ち着いて色々なことに目を向ける余裕もなかったような気もします。
ちょっと前の記事ですが、「人間の脳のピーク年齢はいくつか」というMITの研究があり、これがなかなか面白い結果になっています。これによれば、下記のように能力の種別によって、脳のピーク年齢が異なるそうなのです。
18歳前後:総合的な情報処理能力と記憶力
22歳:名前を記憶する能力
32歳前後:顔認識能力
43歳前後:集中力
48歳:感情認知能力
50歳:基本的な計算能力
50歳前後:新しい情報を学び、理解する能力
67歳前後:語彙力
集中力は43歳! 人間の脳のピーク年齢は、能力ごとに違っていた
https://www.businessinsider.jp/post-100550
どんな能力も20〜30代がピークなのかと思いきや、これを見ると少し勇気が湧いてきます(笑) やはり人間として成熟するには、それなりに時間がかかるということなのでしょうか。私は今39歳なのですが、たしかに昔より集中してものを考えることができるようになってきた気がします。計算能力のピークが50歳頃というのは少し意外ですが、総合的な「学び」のピークが50歳前後になるということだとすると、まだまだ勉強するのに遅すぎることはないのかな、とも思います。
また、こうして見ると、有名な孔子の「論語」もあながち間違っていないことがわかり、なかなか興味深いところです。
吾十有五而志于学、 「われ十五にして学(学問)に志し」
三十而立、 「三十にして立つ」(学問で自立できるようになった)
四十而不惑、 「四十にして惑わず」(いろいろな迷いがなくなった)
五十而知天命、 「五十にして天命を知る」(天が自分に与えた使命を知った)
六十而耳順、 「六十にして耳順(したが)う」(どんな人の話も聞けるようになった)
七十而従心所欲
不踰矩 「七十にして心の欲するところに従っても矩(のり)をこえず」(心の思うままに行動しても人としての道をふみはずすことがない)
孔子の「論語」をはじめとする「儒教」は、江戸時代の日本人の道徳の中心でした。寺子屋で先生の発声に合わせて「音読の復唱」を行い、孔子の精神を体で覚えたそうです。昔の教育は、先人の「経験」に基づいた教訓を中心としたものだったようです。しかし、明治維新後の西洋化や戦後教育の影響などによって、現在では計算式の作り方や、正解の求め方といった「方法論」を中心とした教育に重きが置かれています。最近は、この辺りのことに興味があって色々調べているのですが、下記の書籍などが参考になります。
先日、うちの子どもが通う小学校で「美しい日本語の話し方教室」という、劇団四季の方達による公開授業を見学させてもらう機会がありました。この授業が大変すばらしい出来で、一応自分も大学の非常勤講師などをしている身として、感銘を受けました。劇団員ならではの進行が極めて明快で内容も分かりやすく、正しい発音の方法を「体験」を通して学べる授業として、完璧にパッケージ化されていました。最近は、こうした社会貢献活動が活発で、他にも力士や野球選手などのプロが来校して行う授業も多いらしく、こうした教育は積極的に継続して欲しいなと、心から思います。
一方、フィンランドの教育に関する話が、ネット上で度々話題になります。これは「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」という映画の一部なのですが、詳しくは下記リンクを見てもらえればと思います。これを見ると、いかに「詰め込み教育」や「横並び思考」が学びにとって効果的でないかが分かります。
やはり、「学び」は「好奇心」ありきなのだと思います。強制的に学ばなければならないと思ってしまうと、勉強は途端につまらなくなってしまいます。本来なら、自分の「好奇心」に従って、学びたいものを学ぶのが正しい勉強なのではないでしょうか。そして「好奇心」が「興味」を引き出し、「興味」が「面白い」につながります。年齢に関わらず、常に「好奇心」を持って人生を面白がっていきたいものです。
「面白いとは何か(仮)」
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Photo by Markus Spiske on Unsplash
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