本を書いています。
Vol. 5 余裕と欲求のバランスについて
最近、時間の使い方について、よく考えます。人生の時間の大半は、多くの場合「やらなければいけないこと」で占められます。学生であれば主に勉強すること、社会人であれば主に仕事をすることなどが、それに当たります。また、それにまつわる「やらなければいけないこと」もたくさんあります。会社や学校への行き帰りの通勤・通学、様々な事務手続き、その間の食事なども含まれるでしょう。そうした時間の合間を縫って、はじめて「やりたいこと」をやるための時間を獲得することができるのです。これは、いわば人生の中で「余裕」と呼べる時間になります。その貴重な時間を何のために割くか、そこに大きく関わってくるのが「欲求」なのではないかと考えています。
この「欲求」は、人によって求めるものが違います。隙あらば海外ドラマを見たいという「ドラマ欲」が強めの人もいるでしょう。同じように「映画欲」が強い人もいます。その他にも、「テレビ欲」や「マンガ欲」、「ゲーム欲」、「スポーツ欲」など、それこそ人の数だけ欲求があると言っていいでしょう。人生という限られた時間の中で、どれだけ「余裕」を持つことができて、その「余裕」の中でどの「欲求」をどういうバランスで満たしていくかということが、人生の充実に大きく関わってくるのです。
そもそも「やらなければいけないこと」で埋め尽くされてしまっては、「余裕」を持つことができず、そうなると当然「欲求」を満たすことができなくなり、ストレスが溜まってしまいます。逆に「余裕」をたくさん持つことができたとしても、「欲求」を満たすことなく無為に過ごしてしまっては、意味がありません。また「欲求」の中にも、自分にとって有益なものと、そうでないものがあります。そういった「欲求」のバランスを、自分の中でしっかりと意識して調整することが重要になってくるのです。
そして、人それぞれが持っている「欲求」は、自分の興味や関心によって刻々と変化します。つまりは「自分がいま何を面白いと思っているか」といことです。私の場合は、それが今は「読書欲」に偏っているような気がしています。少しでも時間があったら、できるだけ多くの本を読んで、いろいろな世界の見方を知りたい、という欲求が強くなってきています。これは元々、本を「書く」ために始めたことでした。「知りたいことがあったら、本を一冊書くといい」という言葉もあるくらい、知ることと書くことは表裏一体なのです。
私は最近になって、やっと地元の図書館のカードを作り、2週間に1度、返却と貸し出しを繰り返しています。その他にも時々行くのが、昨年末に六本木のABC(青山ブックセンター)跡地にできた「文喫」です。ご存知の方も多いと思いますが、ここは1,500円の入場料を支払って入店する、ちょっと変わった本屋さんです。1,500円という金額は、最初は高いなと思いましたが、ちょうどハードカバーの本を1冊購入するくらいの金額です。滞在時間はほぼ無制限、コーヒーとお茶も飲み放題なので、4〜5時間も滞在していれば、損だとは感じません。むしろ、1,500円も払っているという自覚がある分、気を使わずに堂々とゆっくりできるという良さもあります。店内の雰囲気も良く、コワーキングスペースや喫茶店などよりもはるかに集中することができます。お金がかからないという意味では図書館の方がいいのですが、置いてある本がちょっと古いものだったりするのが難点です。その点、文喫に置いてある本は、新しいものも含めて絶妙にキュレーションされているので、まさに本屋の中で堂々とまったり本を読んでいるような感覚で、面白いのです。イメージとしては「書斎」を間借りしているような感じです。もちろん「余裕」がないと行けない場所ではありますが、一度体験してみることをオススメします。
この「文喫」のようなサービスは、「余裕」をお金で買っているようなものです。お金を払うことのメリット・デメリットはあるにせよ、それによって「欲求」が満たされるのであれば、自分の人生にとっては有意義なものであることは間違いありません。人生、何をするにも「余裕」が大事なのです。実は、面白いことを考えるのも同様です。「余裕」がなければ、面白いことなんて考えられるはずがありません。みなさん、ちゃんと「余裕」を持って「欲求」のバランスを取れていますか?
「面白いとは何か(仮)」
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