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空港まで写真を足で撮りに行った話。

今日も写真を撮っている。fpを首からぶら下げて。

「写真は足で撮る」というのは、昔からよく言われている話だ。もちろんシャッターボタンを足の指で押すわけではなく、「いい写真を撮りたかったら苦労を惜しまずに、被写体を求めて現場まで足を運ばなければならない」ということのたとえ話だ。

たしかに東京に住んでいると、そんじょそこらに写真映えする景色はない。どこに行っても人がたくさんいるし、とにかく情報量が多すぎる。整理された絵を狙うのはなかなか難しく、どうしてもやや雑然とした絵になってしまう。ま、そこが東京らしくて面白い写真になったりもするのだけど。

ということで、都内近郊で広くて絵になる場所を探し求めていたところ、ふと思いついたのが「空港」だった。

空港で撮る飛行機の写真というのは、特に珍しくもない。航空マニアの方々にとっては聖地のようなものだろう。ただ、いろいろ調べてみると、練習のために写真や動画を「ただ撮りに行く場所」としては、これ以上ない好条件の場所だと感じられた。

① とにかく情報がたくさんある。

飛行機の写真を撮っている人が多いからこそ、ググれば情報が出てくる出てくる。オススメの撮影ポイントから機材の選定やカメラの設定まで、いくらでも出てくる。飛行機の撮影超初心者の私でも、行く前から現場の様子が手に取るように分かった。参考になったのは、例えばこんなサイト。

② 空港はインフラが整っている。

当然、空港には何でもある。トイレもカフェもレストランもいくらでもあるし、なんならビックカメラまで入っていたりする。実際、この時期の展望デッキは極寒だったが、すぐに温かい食事にもありつけ、何ら不自由はなかった。今回は使わなかったが、行こうと思えばシャワー室だってある。ほぼすべてのインフラが整っていると言っていいだろう。

③ 撮影する人にやさしい。

このご時世、スマホではなく大きなカメラを構えていると、どうしても目立ってしまう。しかし空港ならバズーカのような望遠レンズを構えている人がいくらでもいるし、場所も広いので引け目を感じることもない。そもそも大きなカメラバッグを抱えていても、まったく目立たない。

また、撮影するときにフェンスが邪魔なんじゃないかと思っていたが、羽田空港国際線ターミナルの展望デッキは、なんと撮影しやすいように横に張ったワイヤーだけで構成されている。

都内や近郊でも写真を気兼ねなく撮れる定番の場所といえば、大きめの公園や動物園、水族館、植物園、遊園地など、大きくはアミューズメント系の施設が思い浮かぶが、空港は意外と盲点だった。そういえば入場も無料というメリットもある。

というわけで、休みを使って羽田空港国際線ターミナルに撮影に行ってきた。素人ながら楽しんで撮ったのがこんな写真たちだ。

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せっかくなら普通のトーンでは面白くないので、何となく今回はMartin Parrのようなトーンを目指して現像してみた。まだまだ遠く及ばないが…。

それはさておき、いざ空港に行ってみると、特に飛行機に乗るわけでもないのに空港に行くというのは何だか不思議な感覚だったが、やはり空港というのはちょっとテンションが上がる。そして、飛行機のみならず運搬用の車とかボーディング・ブリッジとか、航空マニアでなくとも男子心を揺さぶられるエモさがある。

そして今回、空港を選んだのにはもう一つ理由があった。大きくて動くものが目の前にあるのなら、動画撮影の練習もトライしてみたかったからだ。fpと合わせて入手したてのdji RONIN-SCに望遠レンズが乗るのかという実験も含めて。実際に Canon EF70-300mm F4-5.6 IS USM を乗せてみると、こんな感じだ。

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一応、乗った。なんとかバランス調整もできてはいるが、フロントヘビー過ぎて必然的にカメラ位置が手前になるので、パン(横フリ)はできてもティルト(縦フリ)はできない。今回はどちらにしても、前述の通りフェンスが横一線なので、都合がいいといえばよかった。ちなみに、フィックスであれば三脚でもよいのだが、展望デッキで三脚を構えている人はさすがにいなかった。

そんなこんなでいろいろ撮ってみて、簡単につないでみたのがこの映像。

結局、ほぼフィックスに近いものしか使わなかったのだが…。まぁこれでも、ジンバルの安定した動きの練習ができたし、Premiereでの細かい手ブレ補正(ワープスタビライザー)も試すことができたので、よしとしたい。

ただ、飛行機は意外と動きが早く(当たり前だ)、AFが追いきれなかったので、実はフォーカスはすべてマニュアルで合わせている。とっさの動きに対応するのがやや難しかったが、感度を少し上げてでも絞りを8.0ぐらいでキープしておけば、何とか合わせられることも分かった(動画内でもところどころピントが怪しい箇所はあるのだが)。

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とにかく、今回は初めての体験だったものの、静止画も動画も撮るなら空港はうってつけの場所であることは分かった。街中のスナップも楽しいのだが、ときには写真を撮ることを目的に、広い場所に出かけることも大事だということも改めてわかった。

これまでにも仕事で風景の撮影をする場合には、たいがい人の行かないような僻地を目指すことが多かった。それは当然、見たことのないような風景を撮るために必要な努力であり、誰でも行けるような場所では絵葉書のようなお決まりの風景しか撮れないからだ。

写真がうまくなりたかったら、たくさん撮るしかない。そして当然、いろんな場所に自分の足で行くしかない。そんな過程も、写真の魅力のひとつとして、楽しんでいきたいものである。

↓ その他の写真はこちらに。

↓と、著書の方もよかったらぜひ。実は2冊めも書き始めてます。


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