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SIGMA fpと過ごした10日間

SIGMA fp がやってきてから、約10日が過ぎた。毎日なにか撮っている。

前にも書いたとおり、今までにも何度か自分の中でのカメラブームが起こっては去っていったのだが、今回はちょっとブームで終わりそうにない。

何がこれほどまで人を駆り立てるのか。一応デザイナーの端くれとしては、まずはやはりデザインが良いのだと思う。ここで言うデザインとは、見た目上のいわゆる「スタイリング」だけではなく、その機能やスペック、使い勝手、心理的な満足度、体験価値などなど、ぜーんぶひっくるめた「パッケージング全体としてのデザイン」を指している。

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とことん「真四角」にこだわった外観。ミニマルなボタン配置。高級感と質実剛健さを兼ね備えた機能美のカタマリ。

特に満足度が高いのは「軍艦部」と呼ばれるカメラ天面のデザインだ。カメラのデザインにおける「軍艦部のデザイン」は、車のデザインにおけるインテリア・デザインのようなものだ。外観でありながら、首に下げたときに撮影者が最も目にする面。各種ボタンやスイッチ、ダイヤルなどが並び、撮影のモチベーションを向上させる。キットレンズの「45mm f2.8 DG DN」も、絞りのダイヤルの形状や全体の質感など、往年のオールドレンズを彷彿とさせて、マニア心をくすぐるデザインになっている。

POWERスイッチとCINE-STILL切り替えスイッチの向きが違うのは、切り替えミスを防ぐためと、親指の構造上、人間工学的に動かしやすい配置になっているのだろう(たぶん)。

また、静止画用のシャッターボタンとは別に動画用のRECボタンが配置されているのは、静止画と動画の撮影をシームレスにつなぐというコンセプトの現れか。動画を撮影するときは、シャッターボタンでも撮影はできるのだが、黒い筐体の中で唯一の赤いポイントとしてアクセントになっているRECボタンの方を、何となく押したくなる。

そして、世界最小サイズを実現するためであろう、思い切ってファインダーを廃したことは、カメラというデザインの呪縛から逃れるためには、個人的には英断であるように思う。

これだけ背面モニターの解像度が上がり、キレイに表示されるようになった今、ファインダーはもはや必要ないのかもしれない。それは、車の例で言えば、サイドミラーやルームミラーが今後ますますディスプレイに置き換わっていくことと似ている。

そして、ファインダーがあるかどうかで撮影姿勢は大きく変わってくる。目高で構える必要がないからこそアングルも自由になるし、人物を撮るときには、無音シャッターとも相まって相手とのコミュニケーションが取りやすくなる。必然的に撮れる写真も変わってくるはずだ。

ヒートシンクは長尺かつ高解像度な動画など、ヘビーな撮影の為の対策なのだろうが、機能的な安心感に加え、ガジェットとしてのカッコよさもある。ただこれについては、もしもヒートシンクがなかったら更に薄くできるはずなので、前回の比較記事でも触れた「フルサイズFOVEON」は、動画機能を排除して、そのぶん薄型になったfpのような筐体になるのではないかと勝手に想像している…が、はたして。

まぁこのあたりのデザイン話をしだすと枚挙に暇がないので、このくらいにしておこう。

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さてこの10日間、自分の中でのテストも含めて、いろんな時間帯、いろんな条件下でいろんな被写体を撮影してみた。とはいえサラリーマンなので、平日は主に朝通勤する途中か、昼休みにちょっと抜け出すか、夜に徘徊するかしか方法がない。そういう意味では、高感度に耐えられる仕様は、サラリーマン的にはたいへん助かるのである。

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使用感としては、とにかく軽快なので、ついついたくさん撮りたくなってしまうというのが本音だ。レンズを含めると重さ的にはdp2 Quattroの方が軽いはずだし、大きさの割には重量感があるのだが、常にカバンの中に入れておいてもほとんど苦にならない。これは、上記の「満足度」とも関連しているのだが、ゴロンと手の中に収まるコイツが何とも可愛らしく、多少重くても常に持ち歩きたいという気にさせるのかもしれない。

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画質はもう、言わずもがなよく撮れる。よく撮れるからこそ、心を鬼にして厳し目にセレクトしないと、どんなものでもそこそこ良く見えてしまって危険なくらいだ。

いろいろ試した結果、撮影はDNGで行い、あとからPhtoshopのCamera Rawでいじることにしている。T&Oなどのカラーフィルターも楽しいのだが、結局はあとからいじりたくなってしまう。

ちなみにRAW現像に明るくない人のために例を見せてしまうと、現像処理というのはこのくらい違うものだったりする。(左がbefore/右がafter)

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ちなみにちなみに、T&OなどのCOLORは+5〜-5までフィルターのかかり具合を調整できるということに、いまさら気がついた。jpgでサクサク撮る場合や動画(MOV)の撮影では、T&Oを-1〜-3くらいで調整して、遊んだりしている。

また、静止画については、SNSにアップしているだけではアーカイブしづらいので、今回はじめてflickrを使うことにした。日本ではあまり馴染みがないサービスだが、とりあえずまとめておくのと「バックアップ」という意味でも、使い勝手が良さそうだ。これまで撮ったfpの画像は、だいたいここに格納している。

そして、せっかくfpにしたのだから、動画も撮りたいと思っていた。今までは、そこそこちゃんと撮るときにはCanon 7Dを使っていたのだが、やはり一眼だとちょっと取り回しが厄介だったりする。

写真とビデオの違いとして、ここでも撮影姿勢が絡んでくる。両手でホールドしてファインダーを覗く姿勢のために進化してきた一眼レフと、片手で持ったり肩に乗せて撮るビデオカメラとでは、根本的に人体との関係性が異なる。そういう意味でも、ほぼ完全な四角形のfpは、静止画・動画どちらにも臨機応変に対応できる、ニュートラルな立ち位置にあるように思う。

また最近は、いわゆるwebに載せるためだけだったり、お金も時間もない中での「そこそこの動画需要」というのが増えてきているような気がしている。そんなこともあって、これからは自分でもある程度動画も撮れてしまった方が(今後のためも考えると)何かといいだろうと思っている。そこで登場するのが、これだ。

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dji RONIN-SC。いわゆるジンバルってやつだ。

実際に使ってみると、そこそこコツは要るものの、こういうのは習うより慣れよ、だ。スケボー(?)で遊ぶ息子を、練習がてら撮影してみた。被写体としては、これ以上ないちょうど良さだった。

適当に撮影して適当につないだだけの、素人感満載の映像だが、カメラの動きは至極スムーズだ。映画っぽくしようと思って敢えて24fpsで撮影したのだが、思ったほどのカタツキも感じなかった。

T&O(-1)で軽くフィルターをかけただけのMOVなのだが、トーンが静止画と同じように反映できるのが面白い。もう少し慣れてきたら、120fpsのハイスピードや、シネマDNGでのグレーディングもやってみたいと思う。

…といったところで、またツラツラと書いてしまったが、ひとことで言うなら(個人的には)「控えめに言って最高すぎるカメラ」である。とにかく使っていて楽しいし、その拡張性や今後の可能性もまだまだ際限がない。

また明日も何か撮ろ。



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