エレゲイア・サイクル ~さよなら、ストーリーテラー(フレッド・マイロウに捧ぐ)
フレッドがベッドの上で仰向けになりながら指を組む自身を見たところで驚くことはない。なぜなら、半年に及ぶ闘病生活が終わったことの安堵が驚きに勝っていたから。フレッドは自身の顔を見る。皺が寄った額、頬も痩せこけている。高い鼻は一層高く見えるが黒ずんでおり、おおよそ健康的には見えなかった。彼は部屋を見渡す。成人し、中年太りがはじまっている四人の子供たちは父親の亡骸を前にして涙を流しながら「信じられない」と繰り返している。フレッドは辛気臭く感じた。病院で病名を告げられ、治療するため