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AmazonのMODERN LOVEがどうしようもなく切なく心に刺さり逆さ刃の銛のように心の臓のコアから抜けなくなるほど僕の勝手で我儘な「スキ」という感情ににグサグサ食い込んだ件について書きなぐろうと思う

時計の短針が「2」を回った。すなわち14時。

14時って絶妙な時間ですよ。

普通にココが会社だったなら、11時半ぐらいから胃の奥あたりが

「It's Time Mr Ishido」(高須?)

なんて声をかけられ始め、そっからその声がどんどん大きくなり13時手前には

「Ishido!!!! Do it!!!!! Now!!!!!」(バウアー?)

なんて大声で怒鳴られようやく隣の後輩や上司に声かけ、ランチに出向き、恵比寿のごきげん麗しゅうなランチを堪能し、無駄話に毒花を咲かせ、ああ次の打ち合わせが迫ってくる~なんていいながら会社に帰っていることでしょう。

なんだって私は家で打ち合わせが終わった後にNoteなんて書いているのでしょうか。(愛息が昼寝に入ったところを見計らってこそこそと。)(しかも初めて。)(初Note)

あ~そうだ、世界がコロナパニックに陥って以来、政府様から自粛要請が下り、愛息を守るため家という名の精神と時の部屋に籠る私は、沢山の映像作品様に巡り合い、そしてその中でもベスト級に燦然と光り輝くあの作品に出合ったからなのだったのですわ~!

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「モダン・ラブ」のジャンル

その名も「モダン・ラブ」Prime Videoで鑑賞可能なAmazonオリジナルドラマですよ。しかも、ロマンティックコメディのオムニバスドラマなんですよ。

「Ishiwasaってそんなジャンル好きなんだっけ?」

とかなんとか僕を取り巻く親愛なる悪友の皆様から不満のお声がかかりそうですが・・・・いや、確かにね。僕は元来恐怖映画愛好家ですし、マーシャルアーツやら総合格闘技系アクションやら血みどろ系のね、人が4,5人もしくはそれ以上、ものの3秒くらいであの世にホームランされるような映画が大好きですよ。

でもね、

こういう、やさぐれきった心をシシ神様がお暮しになるような森の奥の渓流の岩清水でやんやん洗ってくれるような作品も本当は大好きですよ!自慢じゃないけど年齢を重ねるにつれて涙ストッパー機能が錆びついてきてるんですから!人生のベスト映画は「クレイマークレイマー」だしあーもう書きながら泣いてるよ!!!泣 復活せよ僕の涙ストッパー!!

いやこんな駄文はどうでもいいんですよ。怒

とにかくこの素晴らしいドラマがどんなものか伝えたいのですから。

総監督はあの「ジョン・カーニー」

ジョン・カーニーと聞いてピピっと来た人は間違いなく高水準映画リテラシーの持ち主ですね。

「ONCE ダブリンの街角で」

「はじまりのうた」

「シング・ストリート」

などを作ったミュージシャン兼映画監督の才人です。いえもはや祭神です。

彼の作品の特徴としては、まず「音楽関連」であることがマストでしたよね。前3作はすべて「売れないミュージシャン」のお話でした。ただし、そこに音楽を愛する人ならではの、コミュニケーション、人間関係の構築、その愛の矛先によって生じる摩擦、愛情、友情、友情スレスレの愛情、愛情に見えなくもない友情、など繊細な感性で”人間”を描いてきた監督です。

もう僕は全部大好き!!!監督自身が作曲を手掛ける音楽も含め大好きなんで見終わった後に必ずSpotifyでダウンロードしちゃうんですよね・・・今回も切なさ&幸せ浮遊感&ちょっぴりビター感抜群のサントラが聴けます!必聴!

唯一難点を言えば、彼の作品や、「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督の作品は、音楽を愛しすぎる故か、ちょっと大事なところを音楽で誤魔化されている気分にもなったりしかねないのですが、音楽と画のシナジーが抜群に素晴らしいのと、キャラクターの掘り下げががっつりうまく行っているんで、、、行っちゃってるんで、、、、すんなり許せちゃうんですよね・・・・!!しかも読後感はじんわりハッピーだし。うう~また泣けてきた憎いぜこの才能野郎!!!

音楽が題材ではないジョン・カーニー

本作の題材はNYタイムズ紙のコラム「モダン・ラブ」に投稿された一般投稿者のエピソードを抽出して、脚本に落とし込んでいるらしいのですが、たとえ音楽が題材じゃなかったとしても、ジョンが万能な自身のスタイルを持った才人であったことを証明した形になりましたね。

だって描けちゃうんだもの。

ちなみに、総監督と言いつつ、実際に脚本&監督したのは第1話、第2話、第7話だそうです。他のエピソードを監督した方々(女優のエミーロッサムなど)にはちょっと申し訳ないのですが、すべてのエピソードがリアルで癒される良い作品なのですが、この3エピソードは特に際立っていました。

特に、アン・ハサウェイが主演する第3話は、従来の手持ち感撮影、生活感溢れる画作りではないカーニーを観ることが出来るので、最初の7~8分ぐらいは「あれっ?」と思うのですが、それも後半意図的に切り替わっていく計算し尽されたエピソードだったのでとても新鮮でした。鮮度抜群のニューカーニーでした。

各エピソードを簡単にまとめていくよ!(多少ネタばれもあるのですが、鑑賞時の面白さは損なわないようにします)


第1話"私の特別なドアマン" "When the Doorman Is Your Main Man"

あるアパートに住む女性と、親代わりに慕っているドアマンとの心の交流を描く作品です。ふとしたことから主人公はシングルマザーへの道を歩み始めるのですが、紳士に相談に乗ってくれるドアマンが渋くて優しくてかっこいい。人間の心の芯の強さを描いた作品です。あれよあれよと時が経つ終盤。ラストに約束を果たす母娘の姿に涙涙。ドアマンの机の裏に貼られた写真に涙の追い打ち。追い涙。

涙のおかわりくださあい!!!

第2話 "恋のキューピッドは世話好き記者" "When Cupid Is a Prying Journalist"

デートサイトのCEOと記者のお話。ですがこれは「過去に置き去りにした恋」の話です。記者がCEOに語るのは、忘れたくても忘れられなかった恋。
忘れたはずなのに17年後に戻ってきてしまった恋のお話。運命ではなかったはずなのに、また巡り合ってしまった中年男女の心の葛藤を描く美しいエピソードです。記者が語る言葉の選び方ひとつひとつが丁寧で、まばたきもせず見入ってしまいました。しかもアンディ・ガルシアが”ちょうどいい中年イケメン感”を絶妙に醸し出しています。あれはスタイリストとヘアメイクの抜群のコンビネーションの結晶。確かにいるよ、ああいう感じ。それがまた魅力的なんだよなあ・・・・。
この「置き去り恋愛」系の映画の代表作としては、リチャードリンクレイター監督の「ビフォア・サンセット」が該当しますよね。あれは美男美女すぎるし、今回は逆バージョンですが、改めて大人の恋は見ごたえありますわあ・・・。となりましたな。胸がきゅっとなりました。

第3話 "ありのままの私を受け入れて" "Take Me as I Am, Whoever I Am"

これが「ラ・ラ・ランド」ようなミュージカル調で始まるわけですが、
いわゆる”双極性障害”と呼ばれる躁鬱病のお話なんですね。変に目立つ髪色や、やけにスムーズな撮影や、止まらないジャジーなBGMがまさか躁状態の表現だったとは意外でした。そしてこのアッパーとダウナーの繰り返しで苦しむ主人公にアン・ハサウェイがベストマッチ!
本作で描かれているのは、病気ももちろんそうなのですが、本当に苦しいのは「誰にも言わず抱え込むことの苦しさ」であることが後半になるにつれて分かってきます。さらに恋愛の話かと思いきや、本当に大事な人はどこにいるのかわからないもので、助けをくれる人が意外に身近にいるよという着地を見せます。まるで体操の「シライ」ぐらいのキレイな着地。人と話をするって本当に大事な事。

第4話 "夫婦という名のラリーゲーム" "Rallying to Keep the Game Alive"

夫婦のコミュニケーションについて描かれたエピソード。どこの国でも同じですよね夫婦って。男女だもの。この夫婦、もう破綻寸前なのかと思いきや、子供の前では妙に良いチームワークを見せたりして、お互いにいがみ合ったりするのに積極的に夫婦二人の時間を持とうとしていたり・・・心の底では愛し合っているはずなのに、なにか共通のことで楽しもうと思うとバトルモードに突入するあたり、これがなかなかリアル。題名にもなっているテニスのラリーシーンが、「クレイマークレイマー」のフレンチトーストのように効果的に使われています。

第5話 "デートの幕あいは病院で" "At the Hospital, an Interlude of Clarity"

僕の大好きなソフィア・ブテラ(”キングスマン”の義足ソード暗殺者を演じたかわいい人。”アトミックブロンド”でシャーリーズセロンに抱かれてたけど。ラブ。)が主演するお話。珍しく普通の若い男女の恋愛の話なんだけど、いわゆる”最悪のデート”です。たった一晩に起こる心の交流を描いた作品。比較的小品なエピソードだけど、時間が経つにつれてどんどん本音トークが進み、最悪が最高の一夜になっていくいい話。
女の子は自分の魅力も計算済みで、意図的にモテようとする癖もある、人間らしくスマートな女性なのですが、ようやく面白い男性に出会えたと思っているように見えました。ラストの「僕が一晩の繋ぎの存在だったとしても、この夜を忘れることはない」のセリフは、いつか僕の愛息にもこういうことが言える男に育ってほしいなと。(かっこつけるだけが男じゃないんだぞと。)素直な男になることって、なかなか難しいもんね。

第6話 "パパみたいな人とデート?" "So He Looked Like Dad. It Was Just Dinner, Right?"

子供のころに父親を亡くしたファザコン娘が30歳年上をその気にさせてしまう罪深いお話。これまた僕の大好きなジュリア・ガーナーという女優が主演しています。(Netflixの”オザークへようこそ”のルース役の金髪わしゃわしゃ系のキュートな女性です。ラブ。)
僕はこれおじさんの目線で見てたんですけど、「そりゃないぜえ~~」って話ですよね。弘兼憲史先生の、黄昏流星群がリアルにやってきたあ~!俺きてる~!俺が流星群!(NYの人は知らないよね)なんて思ってたらそうじゃないんだからね。そりゃこじらせファザコンがいけないよ。
でも、ラストと最終回でちゃんと心が成長して、年相応の出会いを手に入れることができるようになったことがわかります。「待って!」の後にどんな声をかけたのだろうか。
でも、やっぱ原因があるんだよね。
誰が悪いなんてない!みんな悪くない!笑

第7話 "僕らが見つけた家族のカタチ" "Hers Was a World of One"

ゲイカップルが里親になる話。このゲイカップルのトビンを演じたアンドリュースコットさんは、カンバーバッチ版シャーロックのモリアーティを演じたお方ですね。こういう普通のゲイ役は初めて見るかも。
このお話も、本当に胸を打たれましてですね、撃ち抜かれました。キルアに心臓取られてつぶされてハート型のラブリーな血でピンクに部屋が染まった感じよ。(なにそれ)
特に衝突したトビンと母親ホームレスのカーラが病室でお互いの心を溶かし合うシーンにはもう涙が止まりませんでしたよ。全エピソードの中でも特に複雑な話ではあるんですけど、ユーモア満載だしゲイカップルを演じた二人も魅力的ですし、彼らの子として育ててもらうため産む決意をしたホームレスのカーラも、アナーキーな魅力を発揮しててなんかすっごい・・イイんですよ!
里親になる生活を通じて、自分に足りないところに向き合っていくトビンとカーラに胸がじんわり温められちゃうわけですね。。僕の胸に生卵でも置いておいたら雛が孵るんじゃないかしら。もうぽっかぽか。
「犬」の使い方も効果的で面白いですよ。

あ、あとなぜかエド・シーランが出てきます。

第8話 "人生の最終ラップは より甘く" "The Race Grows Sweeter Near Its Final Lap"

このエピソードは、第6話とは違い、本当にオーソドックスな「老いらくの恋」を描いた作品です。他のエピソードより重いタイプです。なぜなら死別から描かれ、過去がフラッシュバックしていく構成だからです。それでもこのエピソードが輝きを放っているのは、外ならぬ老カップルを演じた二人の円熟味たっぷりの和やかな演技が素晴らしい以外の言葉が見つからないから。男女がいくつになろうと、出会ったタイミングが良ければ恋の感情は変わらず、主人公のジェーンが目に涙を浮かべながら語る「私たちは若いカップルが経験するすべての事をしました」というスピーチが、なんとも言えない感動を与えてくれます。あとお相手の日系ジェントルマンのケンジがこれまたすっごいイイ男なんですよね・・・涙。あの朗らかな笑顔と包み込むようなやさしさ、あんな老人になりたいですよ。知的さと優雅さを兼ね備えた老紳士、魅力的ですよねえ。。。

全エピソードを観終えて

有権者の皆さんに強くお勧めしたいのは、兎にも角にも、是が非でも。

「第1話から順番に見てほしい!!!」

ということですね。

なぜなら、最終回の第8話には、7話までのエピソードで”意図的に描かれなかった部分”を描くというスペシャルなおまけがついているからなのです。
その演出のおかげで、このドラマがオムニバスなのにも関わらず、全8話を鑑賞して”初めて1本の映画を観終えた”読後感に昇華されるんですよね。
構成力の高さというか、ばらつきのないまとまり感を味わせてくれる、投げっぱなし感のないちゃんとした完結を見せてくれるんですよね。

過去の海外ドラマやNetflixのドラマがそうなんだけど、
・オムニバスドラマはまとまり感が無い
・連続ドラマは続かせようとする

というなんとも微妙な特徴がありますよね。
商業主義だから仕方ないのかもしれないけど、僕はそれは映画だけにしてほしいと思っちゃうタイプ。映画は時間が短いからこそ、無理に細部まで描かれないような余韻が重要なスパイスになるからそれが逆にいいんだけど、ドラマはというと、こっちはけっこう長い時間付き合ってあげてきたんだから「スッキリまとめてくれよ。まとめる時間あったじゃん。」って思っちゃう。

その点Amazonドラマはけっこうスッキリまとめてくれるのが多い気がする。最近観た「Tales Flom The Loop」でも、SFオムニバスなのに、終始トンマナも統一されていて、最終回で全エピソードがすべてつながり家族の物語が完結した。その点Netflixよりもずっと親切な作りになっている気がしますね。

うわ、気が付いたらこんな書いちまった。

このNoteはおそらく頻繁に更新されることは無いと思います。
僕のNoteなんかより「モダン・ラブ」を観てくださいね。

早く本作で描かれた、やさしさに溢れたNYが戻ってきますように。

心からの願いを込めて。

それでは!!!






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