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反省だけなら猿でもできる 日テレの調査報告に思うこと③

②からの続きです。


注目ポイントその三十一

本打ちメンバーが当該原作の設定を変えようと試みた ことには、それ相応の議論と積極的な理由があった。しかしながら、本件原作者 の上記返信内容をみる限り、本打ちメンバーで議論した内容・意図が十分伝わっ ているとは思えない状況であったことがうかがえる。

PDF報告書61P

「それ相応の議論と積極的な理由」があっても原作を改変していい理由にはなりません。
原作の内容・意図を十分に理解できた上でのどうしようもない改編であれば原作者も受け入れてくれたでしょう。


注目ポイントその三十二

本件原作者はドラマ化に支障が生じる必要最小限の修正のための ものしか認めず、制作サイドの創作の余地をほとんど認めないという対応に終始した。この間のやり取りは、本件原作者、制作サイド(本件脚本家含む)とも に、相当のストレスや困惑を生むこととなったと推察される。

PDF報告書63-64P

もう何度目でしょうか。原作者を暗に悪者にしようとする印象操作です。
制作サイドのストレスは自業自得でしかありません。


注目ポイントその三十三

制作サイドは、原作サイドから本件脚本家に対するネガティブな指摘が出る 都度、脚本案やプロットは、本件脚本家を交えた制作サイド内での意見交換など 協議を経て作成していることを説明し、本件原作者にも伝えて欲しいと要望し ていた。

PDF報告書66P

たとえ協議を経て作成していたとしても最終的に脚本として仕上げるのは脚本家なのでは?
責任転嫁と被害者面が腹立たしいです。
というか「ネガティブ」って言い方もひっかかります。


注目ポイントその三十四

ヒアリングにおいて本件脚本家は、脚本降板はにわ かには納得しがたいことであったが、本件原作者の強い意向であると聞かされた ことや、これを受け入れないと本編放送及び二次利用についてもすべて差し止め ると小学館から言われているので受け入れてほしいと懇願され、自分のせいで制 作サイドに迷惑を掛けてはいけない、という思いで、やむを得ず降板することを受 け入れたと説明している。

PDF報告書67P

この報告書には上記のような同じ内容が複数回登場します。
ほとんどが脚本家や制作サイドの被害者アピールですね。
何度でもいいましょう、原作者を納得させられるだけの脚本を書けないだけでなく、指摘も聞きたくないと要望したのは脚本家です。


注目ポイントその三十五

今回のドラマの局プロデューサーは一人であったが、いわゆるゴールデン・プ ライム帯(19~23 時)のドラマのメインプロデューサーを担当するのは初めて(略)
今回、制作担当のプロデューサーを直接フォローする立場にいたのはチーフプロデューサーであったが、チーフプロデューサーは直前の 7 月期のドラマも 担当しており、少なくとも 9 月頃まで、本件ドラマと同時並行でその任に当たっ ていた。制度上、チーフプロデューサーは複数のドラマを掛け持ちして担当する ことが当初から想定されているものの、当該 7 月期のドラマは本件ドラマと同 様に別の若手のプロデューサーが一人で担当しており、また制作過程でチーフ プロデューサーの対応が必要な問題が発生していたことから、チーフプロデュ ーサーは相当程度 7 月期ドラマへの対応にも意識を割かなければいけない状況 であった。そのため、本件ドラマに関して十分にプロデューサーをフォローでき る体制にあったかどうかは疑問が残る。

PDF報告書74-75P

何回「チーフプロデューサー」が出てくるのか。
人は言い訳をする際、同じ言葉を無意識に繰り返す傾向があります。
要は「チーフプロデューサー」は今回関わってないと言いたいのでしょう。
しかし、これが本当なら「難しい原作者」の原作のドラマという難しい現場に経験の浅い人物を抜擢したのにもかかわらずほぼ丸投げした無能者とも思えますが?


注目ポイントその三十六

(1) 本件の状況まとめ 以上を踏まえ、本件の状況を時系列的に分かりやすく総括すれば、以下のように まとめることができる。
① (略)
②(略)
③ 一方、このような日本テレビの判断に対して本件脚本家は不満を持ち、特にク レジットに関しては、ここで自分が折れてしまうとすべての脚本家の尊厳に 係わるという危機感を持つに至った。そのため、自分が 9,10 話の脚本を書い ていない事実を周知する趣旨も合わせて、インスタグラムで投稿を行った。
④(略)
⑤ 本件原作者は作品の出来自体には満足している様子が見られたが、本件脚本 家の SNS 投稿を目にしたことにより、事の経緯と自分の立場を説明する必要 があると感じ、ブログとXに投稿した。これがインターネット上で大きく取り 上げられ、賛否両論を含む様々な意見が飛び交う事態に発展した。

PDF報告書77P

おわかりいただけただろうか?
脚本家と原作者に対する扱いの違いに。


注目ポイントその三十七

ドラマ班を含むエンタメ番組制作の責任者である日本テレビの コンテンツ制作局の幹部 G 氏は、「ドラマという専門性が高い分野に常に遠慮があっ た」、「人材育成や制作状況などにもっと気を配り、管理するべきであった」とした上 で、「今回ゴールデン・プライム帯のメインプロデューサーを一人で担当させること が決まったとき、上長として、サポート体制を整えるよう的確に指示をするべきであ った」、「プロデューサーが追い込まれている状況を把握できなかった自身にも責任 があった」と振り返っている

PDF報告書78P

うんうん、ですよね、責任者は責任を取るために下っ端よりお給料が高いんですよね。
で、具体的にどういう処分を受けるのですか?


注目ポイントその三十七

脚本家はクリエイターであり、その尊厳は尊重され るべきである。

PDF報告書85P

また出ました「脚本家の尊厳」。
確かにゼロから作り上げた脚本ならば「脚本家はクリエイター」です。
でも原作ものの場合は「アレンジャー」にすぎないのでは?


注目ポイントその三十八

1. 原作があるドラマにおいて大切にするべきだと考えること
●原作者が「絶対にダメ」と言ったことは出来ない。常にずっとそうである。そして編集者 の「どう変えても構わない」は、常に疑ってかかるべき(プロデューサー)
●原作側の意思をしっかり確認する。脚本を原作者に投げ意向を伺う(プロデューサー)
●自分がどれだけ原作のファンであるか、好きであるかを伝え、変えたい部分があれば、こ うした方がドラマとしては面白くなるとなるべくロジカルに伝える(プロデューサー)
●すべては原作に「ある」ので、何度も何度も読んで、迷ったら読んで、原作をできるだけ 搾り出す。その上で改変することが見えてくる。原作者を無理矢理に説得しようとしない、 お互い納得いくまでやり直す。じゃないと原作ものはやってはいけない(プロデューサー)
●原作者、原作ファンがいる事を念頭におく(演出)

PDF報告書 別紙2 2P
  

嘘つけ。


注目ポイントその三十九

原作を映像化する際は、誰も改悪する気はなく、いいものにしたいと思って作るということを前提と して信じてもらった上で、原作者ご自身が思う世界観と違うものが出てきてしまうこともあるが、原 作者の持っている思いに近づけられるようにさらに努力をしていきます、ということをご理解いただ ける原作者とやることが大切だ。

PDF報告書 別紙3 元プロデューサー 6P

こういうやつがいるからク〇ドラマが後を絶たないんですね。


注目ポイントその四十

●今回のことを受けて
これで怖がっちゃいけない。安全にドラマを作る方法なんてない。それはみんな意見が違うし考え方 が違う。その中で人間の生き方みたいなものを提示していかなければいけない。意見の食い違いもケ ンカもいろんなことがあって、プロデューサーが代表して、こういうドラマを世に問うんだと原作 者、脚本家をまとめやっていかなきゃいけない。それを怖がっていたら面白いモノが出来なくなって しまう。そういう危険は今後もはらんでいるだろうけれども、だからこそ話し合ってコミュニケーシ ョンをとってやっていくしかない。
放送局としてはまず第一に社員を守ることが仕事。社員を守るために早く結論を出すとか、その原作 に係るトラブルの際に早く赤信号みたいなものをキャッチし、社員ができるだけクリエイティブに物 を作る環境を整えるのが会社の仕事。
・若手プロデューサーの起用については、(トラブルになりやすいというのは)正直言ってあるとは思う が、それを恐れていたら駄目。失敗しないと学ばないからこそ、失敗してもフォローが出来る体制を作 っていく方が大事。

PDF報告書 別紙3 元プロデューサー 9P

この信じられない文章が別紙とはいえ今回の報告書の締めになります。
元プロデューサー5名の回答となっていますが、わざわざ最後に掲載したということは日テレも同意見ということでよろしいでしょうか?
人ひとりが自ら命を落とした事件が「これ」……。
何故今回のような悲劇が起こってしまったか、答えはここにありました。


【まとめ】に続きます。

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