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邦楽由来の言葉たち

『邦楽』と聞くと現在のJPOPを思い浮かべがちですが、日本の古典音楽を指す言葉でもあります。
雅楽・能楽・浄瑠璃・吟詠・民謡などなど、まるっとまとめて『邦楽』です。

千年、いやもっと長い歴史がある『邦楽』。
ならば言葉に深い影響を与えているはず。
調べてみたらやっぱりあったのでご紹介します。


減り張り(めりはり)

物事の強弱などをはっきりさせること。

デジタル大辞泉

由来は、

メリハリは「メリカリ」が転じた言葉である。
「メリカリ」とは邦楽用語で、低い音を「減り(めり)」、高い音を「上り・甲(かり)」と呼んだもの。
「減り」は「減り込む」など、一般的にも使われる語だが、「上り・甲」は邦楽以外で使われることがなく、現代では、主に尺八などの管楽器で「浮り(かり)」が使われているくらいである。
そのため、一般では近世頃より「かり」に変わって「張り」が使われるようになり、「メリハリ(減り張り)」という語になった。

https://gogen-yurai.jp/merihari/

オークションサイト「メルカリ」の由来も同じ……ではありません。


矢鱈(やたら)

順序・秩序・節度などがないさま、また、程度が並はずれてはなはだしいさまを表わす語。むやみ。むちゃくちゃ。

精選版 日本国語大辞典

由来は、

「やたら」の語源といわれるのが、雅楽の「八多羅拍子」という言葉です。「八多良拍子」「夜多羅拍子」などともいい、2拍子と3拍子を交互に繰り返す5拍子から成るリズムの一種です。テンポが速い拍子で、調子が合わず乱れやすいことから、秩序や節度のないさまをいう言葉になったといいます。

https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles

「矢鱈」は当て字です。


打ち合わせ(うちあわせ)

前もって相談すること。下相談。

デジタル大辞泉

由来は、

打ち合わせは、雅楽の演奏に由来する。
雅楽では、笙などの管楽器、琵琶などの弦楽器、太鼓などの打楽器が使われる。
それらのリズムを合わせるために、笏拍子(しゃくびょうし)などの打ち物を打って拍子を取ることを「打ち合わせ」と言った。
拍子を取ってリズムを合わせることから、打ち合わせは「物事がうまく合うようにする」の意味になった。
さらに、物事を円滑に進めるためには、前もって相談することも必要であるため、打ち合わせは「事前の話し合い」を意味するようになった。

https://gogen-yurai.jp/uchiawase/

「打ち合わせするぞ」と言われた時に、すかさず打楽器を用意すると「君、わかってるね~」と上司に認められる……かもしれません。


乙(おつ)

普通と違って、なかなかおもしろい味わいのあるさま。味(あじ)。

デジタル大辞泉

由来は、

邦楽では、「甲」に対して一段低い音を「乙」といった。
江戸時代、この低い音が通常とは異なる調子であることから、普通とは違って「変なさまだ」「妙だ」という意味で、邦楽以外のことについても使われ始めた。
この頃には、マイナスの意味での使用がほとんどであったが、明治時代に入ると、変わっていて「しゃれている」「趣がある」といったプラスの意味で用いられることが多くなった。
一説には、まっすぐな「一」に対して、「乙」は字が曲がっていることからともいわれるが、邦楽の「甲」に対して「乙」の説が有力である。

https://gogen-yurai.jp/otsu

ネット用語では「お疲れ様」の略語としてそこそこ使われます。


序破急(じょはきゅう)

すべての物事の、始め・中(なか)・終わり。物事の展開してゆく流れ。

デジタル大辞泉

由来は、

序破急は、雅楽のなかの舞楽の構成を語る際のことばです。「序」始まり、「破」盛り上がり、「急」結び、という構成のことです。後に、歌舞伎などの芸道でも広まり、今では映画や小説などの構成にも応用されるようになりました。

https://idiom-encyclopedia.com/three/jyohakyuu/

「序破Q(じょはキュー)」と書くとヱヴァンゲリヲン新劇場版になってしまうので書き間違いにはご注意を。


今回は以上です。
『邦楽』は範囲が広くまだまだありそうなので、できれば「序破急」にならい全三回にしたいところですが、はたしてどうなることやら。
気長にお待ちくださいませ。

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