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唐突に蘇った映画館の思い出

朝食時、新聞に折り込まれていたチラシを何気なく見ていると、とあるショッピングモールの宣伝が目に留まりました。

新作映画の宣伝とともに館内のシートの紹介も載っていて、通常料金に上乗せすれば二段階特別なシートが選べるという「まだ二段階上があるってどこのフリーザ様だよ」なチラシでした。

ゆったりとリラックスして映画が楽しめるというコンセプトなのでしょうが、あまりリラックスし過ぎると寝ちゃうよねと母と話していた時に遥か昔の記憶が突然脳裏に浮かんできました。

それは私が小学生の時の記憶。
今とはまったく異なる映画館での記憶。
満員御礼であふれかえりそうな観客の一人として「立ち見」をしていた情景です。

「あれ?映画館って昔立ち見してたよね?」
「そうそう、それが普通だった。」

それまですっかり忘れていましたが、昔は「立ち見」が当たり前だったのです。
チケットは全席指定席の現在とは違い基本は自由席、つまり早い者勝ちですした。
人数制限もなく席に座れなかった人は「立ち見」になります。

今は見かけませんが、客席の最後尾の後ろにも通路があり手すりが設置されていました。肘をついたり寄りかかれるようにとの配慮なのでしょう。
そこが「立ち見」席というかスペースになります。
それでも収まりきらない場合は通路に溢れていきました。
通路と言ってもほとんどの映画館は階段状になっていたのでそこに順次座っていきます。
床に直接座る形になるのでお尻が痛くなりますが、長時間立っているよりはまだマシかもしれません。

客席も通路も観客で埋め尽くされているという今では見ることのできない光景です。
古き良きなのか悪きなのかは人それぞれだと思いますが、昭和の残光といったところでしょうか。

もちろん今では消防法が厳しくなり実現不可能な状況です。
しかし、仮に許されても同じ光景を見ることはできないでしょう。
たとえウィルス騒動がひと段落しても娯楽が飽和状態な今、残念ながら映画館に人が押し寄せる未来は想像できません。

だからこそ特別なシートや4DXなど客単価を上げる方向に進んでいるんだと思いますが、同時に映画は高いと敬遠される要因にもなっています。
チケット代以下で1ヶ月見放題が一般的な現状では厳しい戦いです。

スマホは言うに及ばず、TVやモニターで見るのと映画館のスクリーンで観るのとでは迫力が圧倒的に違うのですが、そもそも体験していなければそれがわかりません。
なんとか未体験の人々をわからせる方法はないのでしょうか・・・

映画好き、映画館好きの端くれとして映画館が無くなってしまうのは悲しいし寂しいので、これからも可能な限り映画館で映画をみようと思います。


#映画館の思い出

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