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【本紹介】その8『心理的安全性のつくりかた』

『心理的安全性のつくりかた』は、チームビルディングに欠かせない心理的安全性という概念をわかりやすく解説した本です。

著者の石井遼介氏は、日本の心理的安全性を研究してきた株式会社ZENTechの取締役で、多くの企業や組織に心理的安全性の高め方を指導しています。

本書では、心理的安全性がどのようにチームの生産性や創造性に影響するのか、そして具体的にどうすれば心理的安全性を高められるのか、4つの因子と行動分析に基づいたフレームワークを紹介しています。
Googleやハーバード大学などの最新の研究成果も取り入れており、心理的安全性に関する最先端の知識が得られます。

『心理的安全性のつくりかた』でチームビルディングの新しい視点を学ぶ

心理的安全性とは何か?

心理的安全性とは、「リスクのある発言をしても、チームの他のメンバーが自分の言葉を拒否や罰することがないという思いがメンバーによって共有されている状態」と定義される心理学の言葉です。

この言葉は1999年にハーバード大学のエドモンドソン教授が提唱しました。エドモンドソン教授は、病院で医療過誤が起きた原因を調査した際に、看護師が主治医に対して不安や恐怖を感じていることに気付きました。
その結果、看護師は患者の投薬量の間違いに気付いても報告しなかったり、経験豊富なメンバーが提案を発言しても否定されたりすることが多くありました。
エドモンドソン教授は、このような状況がチームのパフォーマンスや品質に悪影響を及ぼすことを指摘しました

心理的安全性がチームに与える影響

心理的安全性が高ければ、メンバーは自分の意見や感情を自由に表現できるようになります。また、他人の意見や感情も尊重し、受け入れることができます。これによって、チーム内でのコミュニケーションや協力がスムーズになります。
さらに、メンバーは失敗や挑戦を恐れずに行動できるようになります。これによって、チームは新しいアイデアや解決策を生み出しやすくなります。つまり、心理的安全性はチームの生産性や創造性を向上させる要因となるのです。

このことは、Googleが2012年から4年間かけて行った「プロジェクトアリストテレス」という実験でも実証されました。
この実験では、Google内の180以上のチームを対象に、「生産性の高いチーム」に共通する要素を探求しました。その結果、最も重要な要素は「心理的安全性」であることがわかりました。心理的安全性が高いチームでは、メンバー同士が相互信頼し、仕事の意味やインパクトを共有し、構造と明確さを持っていました

心理的安全性を高める方法

では、具体的にどうすれば心理的安全性を高められるでしょうか?

本書では、日本人特有の価値観や文化に基づいて、
「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」という4つの因子を紹介しています。
これらは、「自分らしく働ける」「仲間から支えられている」「成長できる」「楽しく働ける」という4つのニーズを満たすことで生まれるものです。

話しやすさとは、「自分らしく働ける」ことです。メンバーは自分の考えや感情を素直に伝えられるだけでなく、他人からも受け止めてもらえることです。話しやすさを高めるためには、リーダーがメンバーから意見を引き出したり、フィードバックを与えたりすることが大切です。

助け合いとは、「仲間から支えられている」ことです。メンバーは困ったときに助けてもらえるだけでなく、他人を助けることもできます。助け合いを高めるためには、リーダーがメンバー同士の信頼関係を築くことが大切です。

挑戦とは、「成長できる」ことです。メンバーは失敗や挑戦を恐れずに行動できます。挑戦を高めるためには、リーダーがメンバーに目標設定やフィードフォワード(未来志向型フィードバック)を行うことが大切です。

新奇歓迎とは、「楽しく働ける」ことです。メンバーは新しいアイデアや解決策を生み出したり、試したりすることができます。新奇歓迎を高めるためには、リーダーがメンバーに多様な価値観や視点を持つことを促すことが大切です。

本書から得られるもの

本書では、これら4つの因子だけでなく、「心理的柔軟性」というリーダーに必要な能力も紹介しています。「心理的柔軟性」とは、「自分自身や他人への思考・感情・行動パターンから自由になり、目標達成へ向けて最適な選択をすることができる能力」と定義されます。

心理的柔軟性が高いリーダーは、自分やメンバーの状況に応じて、話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎の4因子をバランスよく高めることができます。本書では、心理的柔軟性を高めるための方法や練習法も紹介しています。

また、本書では、心理的安全性を測定するための指標やツールも提供しています。心理的安全性は、チームの状況やメンバーの特性によって変化するものです。そのため、定期的に測定し、改善点を見つけることが重要です。

さらに、心理的安全性を測定するためのアンケートや行動分析に基づいたフレームワークを紹介しています。これらを使えば、自分のチームの心理的安全性のレベルや強み・弱みを客観的に把握することができます。

本書は、心理的安全性という概念を深く理解し、実践するための必読書です。チームビルディングに興味がある方はもちろん、リーダーやマネジャーとして働く方にもおすすめです。
本書を読んで、自分のチームや組織に心理的安全性を高めることで、より生産的で創造的な仕事ができるようになるでしょう。

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