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『論語と算盤』(渋沢栄一)ブックレビュー

2023年一発目のブックレビューは渋沢栄一さんの『論語と算盤』。
渋沢栄一さんって「日本史で名前は覚えたんだけど、何やったかはよく覚えとらん」みたいな人だったけど、簡単に言えば『海外の文化をもとに、日本で初の株式会社を作って、会社というものの基盤を作った人』って感じ。そのベースには孔子の論語に基づく道徳心・倫理観みたいなものがあって、タイトルは『算盤(商売、経済観)には道徳心が絶対必要で、両者は決して相反するものではない』というメッセージが表わされている
この本ね、僕的には結構難易度が高かった。でも理解を進められたのは、Youtube大学があったからです笑
渋沢さんの紹介も別動画で行われているので合わせておすすめ。

 さて、レビューいってみますか。

第1章:処世と信条

士魂商才:武士的精神も商才も共通して論語から学べるものであり、いずれも道徳がベース(P3)
人間観察法『視・観・察』:目でわかる行為(視)、その背景となる動機(観)、その人が本当に満足すること(察)で人を判断せよ(P10)
争い自体は絶対に排斥すべきものではなく、奮発心の育成に繋がるので時に必要なもの(P23)
自然的逆境(災害など)は足るを知り、受け止めるしかない。人為的逆境(自然災害などを除く苦難)は自らを省みて改めよ(P23)
蟹穴主義:自身の分を知り、身の丈に合ったことをせよ(P25)
まず道理に合うかを考え、その道理に沿ったやり方をすれば国家の利益になるかを考え、更にそうすれば自己のためにもなるかを考えよ(P27)

→商才も道徳心からきている。このあたりは松下幸之助さん稲盛和夫さんや岩田松雄さんのベースになっている考えだな。豪華すぎるメンツだわ。

第2章:立志と学問

些細な仕事も勤勉に忠実に誠意を込めて取り組め。それがチャンスに繋がる(P59)
己を知り、身の程を考え、適切な人生の方針を立てろ(P48)

第3章:常識と習慣

常識とは『智・情・意』。人情に通じた道徳観のようなもの(P59)
習慣は人格にかかわり、(いいものも悪いものも)感染性と伝播力を持っている(P69)
超越した「偉き人」ではなく、常識を持った「完(まった)き人」になれ(P71)
努力して勤勉でい続けることが大切(P80)
常識(道徳・正義感)に基づき判断すべし。ゆえに常識を持ち続けられる意思を鍛錬せよ(P83)

→常識の定義が素敵だし、それを持ち続けることが人生の成功といえるわけか。そのためには、日ごろの習慣を徹底することでブレずにやっていけると。うん、朝活と休肝日は継続だ!笑

第4章:仁義と富貴

利益は人徳に基づくものでないと長続きしない(P85)
孔子は「利益を卑しく得ること」を否定しているが、正しい方法で利益を得ることならば推奨している(P92)
国を治め民を救うには、道徳と経済観が必要(P98)
義理合一(正しい道徳観を持った利益追求)も競争が盛んになるべき(P105)
よく集め(利益を正しく得て)よく散ぜよ(社会のために正しく使え)(P110)

→孔子についてはなんとなくイメージで「争いは全部よくない!」みたいな方針だと思っていたので、大きく誤解していた。正しい競争はいいわけだね。『よく集めよく散ぜよ』は本当にその通りで、僕も最近お金を使う時には、店員さんの感じがよくておいしいレストランを中心に選ぶとかっていう、応援したいところにお金を使うようにしている。

第5章:理想と迷信

客観的人生観(まず社会にいいことを優先し、そのあと自己の利益を考える)をもて(P121)
利殖と仁義道徳は一致する。知の低い人は不道徳に利益を得てしまうので、それを見て利殖と仁義道徳が相反するものだと誤解をしてしまう傾向にある。(P127)

→わかるわぁ~。汚い手段、下品な方法で大金持ちになっている人見ると、結局ずるしたもの勝ちみたいに思っちゃうけど、それは違うよなぁ。

 

第6章:人格と修養

人の評価は富や成功ではなく、世に尽くそうという精神と効果にて計られるべき。(P146)
心掛けが決まっていく意思の鍛錬を続けれていれば、いかなる時もブレず惑わず(P155)

→さすが、徳川慶喜に仕えた経験のある渋沢さん。武士のようなまっすぐな意思を持っている。ただそんな渋沢さんもブレかけたことがあるみたいな話もP155あたりに掲載されていて面白かった。

第7章:算盤と権利

道理が正しいことに関しては、尊敬すべき人を前にしても押し通せ(P175)
王道は人間行為の定規。相互を思いあってこそ真の調和となる(P179)
いかに国を富まし、それによって自己も栄えようかを考え勤めるべし(P180)
善意なる競争をせよ(P182)

→繰り返し繰り返し、大事なことが説かれる。『利他の心』、をもって自己も反映せよと。

第8章:実業と士道

→割愛。

第9章:教育と情誼

今の教育は全員が当たり前に受けられるゆえ、生徒の主体性がなく、学問のために学問をしている(P219)
優れた女性から優れた子が産まれるので、女性への教育は国の発達に繋がる(P220)
道徳教育が足りていない。実業においても表面的な知を学ぶにとどまり、人格について学べていない(P226)

第10章:成敗と運命

富や天下を持つことではなく、非常なる尊敬をされることが真の成功。渾身の努力をし尽くせ(P239)
順境も逆境も自らの力で作り出すもの(P244)
自己の責務を果たすため、まずは誠実に努力せよ。運命が開拓されていく(P249)

第10章あたりは『嫌われる勇気』とかにもあった「他人との競争ではなく、まずは自分にできる精一杯をやれ」みたいなメッセージとも共通しているし、『生き方』にもあった「努力し続ければ最終的には運命に導かれて道が開かれる」みたいな内容にも共通する印象だった。

色々悩んだり迷ったり考えたりが多い今の僕。感情的にならず、冷静に道徳心や正義感を保ち、育てていこうと思う。

 



 

 

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