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『生き方』(稲盛和夫)ブックレビュー

めっちゃ好きな本、見つけました。この本、すんげーよかった。
稲盛和夫さんは京セラや第二電電(現KDDI)の創業者。今年8月24日に稲盛さんが亡くなられたことも本購入のきっかけではあったけど、実は前からとても興味を持っていた方でもあった。2010年、稲盛さんが日航の会長に就任した際、TVのインタビューかなんかで就任の理由を「年寄りとしてそろそろ社会のお役に立てればいいなと思った」みたいなとても謙虚で崇高なコメントをしていて、当時大学4年の僕にとってはそれがとても印象に残っていた。

そんなわけで読んだこの本。書いてあることはタイトルのとおり『生き方』について。曰く『人生や仕事の結果=考え方×熱意×能力』であり、考え方がマイナスだと人生の結果もマイナスとなってしまう。そしてその肝となる考え方は、引用すると以下の文に集約されている。

「世のため人のために尽くす」という考え方、欲望のままに必要以上のものを求めたりむさぼったりしない「足るを知る」という生き方を、心に刻みつけるのです。(P239)

生まれてきたときより、少しでもきれいな魂になるために、つねに精進を重ねていかなければならない。それが、人間は何のために生きるかという問いに対する回答でもあると思うのです(P243)

 いわゆる『利他の心』と『足るを知る』。これにより魂を磨くことが生きる目的なのだと。たまらないぜ、レビューします。

 プロローグ

生きる意味=魂を錬磨すること(P16)
「人間として正しいかどうか」が必要な考え方の基準(P18)
一日一日を「ど真剣」に生きるべし。仕事は心を磨く修行になるものであり、ラテン語には「仕事の完成よりも仕事をする人の完成」という言葉がある(P23)
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力。掛け算であり、能力が高くなくても熱意で挽回可能。ただし考え方はマイナス値の場合もあり得るため、正しい考え方を持つことが何より重要(P24)

第1章:思いを実現させる

『思わんとあきまへんなぁ』という松下幸之助さんの講演にあるように、まず「すさまじく思う」ことが実現につながる(P42)
「手の切れるような」(=手で触れたら切れてしまいそうな、あまりに完璧なもの)理想のものを作る(P47)
「運命」はあるが、心のありようによって変えていける(P59)
志だけでなく、一歩一歩努力を重ねよ。人生は「いま」の連続である(P64)
「有意注意」(=目的をもって神経を集中させること)が大切(P75)

 →稲盛さんと松下幸之助さんが繋がっていることが豪華すぎる。。。
思うことの大切さは『成功の掟』、連続する今を必死で生きることの重要性は『嫌われる勇気』とも共通するな。

第2章:原理原則から考える

「人間として何が正しいのか」が判断基準。(P84)
人生の方程式『人生・仕事の結末=考え方×熱意×能力』(P95)
「一日一日をど真剣に生きる」こと。限界を超えた時、不可能が可能になる(P98)
「好き」であることがモチベーションになり、意欲や努力につながる。もし仕事が楽しくなければ、ひとまず一心不乱に取り組むこと。それが成果につながり、楽しさが生じる(P108~110)

 

→この人生の方程式は心に刻んでおこう。また、好きであることが重要であり、仮に好きでないのならひとまずうだうだ考えずに一心不乱に取り組むことが結果楽しむことに繋がるってのは、仕事だけでなく育児とか家事とかっていうやらなくてはいけないこと全般への向き合い方として共通すると感じた。

第3章:心を磨き、高める

能力や才能を独占することなく、人様や社会のために使う(P128)
人の上に立つ者には才覚よりも人格が問われる(P131)
深沈厚重(謙虚、内省、「私」の抑制、正義)さが必要(P132)
心を高める(=生まれたときより美しい心で死んでいく) (P136)
『6つの精進』・・・①誰にも負けない努力②謙虚にして驕らず③反省ある日々を送る④生きていることに感謝⑤善行、利他行を積む⑥感性的な悩みをしない(P137)
どんなときもありがとうといえる準備をしておく(P144)・・・感謝は満足から生まれる。そして満足は心の問題。したがって『足るを知る』ことで常に感謝できる
反省と感謝:「神様ごめん」「なんまんなんまんありがとう」が口癖(P148)
利他の心(自分よりも他者の利を優先)をもつことが特上、最善(P154)
私心を含まず綺麗な心で思う。すると思いもよらない知恵が啓司のごとく湧いてくる。それが人生を豊かにする(P157)
働く喜びは最上の喜びであり、勤勉を通じて精神的な豊かさや人格的な深みも得る。これがあってこそ趣味や遊びの楽しさが味わえる(P158)

 →利他の心、美しく崇高だ。尊い。
そして働くことを懸命にするからこそ、趣味や遊びが心から楽しめるって、本当にその通りだと思う。僕自身の仕事観もまんざら間違っていないんだなと思った。

第4章:利他の心で生きる

利他の心(世のため、人のために尽くすこと)をもてば、結果として他人の利だけにとどまらず巡り巡って自分も利することとなる(P173)
事業活動は正しい方法で利益を追求すべきであり、最終目的はあくまで社会の役に立つこと(P178)
『私の資産は多くの支援や尽力により得られたのだから、私物化してはいけない』(P189)
『忘己利他(もうこりた)』:自分のことを忘れて人様に尽くすby天台宗(P195)
大人が子供に『人を思いやる心』を教えてこなかったため、道徳規範が失われつつある(P196)
『足るを知る』:私欲は程々にし、少しの不足ぐらいで満足し、あとは他と共有する優しい気持ち(P205)

→『利他の心』からの『足るを知る』、絶品。日々心に刻み、子供にも伝えていきたい。

 第5章:宇宙の流れと調和する

人間は運命に支配される一方で、自らの善思善行によって運命を変えていける(P211)
長期的には必ず善因は善果に通じる(=因果応報の法則)ので焦るな(P216)
生まれた時より美しい心で死んでいくことが生きる目的(P226)
自戒を守ろうとする心、守れなかったことを反省する心こそが大切(P231)
「世のため人のためを尽くす」「足るを知る」を心に刻み、生まれた時より少しでもきれいな魂になれ(P239、243)

 生きる目的を明示し、そのために必要な考え方が克明に描かれていたこの本。人生の方程式についても至極共感した。僕は現時点はまだまだつまらない人間だけど、日々どうあるべきかを見つめながら、少しずつでもいい人間になっていきたいと思う。

稲盛さん、ご冥福をお祈りいたします。

 

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