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ひきこもりとともに歩き、学び、遊んだ色色

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ひきこもり支援をしながら、ひきこもりの人たちとともに歩いて、学んで、そして遊んだ様々なことをつづったものです。無償で気軽に読める短い記事やレポートを集めています。もしよければご一… もっと読む
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記事一覧

N君のメランコリー  〜たくさんの自分を抱えるひきこもりの葛藤〜

<多くの感情の塊を胸に秘めてビクビク…>  N君という人がいます。  N君は十年以上のひきこもり経験を持ち、今もまだ悩み続けています。  そんなN君にはある特別な症状というか性癖というか、がありました。 それは、いくつかの独立した感情の塊のようなものが心の中にあることでした。独立した、というのは、ようするにあまりにも異なった、時には相反する価値観というか、感情というか、感覚というか、そういったものがあって、時々交代して表に出てくるのです。 こう説明すると、多重

ひきこもりサブカルちゅあ⑤ いざVR(仮想世界)の中へ!

僕がたまに会う若者の中に、VR(仮想世界。3次元的に構成された世界)のスペシャリスト?がいます。 彼の部屋を訪問した時は、彼のアバターを借りて、僕もよくVRの世界に入らせてもらっています。 写真の美少女が、僕ですね。VRの中に若者が作った部屋というか、舞台があるのですが、その仮想世界の中で自分自身の写真を撮った自撮り写真です。 ちなみにそのカメラも彼の作った部屋というか、舞台というか、スタジオというか、そこに置いてあるものです。 どうですか? この若者の話によると、

ポスト・コロナへの憂い 懸念されるひきこもり支援の今後

 コロナのワクチン普及が進むなど、じょじょにコロナの混乱もおさまる気配を見せています。  それ自体は悪いことではないかもしれません。世の中が、新型コロナに感染する不安や憂いから解放されれば、社会も世界も大きく変わっていくことでしょう。  ただ、だからといって、単に元通りになるわけではありません。  ひきこもり支援の現場に立つと、この一年半余りのコロナ禍において、少なくとも4つの課題が大きく浮上してきそうです。 第一の課題:コロナ禍での思わぬ停滞 一つ目の課題は、コロナ

ひきこもりサブカルちゅあ④ 自作VRアバターでTシャツを作ってもらう!?

明日、というか今日ですが、弁財市民センター2階和室で有償ボランティアの個別面談を午前9時(実際の面談は午前8時から始まるのですが)〜午後8時50分(実際の面談は午後9時半まで続くのですが)まで行います。予定を入れている方はいらっしゃってください。 さて、ところでこの2枚の写真ですが、僕が面談している若者がデザインしたVRアバターであしらえたTシャツです。この彼のオンラインのファン、というか友人の方々が作ってくださいました。なんとデザインをあしらえたうえで、中国の工場に発注し

オンライン詐欺の“誘い”にご注意を

先月くらいから、僕の周りでひきこもりの当事者ら4人にオンラインの詐欺の誘いがありました。 その中には一人暮らしの若者が被害に遭い、虎の子の全財産(数百万円)を失ったケースがあります。中にはどうも数億円あげるから、数百万円を払ってほしい、などのものがあったり、出会い系を装って個人情報を聞き出そうとしたものなどがありました。 個別のことについては、個人情報の保護を考えてお伝えできませんが、どれもがきっかけはSNS(LINEやFACEBOOK)、メールなどでコンタクトをとってき

ひきこもり・サブカルちゅあ番外編 ある若者の創造した緻密な“異世界”

 今回は、僕(石川清)の作品ではありません。僕の会っている若者が生活や仕事の合間に創造した“異世界”のアウトラインです。  アウトラインと言っても、極めて緻密で精巧で、自然体系や魔法の現象、宇宙の相互関係、絶滅動物を交えた多様な生態系、多様で個性的な国々などを細かく練り上げているのが特徴です。  と、僕が説明してもしょうがないので、まずはご覧ください。  作者は仮にYくん、としましょう。今のところは。 (以下が彼の構想メモというか、作品というか、そういうものです。本人

拙著「ドキュメント・長期ひきこもりの現場から」が中国語に翻訳されて出版されます(たぶん)

僕が著した「ドキュメント・長期ひきこもりの現場から」(洋泉社、現宝島社)が中国語に翻訳されて海外で出版されることになりました(たぶん)。 個人的には、英語に翻訳されたらと思っていましたが、贅沢は言えません(笑)。 まだ出版予定日などは未定ですが、たぶん翻訳作業中かと…。 中国でも、ひきこもり問題は目立ち始めているほか、日本のひきこもり問題への関心も高いようですね。

ひきこもり・サブカルちゅあ③ 蜘蛛ですが、なにか?

これは現在、シーズン2?を放送中のアニメです。 もともと原作はライトノベルで、コミックもありますし、スピンオフの作品もあります。 「小説家になろう」というその道では超有名な小説の寄稿サイトで人気が出て、出版されるなどしたもので(すよね…間違っていたら、ごめんなさい)、いわゆる“なろう系”とされるものに分類できるのかな。“なろう系”とは、現世で命を失って転生したり、あるいは異世界に魔法などで召喚されたりするもので、新世界ではヒーロー(英雄)になったり、チート的な強さ(つまり

来月、いよいよ(たぶん)赤ちゃんが生まれます❤️

6年前の洋上フリースクール「グローバルスクール」(ピースボート)に参加していた女性が、いつのまにか来月の6日に出産予定だそうです。 コロナ禍の出産数のとても少ない時期に、なんと出産予定とか。 ひきこもっていた経験があっても、いろいろ生き悩んでいたとしても、幸せになることはできますね。(まあ、ある意味、ようやくスタートラインに立つ、とも言えるわけですが) なんか、いい知らせでした。 それにしても、本人は至って落ち着いているもので、周りの僕の方が焦って、とまどいました。

「ひきこもり、コロナに翻弄される」の記事を「コミキャン文庫⑤」に寄稿しました

ちょっと報告が遅れましたが、大阪の小西さんの障害者というか、人間支援の場所というか、“やまと茶房”で「コミキャン文庫⑤ 命を革める(あらためる)」という本を先日発行しました。 本格的な書籍で、10年ほど前から細々と発行しはじめて、今回で5巻目。これはかなりすごいことではないかと思います。 やまと茶房の連絡先は以下のところで、問い合わせればこの本はゲットできるかと思います。 〒569-0826 大阪府高槻市寿町2-2-7 栄電社ビル201号 やまと茶房 (メールアドレスや

社会福祉の落とし穴 B型作業所を突然クビに…

最近、埼玉県S市のさるB型の作業所に通う、ひきこもりがちの若者が、一度のトラブルで突然、契約解除(クビ)になり、一人暮らしをしていることもあって、経済的問題や深刻な孤立状態の到来で途方に暮れています。 きっかけは、土曜日の作業所での作業終了後、彼(A君)に突如、ある発作が起き、どうも作業所のスタッフに暴言を吐いてしまったようです。 ちなみに障害者の作業所には大きく2種類あって、A型作業所は雇用契約を結び、B型作業所は労働者としての雇用契約を結びません。一般にB型作業所は、

ひきこもり・サブカルちゅあ② カフカ「変身」

コロナ禍のなか、僕はひきこもりの若者と読書会面談みたいなものをたびたびしています。 どういうのかというと、小説や評論など一つを選んで、それをお互いに事前に読んで、面談の時にディスカッションするというものです。原則として、マン・ツー・マン(1対1)で実施します。 今日はチェコの天才作家、フランツ・カフカの「変身」を読んでディスカッションをしました。 「変身」はユニークな作品で、世の不条理をテーマにしたものです。1915年に刊行されたのですが、100年以上経った現代でも色あ

ひきこもり・サブカルちゅあ① ガールズ&パンツァー

ここでは、ひきこもりの人たちとの触れ合いを通して、僕が学んだサブカルチュア的なもの(かなり広い範囲で。まあ、オタク的なものが多いです)を、せっかくですので、紹介したいと思います。 第一回目は、アニメの「ガールズ&パンツァー」についてです。ガルパンおじさんとは、狭義の意味では、プロレスラーの蝶野正洋さん。なぜなら、彼はガルパンの広告塔のような存在で、圧倒的な中年のおじさんだからです。 広い意味では、ガルパン(ガールズ&パンツァーを縮めるとガルパンと言います。以下はガルパンと

孤立の壁がもたらす家族の焦り

ひきこもりが回復していく際、孤立、成長、自立の3つの大きな壁を乗り越えていく必要があると、よく話していますが、一番時間のかかるのは、最初の孤立の壁だったりします。 この孤立の壁を乗り越えるときに、特にご家族はいつ終わるかわからない「無限の焦り」というようなものを感じることがあります。 なんらかの変化が実感できればまだしも、家族としてできることをやっているのに、なぜか成果が出ない。そんな時間が何ヶ月も、下手すれば何年も続いてしまうと、参ってしまうのも無理はありません。 え