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ただいま、そして扉の前へ

8月某日 曇り

6月中旬から絵本制作が本格的に始まって

ようやくストーリーと絵、デザイン構成が完成した。

完成させるあれこれが同時進行で進んでいて

頭も体もクリエイティブに没頭する日々は

今思うと、この世界に生きてる感じがしなかった。


どこに行ってたんだろう、私は。


だけど、ようやく

昨日、山場を終えてこの世界に帰ってきた。


ただいま。


昨夜、全てが終わって

安堵の気持ちでぐっすり眠れるかと思ったら

ドキドキして眠れなくなってしまった。


絵本は完成したのに、なんで終わった感じがしないんだろう。

そう思った時、心の奥で声がした。

「まだ始まってないから。ようやくはじまりの入り口にたったんだ。」


あぁ、そうか。

作品(絵画)を描いていてもそうだけど

作品が完成したら終わりじゃなくて、それを手にした人達によって物語が始まっていく。それぞれの人生と寄り添いながら色彩の色味がどんどん深まっていく。


私が作っているものは、入り口にすぎない。


絵本もきっとそうなんだ。



今、私は扉の前に立っている。

ここからどんな物語が始まっていくのだろう。


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