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現代にビートルズが現れたらエド・シーランも感激『イエスタデイ』

現実離れした設定でも説得力があるユニークな音楽映画

『イエスタデイ』は世界一有名なバンド“ビートルズ”の伝記映画ではなく、“ビートルズが突然消えた世界”を描くユニークな作品だ。

ビートルズの楽曲はTVのCM、カフェ、スーパーマーケットなどあらゆる場所で当たり前のように流れている。誰しも聞いたことのなる有名楽曲の数々が突然消えたらどうなるか?音楽ファンの妄想のような“もしも話”を『トレインスポッティング』で知られる超メジャー監督ダニー・ボイルが手掛けたのが本作である。

『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティスが脚本担当

売れないシンガーライターのジャックは、音楽で有名になるという夢を諦めた日、12秒の世界規模の大停電が発生したタイミングで交通事故に遭遇する。昏睡状態から目を覚ますと、“ビートルズ”が消えた世界になっている。
友人や家族も知らなければ、Googleで検索してもビートル(カブトムシ)が出てくるだけ。ジャックはビートルズの楽曲を自らの作詞作曲としてスターダムの世界へとのしあがっていく。

突飛でユーモアにあふれた脚本は、『ラブ・アクチュアリー』などハッピーなロマンス映画の名手であるリチャード・カーティスによるものだ。

停電によって有名バンドの存在が消える(コカ・コーラやハリー・ポッターも消える)という非現実的な設定だが、一方で“現代にビートルズの音楽が現れたら?”というパラレルワールドを視覚化するという構造でもある。

グラミー賞アーティストのエド・シーランも実名で登場し、劇中でジャックが発表した“イエスタデイ”に感銘を受け、自分のライブの前座をお願いするシーンは決して浮世離れしていない。

初アルバムもジャケットやタイトルにするように進められたり、曲名に登場する名詞も古臭いから変えることを勧められたり、現代にビートルズ級の名曲が生み出された世界をリアルに描く。
過去にもリチャード・カーティスは『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』でタイムトラベルによって愛を勝ち取ろう奮闘するロマンス映画を手掛けている。突飛な設定を忘れさせ、リアリティを持たせる名手だ。

設定だけでなく、甘酸っぱい恋の行方も気になる

設定も興味深いが『イエスタデイ』の主軸はロマンスにある。主人公ジャックには売れてない時代にずっと夢を応援し、サポートしてくれたエリーに恋をする。地位と名声を手に入れる一方で高まる彼女への想いは強くなる。普通の音楽映画なら自分の想いを歌詞にして告白をするのだが、ビートルズの楽曲をモロパクリしているジャックには至難の技だ。

突飛なストーリーを楽しみつつ、ビートルズの楽曲に心を躍らせ、恋の行方をはらはらしながら見守る…描き切れない要素を120分以内にまとめ上げたのはやはりアカデミー賞受賞歴もあるダニー・ボイル監督の手腕があってのものだ。

自信をもって人に勧められるハッピーな音楽映画が誕生したことをうれしく思う。


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