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人物画の習作 パーツ6 金髪 天然か人工か?

女性の金髪を描くのは、かなり難しい

今回は、次のモデル写真を使って、茶髪を描いてみました。

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(フリー素材集Unsplash のPhoto by Sharon McCutcheonより)

まず、この写真の一部を切り取って、下絵を作って、

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(鉛筆下絵を水彩紙(ファブリアーノ 細目 SM)に転写したもの)

ここから、下書きの線を消しゴムでできるだけ薄くして、その上から水彩を塗り重ねると、下記のようになりました。

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この絵の場合は後姿なので簡単に描けましたが、横顔や正面の顔の場合は簡単ではありません。金髪で、肌と髪の境界が見える場合は、肌の色と髪の色が似通っているので、描く時に細心の注意が必要です。

たとえば、先に肌と髪の毛との境界をぼかすようにして肌を描いて、それが乾燥後、髪の毛が境界の肌にかぶさるように髪の毛の透明色で描いたとすると、髪の毛の下に肌がはっきり透けて見えてしまうため、肌と髪の境界がとても不自然になってしまいます。金髪が銀髪(白髪)に近い場合は、なおさら不自然になりがちです。

そうならないためには、肌にかぶさる髪の毛は、ガッシュのパーマネント・ホワイトにイエローオーカーを少し混ぜた不透明色で線描すると良いでしょう。しかし、一本一本の髪の毛をこのような不透明色で描くと太い不器用な線になりがちで、あまり美しくありません。しかし、筆の代わりにGペンのようなペン先を使えば、かなり細い直線が描けます。練習してみましょう。その場合でも、透明色を塗った部分と不透明色を塗った部分で、絵の具表面の違いがかなり出るので、絵の具表面の材質感が多少醜くなります。

ガッシュを使わないで、代わりに、肌色を塗る前にマスキングインクで髪の毛を描いておく方法もありますが、その場合、細くきれいな長い線をマスキングインクで描くのは難しいでしょう。

どちらにしても、一本一本の髪の毛をきれいに描くのは困難です。

金髪の場合も、髪の毛が肌にかぶさっている部分は、肌の色を少し濃く塗ると、髪の毛の影のように見えて、立体感が出ます。

また、髪の形は櫛で整えた直後は平滑で均一になっていますが、しばらく動いたりして時間がたつと乱れて、毛がいくつかの房の塊に分かれたりします。金髪の場合、髪が房に分かれているかどうかで、はっきりと色が変わって見えますので、描く時の絵の具の色に注意する必要があります。

金髪では、光が充分に当たっている部分と比べて、影の部分は色がかなり濃く(暗く)なります。その点を考慮して、不自然にならないように、絵の具の色を調節しなければなりません。

上記の絵で使った絵の具(ホルベインケーキカラー)は、次の通りです。

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本物の金髪か?

なお、白人の場合でも天然の金髪の人は少なく(STAFF BLOG によると、天然の金髪は世界の人口の1.7~2.0%しかいない)、その代わり、茶髪や黒髪を金髪に染めあげた人(人工的な金髪の人)が多いといわれています。なぜなら、女性の金髪は特に人気があるからです。

金髪が天然か人工かの見分け方ですが、頭頂部の髪の分け目の毛が異常に黒々としている金髪の場合は、まだ染めてない黒い髪の毛が少しずつ生えてきたと考えることができるので、人工金髪とみなしても良いそうです。

次に、上図の下絵をもとにして、髪の状態を簡略化して、装飾的な絵も描いてみました。

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少し黄色(イエローオーカー)が強くなりすぎました。べたつき感がありますね。

まとめ

金髪の描写はかなり難しいです。

天然の金髪か人工の金髪か、区別も簡単ではありません。したがって、それらの違いがわかるように描く必要はないでしょう。


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