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農作物の種子の話

植物の種子の種類

 キャベツや白菜,大根やニンジンなどの種子の話は農作業従事者でもない限りほとんど興味のない方が大半だと思いますが、これが我々の健康や生命の維持に悪影響を及ぼす危険性が近年高まりつつある、となると話が俄然変わってきます。
 
世界の種子は細かく言うと5つに分類されていますが、人間が人工的にまた不自然に操作して短期間に出来上がったものかどうかという観点からは2種類に分類されます。
 

①  自然体の種子

種子そのものに手を加えることなく採種されて使われている種子で固定種と在来種の2種類があります。
 
l  固定種
品種の系統を守るため選抜した野菜の種を取り、その種を蒔いて育てた中から、さらに一番良いものを選んでまた播種する、といったことを何代も繰り返して受け継がれ遺伝的に安定した品種で、種を採って毎年再生産し続けることが可能。 昭和30年代頃まではほとんどの野菜の種は固定種でした。
 
l  在来種
固定種の一種ともいえるもので、自然な育種をしていくうちに、その地域の気候風土にあわせて適応していった野菜です。

②  人工的な操作で作られる種子

これには3種類あり、そのいずれも農業の生産性の向上を主な理由として開発されたものです。生産性向上とは、早く育成する、形や味が均質である、農薬や害虫に対する耐性がある、などの事を指します。
 
l  F1種
遺伝的に異なる性質をもつ種類同士を交配させてメンデルの優性遺伝の法則にしたがい、両者の優れたところだけが出るようにした種子のこと。例えば甘い性質を持つトマトのめしべに形の大きい性質を持つトマトのおしべで受粉させると、大きくて甘いトマトが育つ、といった具合です。
 
F1というのはFirst Filial Generation日本語で雑種第一代と言う意味で、このF1の種で出来たトマトの種を採取して栽培すると隔世遺伝で父親と同じもの、母親と同じもの及び両方備えたものなどバラバラな形状・品質のトマトが出来るので商業生産には向きません。
 
以前は一方のトマトのおしべを切り取ってもう片方のトマトのめしべにこすり付けて受粉させるなどといった手間暇のかかることをしていたのですが、現在ははるかに効率の良い方法で受粉が行われ種子が大量生産されています。
 
自然界でたまに生まれるおしべのない花をつける植物あるいはおしべがあっても動物でいうと精子にあたる花粉のない花をつける植物(雄性不稔と言われます)の種を培養して大量に作り出し、これを利用しています。
 
現在このF1種が均質で大量生産可能且つ害虫・天候不順に対する耐性などから市場では圧倒的な存在となっていますが、同時に望ましくない点が多々あります。
 
まず一代限りの種子なので種子を毎年購入する必要があるということと、F1種は化学肥料で早く大きく育つのはいいとしても、肥料の大量投入で土壌が疲弊すること、及び農薬に対する耐性があることから農薬が使用され、それが収穫後残留農薬になるといったところです。
 
農家は従って種子・化学肥料・農薬の3点セットを毎年購入する必要があるのですが、困ったことにこれら3点全て日本は海外からの輸入にほぼ頼っているのが現状です。
 
更にはF1種作物が市場を独占してしまうと、F1種で出来た作物に特有の病害が発生した場合、代替品がなくその作物は全滅という植物の多様性が破壊されるというリスクも孕んでいます。
 
l  遺伝子組み換え種
F1種は自然に存在する異なった植物の特性を掛け合わせた製品なのに対し、遺伝子組み換え種は植物の遺伝子の一部を除去して別の全く異なる遺伝子を張り付けるなどの不自然な操作を行って作られた種子です。
 
但しF1の自然交配といっても雄性不稔株は自然界で出来る何万・何十万株のなかから一つ出てくるという遺伝子異常あるいは突然変異によるものなので、これを使用することが自然界の摂理に叶ったものかどうかは議論が分かれるところですが・・・。
 
遺伝子組み換えの恐ろしいところは同じ種類の植物、例えばあるトマトの遺伝子の一部を切り取って、それを別のトマトの遺伝子に張り付けるならまだしも組み込む遺伝子は別種の野菜のもの(例えば小松菜)、更に恐ろしいのは蜂、蜘蛛、豚、人間などの動物の遺伝子の一部を使用することも可能だというところです。つまり自然界には絶対あり得ない物を生み出していることになります。
 
例えば害虫対策としてある植物が特定の害虫に対して毒素を出してその害虫を殺してしまうような遺伝子を持っていた場合、その遺伝子を野菜などの遺伝子と組み合わせると害虫を遠ざけてしまうような野菜が出来るのでしょうが、虫は殺しても人間の健康上問題はないということは考えにくいですよね。
 
遺伝子組み換え植物の作付けは1996年頃始まりそれ以降急速に植え付け面積が拡大していますが、米国を含む各国で遺伝子組み換え作物の動物実験が行われ、結果として腫瘍、不妊症、アレルギー発症などを引き起こすという論文が多数発表されています。
 
ヨーロッパは最初から遺伝子組み換え作物の栽培や輸入を禁止していたのですが、本場のアメリカなどの主要国でもこういった危険性が知れ渡りアメリカなどでは人々が遺伝子組み換え作物を避けるようになって、売れ残った大量の在庫が日本に押し寄せ、日本は遺伝子組み換え作物の天国となっています。
 
l  ゲノム編集による種子
これも遺伝子操作の一部ですが、遺伝子組み換えと違うのはある植物、例えばトマトの中にある特定の遺伝子だけを削除すると植物はその切り取られた遺伝子の部分を自動的に修復しようとするようになります。
 
ただ修復された遺伝子は切り取られた元の遺伝子とは異なる遺伝子情報を持つようになるので、その異なる遺伝子が有益なものであれば修復された新たな遺伝子を含むトマトを新な品種として量産する、といったことがゲノム編集では可能となります。
 
例えばあるトマトの遺伝子情報の一部は形が大きくならにように形状を抑制する遺伝子が含まれていたとすると、その遺伝子情報の部分だけを切り取り、そこに自動修復された「実を沢山つけない」という新たな情報が生まれる場合、元のトマトに比べて育つ実の個数は少なく、形状が大きく育つトマトになるということです。
 
遺伝子操作の範疇ながら個体の中の遺伝子のピンポイント操作で、他の種類の植物や動物などの遺伝子を組み合わせることはなく、現在すでに放射線などを使った品種改良と何ら変わらないとして国は安全だから安全性の検査や「遺伝子操作云々」という表示すら不要としていますが、長期的な悪影響は分からないでしょうね。
 
元農水大臣の山田正彦氏はネズミの遺伝子の一か所を削除したら1,600もの副作用が出たという実験論文があると主張しています。やはり不自然に手をくわえたものは安全ではないということでしょうか。
 
遺伝子組み換えとゲノム編集については以下の動画で分かりやすく説明されています。
 
遺伝子組み換えとゲノム編集

 
固定種だけを販売している野口の種という会社が埼玉県にあるのですが、野口社長が興味深い話を色々とされていますので、興味のある方は視聴してみてください。
 
野口社長:固定種とF1種

種子・化学肥料・農薬の寡占状況

現在種子や化学肥料及び農薬は:
 
モンサント(米)後に独バイエル社により買収された
ダウ・デュポン(米)
シンジェンタ(スイス)
 
の3社による寡占状態となっており、各国で種苗会社や化学薬品会社などを次から次に買収することにより、ますます寡占状態に拍車がかかっている状況です。
 
種苗については日本で育てられる野菜の大部分は日本のメーカー(タキイ、サカタのタネなど)により研究開発がされていますが、実際に採種する場所は90%が中国・東南アジアや中南米などの外国となっており、そこからの輸入となっています。
 
採種には他の畑から別の野菜などの花粉が風邪で飛来して受粉しないように周囲から隔離された畑が必要であることや日本の農業人口激減で採種をする人がいないなどの理由からそうなっているのですが、何等かの理由で輸入に支障が生じればたちまち種の入手が困難な状況となります。
 
前述の山田正彦氏がモンサントの施設を訪れた際同社から日本の種苗会社の採種は実際に彼らが委託先として行っている旨を知らされ驚いた、と言っていますが、こういった採種作業もモンサントのような巨大企業の独占状態となっている可能性があります。
 
化学肥料については日本モンサント、三井、住友系の化学会社が主なメーカーとなっていますが、肥料の3大要素である、窒素、カリウムとリン酸という原材料はほぼ外国依存となっています。
 
窒素は天然ガス、カリウムとリン酸はそれぞれの要素を含む鉱石から採取しますが、鉱石はカナダ、中国、ロシアやモロッコなど地球の限られた場所でしか取れないので、日本で化学肥料を100%国産するのは不可能です。
 
昨年突然肥料の値段が2倍近く高騰した結果農家の財政を直撃して廃業を加速させている原因はロシア制裁というよりも自国民を制裁している日本政府の愚策によるもので、決して世界の天然資源が枯渇しているからではありません。
 
農薬については住友、三井及び日産化学といった日本メーカーがトップの供給元となっていますが、ほとんどの農薬の原材料は石油です。日本は石油の需要のほぼ100%を輸入に頼っているので、原材料を加工するメーカーは日本に存在しても、原材料がなければ農薬を作れないのは化学肥料と同じです。
 
現状既に日本の食の確保や安全性はすでに非常に危うい状況ですが、これを更に悪化させる法案を日本政府は実行し始めています。それが「種子法の廃止」と「種苗法の改正」という日本の農業を潰して外資に売り渡し国民を不健康な状態に追いやる愚策です。

種子法廃止と種苗法改正(改悪)

種子法は戦後の食糧難を回避する目的で米、大麦、小麦や大豆といった主要穀物の優良な原種(固定種)や在来種を政府が予算をつけて確保し、農家に安価で提供することで国民が安全な食糧を確実に入手できるように、として制定された法律ですが2018年に廃止されました。
 
廃止された理由としては呆れかえるような嘘塗れの理屈が使われていますが、外資の多国籍企業に便宜を図ったとしか思えない状況です。コシヒカリや秋田こまちといった米は固定種で育つ品種ですが、これにより将来F1種米やゲノム編集米・遺伝子組み換え米が出回ることになる可能性が高まっています。
 
政府が安価に農家へ提供することがなくなるとこれら外資系企業の作った種の値段は現状の価格の5から10倍ほどに跳ね上がるだろうとも言われています。

 2020年に種苗法が改正され、基本的には新たに開発・育成された野菜などの種子に関して開発者の知的財産権を保護するという建前になっていますが、実際には固定種や在来種の普及に歯止めを掛けF1種や遺伝子組み換え種を促進するような内容となっています。
 
自然農法で固定種野菜を育てたり、在来種の野菜(例えば九条ネギ)を育てている農家は、収穫後種を取って翌年その種で栽培を行うのですが、政府がある特定の野菜の種を「登録品種」と指定すると、自家採種が出来なくなるからです。採種には許諾が必要となり違反した場合は罰金などの処罰対象となります。
 
それと時期を同じくして政府は農業競争力強化支援法を成立させ、国民の税金を使って開発した知見を外資を含む民間企業に売却して農業を促進するといった馬鹿げたことを推進しています。
 
種苗法改正の言い訳とてシャインマスカットなどの種子が韓国に流れて外国で大量生産され販売されており、開発者の権利が侵害されたりしていることを防ぐ為、としている割には外資を含む民間企業に種子の開発に関わる知見を売り渡しなさい、と全く矛盾したことを言っています。
 
種苗法改正

 政府の狙い

種子法廃止、種苗法改正、農業競争力強化支援法や、遺伝子組み換え作物の積極的な受け入れ、世界一緩い農薬残量規定、添加物の詳しい中身をうやむやにするキャリーオーバー制度・・・・・・、食料安全保障や国民の健康などどうでも良く、外資系多国籍企業などのグローバリストの利益第一優先で国を運営しているとしか思えません。
 
いや、むしろ積極的に国民を飢餓状態に導き、不健康な環境を整備して病院と外資を含む巨大製薬会社が儲かるように必死になって邁進しているようにしか見えません。あるいは人口削減のお手伝いをグローバリストの為にやっているのかも知れませんね。
 
殆どの農薬は石油で出来ていることは既に述べた通りですが、人間に使用される処方薬や市販薬も石油成分で出来ており、現代の西洋医療はこういった薬を中心に成り立っている背景や理由を次回投稿の「現代西洋医療の闇」で書く予定です。


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