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カダフィ暗殺の闇


リビア動乱

リビアはもともとオスマントルコの領土でしたが、イタリアが20世紀初頭トルコとの戦争で同国に併合。1951年に王国として独立するもカダフィ大佐を指導者とする青年将校団による1969年のクーデターで共和制となっています。

彼は「人民による直接民主主義」と言う理念でリビアを統治していましたが、2011年にアラブの春動乱でチュニジア、エジプトとなどでの騒乱が相次ぐ中リビアでも政府に対する反乱が起き、反乱軍の要請でNATOが参戦。

NATOは首都トリポリを空爆して破壊し政権崩壊。その後カダフィはトリポリ東部の故郷シルテという場所に立てこもりますが、NATOの空爆に助けられた反乱軍によって取り押さえられリンチにより殺害されています。テレビでこの場面を見た方も多いと思います。

リビアをNATOが空爆して反乱軍を支援した背景(口実)として1986年ベルリンでのディスコ爆破事件、1988年スコットランド上空でパンナム機爆破、1989年コンゴ発パリ行き仏UTA便の爆破事件などがカダフィ政権の仕業とされ、1992年にリビアに対する国連制裁が可決されています。

これに加えカダフィの反欧米発言などもあって独裁者のレッテルを張られ民衆の不満が蓄積、民主主義を叫ぶ民衆を中心とした反乱軍を支援する目的でNATOが空爆を実施したとされています。

こういったストーリ―が欧米の主流メディアでまことしやかに報道された内容ですが、これら全ては真実でしょうか? 

日本のメディアは欧米のメディア発信をただ垂れ流しているだけなので、全く同じようなことしか報道されていません。

実は主流メディアでは一切触れられていない事実が沢山あるのですが、例によって主流メディアは申し合わせたように沈黙を守っています。

NATOによるトリポリ空爆の際100万人を超えるリビアの住民が広場に集まりNATOに抗議するデモを行ったことについては全く報道されませんでした。

リビア政府が絡んでいるとされた上記のテロ事件もアメリカをはじめとする西側諸国によりでっち上げられたもので、スコットランド上空のパンナム機爆破事件では複数のリビア人証言者は一人あたり4百万ドルで買収されリビア政府に不利な証言をしたことが判明しています。その証言者達は後日証言撤回。

アラブの春の首謀者

主流メディアでは独裁政権に押さえつけられていたアラブの大衆が民主化に目覚めアラブ諸国で民衆革命が起きた、などと評されていますが、ウクライナ紛争と同様これらの動乱を背後から操っている勢力がいます。

NED(National Endowmennt for Democracy; 全米民主主義基金)とCIAです。大富豪であり共産主義者のジョージソロスもウクライナのみならず、これらの国の動乱に加担し、オバマとヒラリークリントン(当時国務長官)の指示でCIAが大量の武器を反乱軍に提供したことが判明しています。

以前の投稿「グローバリストの正体」で触れましたが、ネオコンは全世界へ民主主義を押し付ける「民主主義革命を」展開し戦争や動乱などを引き起こしているのですが、このNEDはネオコンの牙城であり、ジョージソロスのような極左主義者から資金提供を受けています。

CIAと共に悪いことを企んでいるのですが、彼らが動乱の起きた国々でテロリスト集団や外国の傭兵などを雇って政権転覆を図ってきたのがカラー革命、中近東ではアラブの春の正体です。リビアについて言えばアメリカの作ったテロリストグループのアルカイダが主に戦闘に参加しています。

アルカイダの戦闘員はフリーダムファイター(自由の戦士)として西側メディアが美化して取り上げる一方で彼らは一般住民の民家に押し入り政府反対デモに参加しないと本人のみならず家族にも危害を加えると脅していたことを政府軍に拘束されたデモ参加者が告白しています。

彼らはアフガニスタンから参加しておりカダフィ暗殺後米軍の輸送機でアフガニスタンへ帰還途中に輸送機が爆破され全員死亡しています。口封じの為でしょうね。

以下の写真はヒラリークリントンとアフガニスタン傭兵(アルカイダ)がカダフィ暗殺を祝っている様子を写したものです。

米テレビ番組で司会者にリビアの状況を問われ、彼女は「我々は来た、見た、彼は死んだ!」と笑いながら大喜びで語っています(右側の動画)。悪魔のような女ですね。

彼女はまたカダフィ暗殺直後に起きたリビア東部のベンガジでアメリカ領事館がテロ集団により襲撃され、駐リビア大使が殺害されたベンガジ襲撃事件にも深く関わっています。

この件は次回投稿予定の「ベンガジ襲撃事件の闇」で触れる予定です。

NEDの活動や資金について、筑波大学教授の遠藤誉氏が以下に鋭く指摘しています。香港の雨傘革命も例外ではなく、国際情勢に疎い日本人特に中年の男性をターゲットにしたとしか思えない、若くて可愛い、且つ日本語が出来るアグネス・チョウをリーダー格に祭り上げ同情票を獲得することに成功しています。

遠藤誉筑波大教授

チョウさんは中国に逮捕された後不思議なことに仮釈放されてカナダへ渡り、今度は台湾にいますが、あれだけの動乱の中心人物が仮釈放されたことに違和感を覚えませんか?

今度は台湾から中国に向けて国内分断を煽るように上から指示されたのでしょうか。

私は中国の抑圧的な政治体制が嫌いなので中国の体制を支持するつもりは毛頭なく香港の民主化を応援しているのですがNEDなどの戦争を起こそうと企む組織が背後で暗躍していることに危機感を覚えています、何故なら中国・台湾の異変は日本にも悪影響をもたらし兼ねないからです。

彼らは何故こういった動乱・暴力や戦争を世界中にまき散らしているのかと言えば国家や地域を分断して破壊して大混乱に陥れ、どさくさに紛れて自分達の利権(石油などの天然資源の強奪、武器売却の利益など)を確保したいからなのです。

さて、独裁、民衆抑圧、恐怖政治などと欧米のメディアでレッテルを貼られたカダフィですが、実際彼は国内および対外的に何を実行し、計画し、発言をしてきたのでしょうか。

カダフィの行った事

①    国内政策

カダフィ政権は今の日本政府のやっていることとは完全に真逆でビックリするくらい国民に対する手厚い福祉政策を国が崩壊する以前は取っていました:

l   大学までの教育費・医療費無料; 国民の25%が大卒出身、識字率83%
l   電気代タダ・ガソリン1リットルあたり10円台
l   全ての税金ゼロ・ローンに利子なし
l   新婚夫婦に5万ドルの住宅補助金・子供を産んだ女性に5千ドルの支給
l   失業者に無償で家を提供
l   車購入の際政府が半額補助
l   農業を始める人には土地、家、家畜、肥料など全て支給
l   薬剤師になりたい人には必要な経費を100%政府が負担
l   学校卒業後職に就けない人に職を得るまで、政府が相応の給与を支給
l   石油売り上げの一部を全国民に現金で支給

すごくないですか? 

例え政権の形が彼の独裁体制で一部強権的なところがあったにせよ、これで国民が不満を抱くでしょうか? 

被災地の復興はおろそかにし、国民が物価高で苦しんでいるのを無視してウクライナやエジプト、その他大勢の外国の国に非常に気前よく大量のお金をバラまいて、そのつけを消費税や国民健康保険費用などの値上げで国民に転嫁しようとするどこかの国と比べれば天国のような国としか思えません。

こういった状況はカダフィ政権崩壊で国が瓦礫と化した今は全て消滅しています。おまけにアメリカはリビアにあった金140トンや1,000億ドル以上の外貨などを全て強奪した結果国は財政破綻状況となっています。

国内ではテロリスト横行で国分断、石油の輸出も思うように出来ず、財政の立て直しは困難でしょうね。 

国民は天国のような状況から地獄のような貧困のどん底に突き落とされてしまっています。

リビアは石油が豊富にあり輸出でお金があったからそんなことが出来たのでしょう、と思われるかも知りませんが、いくらお金が潤沢にあるからといって国民にこれほどのことをしていた国は存在しません。

サウジやブルネイのように国民に対してこういった福祉政策の一部を行っている国はあるものの(医療費・教育費・税金等)、大部分は王族達の懐に入ったままでしょう。

②    対外政策

カダフィ暗殺の大きな動機となったものが彼の対外政策です。彼はアフリカが西側諸国により搾取され貧困や飢餓状態を強いられている状況を何とかしようと様々な提案を行いその為の資金の大部分も提供しています。

また同時にアメリカが世界中で金儲けの為戦争やその他良からぬ事を起こして他国を破壊し他の西側諸国も一緒になって自分たちだけの利権だけを追い求める西側の狂気に対して一人で立ち向かった勇気のある正義の人だった、という事でしょうね。

興味深いことに彼は「オバマは俺を殺しに来るだろう」といったことや国連で「狂った西側の連中はウィルスを人工的に作りワクチンで金儲けをたくらんでいる」ことを告発しています。残念なことにどちらも現実のものとなってしまっています。

カダフィ国連演説

カダフィ殺害の理由

さて、彼がアフリカにおける自分たちの利権が損なわれると危機感を抱いてアメリカやフランスなどが彼を殺害するに至ったのが以下の4つの背景です。

①    アフリカ独自の通信衛星

アフリカ諸国は欧州などが提供する通信衛星のサービスに頼り年間5億ドルもの費用をイギリスやフランスなどに支払っていたのですが、1992年に45か国が集まりアフリカ独自の通信衛星を持つことに合意します。

この通信インフラは電話やインターネットなどに使われるものですが、問題はアフリカの資金不足で、IMFに話を持ち掛けますが西側の権益が失われることを危惧しIMFは首を縦にふりません。

そこでリビアは総費用4億ドルのうち3億ドルを負担し、残り1億ドルを他のアフリカ諸国が負担することで、2007年アフリカ発の通信衛星RASCOM-QAF1を欧州のアリアンスペース社のロケットで打ち上げに成功しています。

リビア以外の44か国で一回1億ドルを分担して払えば済み、欧州側は年間5億ドルの収入が消えたことになり、彼らが快く思わなかったであろうことは想像に難くありません。

②    アフリカ独自の金融機関設立

カダフィは3つの異なる銀行設立を提唱しています。 そのほとんどの資金はリビアが拠出する予定でした;

■AMF(African Monetary Fund)
アフリカ版IMFで経済危機に陥ったアフリカの国はもうIMFに頼る必要がなくなり、これも欧米の権益が無くなることを意味します。

1997年のアジア通貨危機の際韓国がIMFの管理におかれ、大部分の会社が倒産し、大量の失業者が出て、大手の会社は欧米のファンドに株を買い叩かれるなどして酷い目にあったように、どの国もIMFの管理下などに入りたくないのです。

現在韓国の主要な会社の株式の大半は外国資本ですが、通貨ウオンが暴落した時点で彼らに安く買い占められた結果そうなっています。

欧米の銀行などがこのAMFに参加したかったようですが、カダフィは欧米による支配を嫌い、全部断っています。

■アフリカ投資銀行
アフリカでの投資を一手に引き受ける投資会社で西側の投資ファンドのような高利子を伴う商売は考えてなかったようです。あくまでも西欧の呪縛から解放された自由なアフリカを目指していたことが分かります。

■中央アフリカ銀行設立
これは欧州で言えばECB(欧州中央銀行)のようなものでしょうか。アフリカ全体で仕える共通通貨アフリカン・ディナールの導入を目指していたと言われており、当然西アフリカで流通するCFAフランも置き換えられことになります。

 2011年のリビア空爆の際NATOの中でもフランスが突出して全面的に攻撃に参加していたことを思い出しますが、こういった背景もあったのですね。

 この中央アフリカ銀行設立は言わばEUのようなアフリカ合衆国を目指した動きとも言え、アフリカ諸国をバラバラにして搾取しやすい状況にしておきたい欧米諸国が最も恐れていたことであることは言うまでもありません。

③    ドルではなく金

更にカダフィは原油の取引はドルではなく金に裏付けられたアフリカン・ディナールで行うことを計画していましたが、これが全アフリカで行われるようになると原油とドルを紐づけて非常に甘い汁を今だに吸い続けているアメリカには特大の打撃となります。

以上がカダフィを彼らが地球上から消し去らなければならなかった理由です。カダフィのことを彼らはアラブの狂犬と称し、彼らとグルになっている欧米主流メディアがこれを大々的に宣伝した結果リビア国民とアラブの一部の知識層を除く全世界で大勢の人がリビアの状況について間違った理解をしていたのではないでしょうか。

真相は彼ら(グローバリスト、ネオコン、軍産複合体など)こそ世界の狂犬であり、全世界の罪もない大勢の人たちに不幸をもたらしているのは彼らであることは明らかです。

以上ですが、次回は今回の話の延長線上にある「ベンガジ襲撃事件の闇」というテーマで投稿する予定です。


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