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国を破壊する日本の農業政策


日本農業の現状

日本の農業の実態については過去20年間で農家数が半減し現在92万戸、従事者の平均年齢68歳で後を継ぐ若者が殆どおらずこのままでは農業が衰退していくばかりである、といったこと位はメディアなどでも報道されているので、ご存じの方も多いでしょう。
 
コメ余りでコメの生産をやめろ、という減反政策が1969年から開始され2018年に終了となっていますが、大抵の人はあまり関心がなく、「主食がパンなどに移って米を食べる人が減ったので、しょうがない。若い人はきつい仕事はしたくないだろうしな」と感じるくらいではないでしょうか。
 
人手不足解消の為東南アジアから実習生を呼び、最近では海外からの移民の数を増やしたり、物流関係(バス、タクシー、トラック運転手)でも政府は同様な対処をしようとしています。
 
一方で日本は食糧の海外依存度が高く食料自給率は38%とされており、G7の中では最低でアメリカ121%、ドイツ84%、イタリア58%と比べるとダントツに低いのが現状です。
 
しかもこの日本の自給率、肥料はほぼ100%、家畜の肥料もほぼ100%海外からの輸入に頼っており、トラクターなどの農機具を動かす燃料やハウスなどで使用される照明や暖房などは電気を使用していることなどを考え合わせると38%どころか7%くらいであると言われています。
 
それだけではありません。農作物の種子もほぼ世界的に3社の多国籍企業外資による独占状態となっており、農家はこれらの企業から種子、化学肥料、農薬をセットで購入している(せざるを得ない)状況です。
 
まあ、これは日本のみならず他国もこの点に限っては同様なのですが、日本の場合主食の米や大豆また麦類が以前とは違いこういった独占の仕組みの深みに入るように政府が「種苗法廃止」という法律で後押ししており、まさに日本の食の安全保障は他のどの国と比べても危機的な状況です。
 
この農作物の種子にまつわる話については次回投稿予定の「農作物の種子の話」で説明する予定です。

食の安全保障破壊の始まり

日本の不健全な農業政策は第2次大戦後のGJHQによる日本弱体化の一環として始まりその後も継続的に改悪され現在に至っているものと私は思っていましたが、どうも江戸末期のアメリカによる様々な押し付けに端を発しているようですね。
 
詳しくは日本の危機的な食糧事情について非常に詳しい東大の鈴木宣弘教授が以下の動画で説明しているとおりですが、彼は日本の食糧安全保障の危機について以前より警鐘を鳴らしてきた方です。
 
アメリカの対日謀略

アメリカがそんなことをしているのか、と信じられない方は私の過去の投稿「日本を支配している存在とは?」を参照ください。鈴木教授の動画で触れられている、日本の国益の為に動いた政治家は中川昭一大臣だけでなく、橋本龍太郎首相や田中角栄首相などが失脚あるいは不審死で亡くなっています。
 
農水省関連でいえばアメリカで狂牛病が流行していた時にアメリカからもっと米国産牛肉を買うように要求された際に国民の側に立って拒否するなど国民の側に立って動いた松岡農水省大臣の自殺という不審死も恐らく同じ背景でしょうね。

世界最悪農薬残留基準

 農業では農作物に被害を及ぼす害虫の駆除や畑、田んぼの周辺の雑草の処理などの為に農薬が使われており、日本では世界でもダントツに多い4,200種類もの農薬が使用可となっています。
 
また収穫した農作物に残る残留農薬の量が世界最悪の基準となっています。日本で使用許可となっている農薬には外国、特に先進国では人体に危険だとして禁止されているものもかなりあります。
 
例えば(ほんの一部です);
 
グリホサート    多数の国で使用禁止。日本では2017年に規制緩和
ネオニコチノイド  EUで全面禁止 日本では2015年に規制緩和
アセフェート    EUで使用禁止
プロフェノホス   EUで未承認
などなど・・・。
 
グリホサートは日本ではラウンドアップという商品名でホームセンターなどに堂々と山積みされて販売されていますが、2015年にWHOが発がん性物質があると認定したことから各国で規制強化が始まり色々な国で裁判が起こされメーカーを訴えたがん患者達が勝訴しています。
 
グリホサート損害賠償裁判

 
各国で強烈に問題視され始めたわけですが、内閣府食品安全委員会はグリホサートとがんの直接の因果関係は認められなかった、という調査報告をまとめ、おまけに呆れたことに日本ではこの世界の潮流に逆行する形で、しかも信じられないほどの規制緩和を2017年に行っています。
 
小麦:    5.0PPM から30.0PPM   6倍
ライ麦:   2.0PPMから30.0PPM  150倍!
トウモロコシ:1.0PPMから5.0PPM    5倍
そば:    0.2PPMから30.0PPM  150倍!
 
グリホサートに限らず他国では毒性物質あるいは発がん物質として厳しく規制されている農薬も日本では甘い残存量基準値となっており、例えば緑茶(これに限りませんが)などは海外輸出用(残留農薬が微量)と国内用(残存農薬多し)で農家さんは管理しているようです。
 
先進国のみならずほとんどすべての国のお茶の残留農薬の基準値を日本の場合は上回っているからなのですが、そういえば昨年日本産のイチゴが台湾に輸出された際現地の輸入検疫に引っ掛かり、全品廃棄処分となったことは記憶に新しいところです。台湾も食の安全機銃は日本よりはるかに厳しいようです。
 
日本産イチゴ台湾で不合格

日本では加工品の添加物使用などでもキャリー・オーバーという仕組みで実際に使われている添加物を表示しなくても良い制度があります。
 
例えばスーパーなどで売られているミックスサラダで使われているドレッシングには5-6種類の添加物が入っていますが、そのうち健康に良くないとされる物質が使用されていたとしても、その物質が最終食品まで持ち越された場合に、最終食品中では微量となって添加物そのものの効果を示さない場合は表示しなくてOKということです。
 
しかも、この「微量」や「添加物そのものの効果を示さない」かどうかの判断はメーカー任せとなっています。台湾ではこういったトリックは存在せず、ドレッシングに入っている添加物は全て表記することが義務付けられています。
 
農作物の残留農薬もさることながら政府は2022年4月に水道水の農薬混入量の基準も緩和しています。殺虫剤、植物促進剤、及び土壌殺菌剤系統の化学物質ですがいずれも人体には有害物資ですが新たな基準値は人体に害を及ぼす量ではないとしています。信用できるでしょうか?

食品表示法の変更

これも種子や農薬及び遺伝子組み換え作物を独占する多国籍外資企業に対する配慮からでしょうか、2023年に国民の健康よりもこれら独占企業の利益を優先するような法令改正が行われています。
 
欧州では遺伝子組み換え食品に対する規制が厳しく、アメリカからいくら圧力がかかっても輸入を直接禁止してきましたが、日本では小麦、大豆やトウモロコシなどの輸入品はほぼ全て遺伝子組み換え作物となっているようで、家畜用に至っては「遺伝子組み換え」の表示すら必要がない状況です。
 
具体的には新たな表示法により、豆腐などの裏側に書かれていた「遺伝子組み換えでない」という表示が消え、代わりに「分別生産流通管理済み」という非常に分かりづらい表示へと変わりつつあります。
 
旧表示法では遺伝子組み換え作物の混入が5%以下であれば「遺伝子組み換えでない」と表示出来たものが、この長ったらしい分かりにくい表示に変わったということです。従来の「遺伝子組み換えでない」表示は遺伝子組み換え作物混入が0%でなければならないということになりました。
 
農水省はこれを「より分類を厳格にするため」と称しているのですが、果たして本当にそうでしょうか?
 
そもそも何故5%云々の表示が以前からあったのかというと食品メーカーの工場では遺伝子組み換えの原材料で製品を製造している場合も多く、遺伝子組み換え原材料0%の製品を作る場合でも製造ラインや倉庫などで遺伝子組み換え原材料が誤って混入してくる可能性がゼロではないことから来ています。
 
農水省が言っているようにルールを厳格化してより安全に100%遺伝子組み換えなしの食品が選べるようになったのでは、とここで思う方もいるかもしれません。
 
しかしながら実際は企業側には「遺伝子組み換えでない」表示をする際これまで以上にリスクが大きくなります。何故なら新たな表示法ではたとえ0.1%でも遺伝子組み換えの原材料が誤って混入しても法律違反に問われるからです。
 
当然のことながら企業はリスクを考えて遺伝子組み換え原料を100%使用して作った製品にも「分別生産流通・・・」というたいていの人にはさっぱり理解できない表示を選ぶことになり、「遺伝子組み換えでない」表示がどんどん消えていくことになります。
 
こういった目くらまし作戦で遺伝子組み換え食品を流通させ易くし外資の多国籍企業を手助けしているようにしか私には見えません。
 
遺伝子組み換え表示の義務化は大豆やトウモロコシなど9種類の穀物などのみに適用され現在ほぼ輸入だよりとなっている小麦はその対象外で政府は「遺伝子組み換えの小麦は存在しないから」としていますが、アメリカやカナダなどでは現実に生産されています。
 
その小麦を使った製品の表示も原材料の小麦はアメリカからの輸入品であっても加工する場所が日本であれば「国内製造」とすることが出来るといいう非常にトリッキーな表示方法が許可されています。
 
日本では遺伝子組み換え作物の栽培は禁止されているので、この表示では国内製造=国産小麦使用、したがって安心、と勘違いしがちです。日本産の小麦を使っている製品、例えばそうめんなどで国内製造(国産小麦使用)となっているものが国産小麦を使用した製品です。

農家潰し政策

米については減反政策で他の作物には提供する補助金を農家に出さないだけでなく、最近では水田を5年以上野菜の生産に充てる場合に従来の補助金が増額される、といった姑息な手段で水田を減らすことに政府は躍起になっています。
 
2022年にウクライナ紛争発生後自分で自分の首を絞める対ロシア制裁の特大ブーメランとして肥料が爆上がりし農家は事前の買いだめもままならず、他の物価の上昇もあって窮地にたたされたにも関わらず、政府は一切農家を助けることはしていません。
 
肥料価格高騰

これによる製造原価上昇で米の値段もこれで跳ね上がるかと思いきや農協の農家からの買取価格はほぼ全ての地域で据え置き、ある地域ではむしろ10-15%ほどの値下げとなっています。
 
農協としては店頭で値が上がってしまうと米の消費者離れを起こすから、という理屈でしょうが、それならば政府が農家に補助金でコストアップ分をサポートすればよいのにこれも一切行われていません。
 
最近では米の価格が上昇していますが、こういった状況に嫌気がさした農家の廃業が増えたり、天候不順などで収穫量が減ったりしていることが背景にあるものとされています。
 
この肥料価格2023年には値下がりしましたが、2021年と比べると20-40%高い価格となっており、米農家に限らず大多数の農家が財政的な危機を迎えています。
 
自国の食糧安全保障をまともに考えている国は国家予算のかなりの部分を農業振興や保護のために使っており、EUなどは90%ほどがそういった支出となっていますが、日本は30%以下となっています。
 
農家の収入に占める助成金の割合もヨーロッパは90%以上、日本では10%程度というここでも政府の農業・農家潰しの状況は明らかです。

政府の農業政策の本当の狙い

政府は日本の食糧安保や国民の健康のことを考えて色々な政策を打ち出して実施しているのでしょうか? 結論から言うとノーです。むしろこれとは真逆のことを一生懸命推し進めているとしか考えられません。
 
種苗法の廃止や欧米などの主要国では遺伝子組み換えの危険性が認識され安全な有機栽培農作物の購入者が激増しているなか日本は世界でも有数の遺伝子組み換え作物の天国となっていることなどからも、日本政府は国民の食糧安保や健康の維持など二の次で外資の利益優先、食料の海外依存に狂奔しているようです。
 
最近国際情勢が荒れているからなのか、政府が突然有事の際農家は政府の命令に従って農作物を増産しなければ罰金を科す、という今までさんざん反対方向に走ってきた同じ人達が言い始めて農家は面食らっています。
 
と同時に食料安保の為に海外からの輸入を強化するとも農水省は主張していますが、この人達頭は大丈夫なんでしょうか? 海外からの輸入がストップして兵糧攻め状態にならないようにするのが食料安保の筈なのに、輸入を強化する? 国内での増産ではなく?。

 国民の健康は二の次どころか意図的に国民が不健康な状態に置かれるようにし、病院や製薬会社が儲けられるようにしているとすら思われても仕方のない状況です。子供の発達障害、癌罹患率、不妊率など他国と比べても非常に多い状況ではそう考えざるを得ません。
 
日本だけではありませんが、医療ビジネスには深い闇が存在しています。次々回は「西洋近代医療の闇」という内容で投稿を予定していますが、その点などを触れるつもりです。


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