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イスラエルガザ侵攻の背景の真相


イスラエルのガザ侵攻の現状

10月7日のハマスによるイスラエルに対するテロ攻撃後イスラエルによる反撃が始まりハマス戦闘員に対する攻撃に止まらず空爆などで一般の民間人が多数犠牲になっています。
 
民間人や民間の組織(学校、病院など)の中にハマス戦闘員が紛れ込んでいるからという口実でなんの罪もない一般人を無差別に殺害しているのですが、このような口実は真っ赤な嘘で、最近ではガザ最南端に避難した人々の難民キャンプ及び国際支援団体などにも攻撃をしていることからもこのことは明らかです。
 
このUNRWA国際支援団体攻撃については、イスラエルに予め彼らの車両が通るルートと時間を連絡していたにも拘わらず攻撃され死傷者が出ましたが、明らかにこういった攻撃は意図的だとしか思えません。
 
アメリカは口先だけは「これはよくない。イスラエルが民間人への攻撃を止めなければもう武器は送らない」などと言っています。本心でしょうか? そうだとは思えません。
 
これは現政権を支える民主党員の中でもイスラエルの蛮行に反対する人が増えて、全米でイスラエル反対デモが起きていることから、今年11月の大統領選挙のことを念頭においた選挙対策に過ぎないとしか思えません。
 
こういった選挙対策用のリップサービスの裏でアメリカは着々とイスラエルに武器弾薬を送り続けています。いつものアメリカの手口ですが、イスラエルは何故そこまでガザを攻撃して民間人を殺害し続けているのでしょうか?
 
その理由・背景の解明の前に10月7日の事件を振り返ってみる必要がありそうです。

何故ならイスラエルのガザ攻撃の引き金となったハマスによる越境テロ攻撃をイスラエルは事前に知っていながらハマスに攻撃をさせ、待っていました、とばかりにガザ攻撃を始めたとしか言いようのない痕跡が沢山残っているからです。しかも自国民を大勢殺害して。

10月7日前後のイスラエルの動き

イスラエル政府と軍は事件当日及びその前後に非常に奇妙な動きをしています。

①  エジプトによるイスラエル政府への通報無視

侵攻の3日前にエジプトのスパイ組織がハマスの動きをイスラエルへ警告していますが、イスラエルはこれを無視しています。
 
エジプト警告

②  イスラエルの国境警備隊の歩哨の報告無視 

国境の監視をする兵士がガザ地区でのハマスの動きを3度にわたり報告していますが、警備隊本部はこれも無視しています。さらには事件後国境にあった監視カメラの映像の記録など全てを持ち去り、全く公開していません。
 
ガザ監視カメラ記録撤去

③  イスラエル軍のガザからの撤退

10月3日にイスラエル軍はガザ地区から100人ほどの軍隊を撤退させ、ヨルダン側西岸へ移動させています。政府は調査中とし、紛争終結まで結果は分からないとしています(BBCとCNNによる報道)。
 
エジプトからもイスラエルの国境警備隊からもハマスの不審な動きがあると報告されていながらヨルダン川西岸の暫定政府はどちらかと言うと穏健派なのに、なぜ過激派と言われるハマスの支配地域ガザを撤退したのでしょうか。

④  ガザ国境付近でのイスラエルの治安維持活動停止命令

襲撃事件発生後イスラエル軍は全く動かず、7-8時間経ってからようやくハマス掃討に現れたということを生き残った現地の住民などが証言しています。
 
また、アメリカのフリン将軍が動画のなかで南部のイスラエル警備隊は10月7日の7時間にわたる治安維持活動を停止する命令を下していると報告。住民の証言とフリン将軍の話は一致しています。マイケル・フリン将軍はトランプ前大統領陣営の側近だった有名な方です。
 
フリン将軍イスラエル軍の奇妙な動き

⑤  音楽フェスチバル参加者のほとんどはイスラエル軍による攻撃で死亡。

イスラエル軍ヘリコプターによるフェスチバル参加者への無差別攻撃の様子の動画が流出しており、イスラエル大手新聞ハーレツが犠牲者のほとんどはイスラエル軍による銃撃で死亡と報道。
 
アパッチヘリコプターイスラエル民間人殺害

ハーレツはまたハマスによる幼児殺害や集団婦女レイプは証拠が存在せずイスラエル国内のNPO団体で死体処理業者のザカという会社の人間が様々な嘘をでっち上げていた事を暴露しています。
 
イスラエルのプロパガンダ暴露 

これに対しイスラエル政府はハーレツ誌を「反愛国的」だとして閉鎖命令の法案を可決しています。以下に述べるようにネタニヤフ政権は独裁政治路線をひたすら走っているようです。
 
シカゴ大のミア・シャイマー教授もハーレツ報道と同様なことを主張しています。彼は国際政治学者ですが軍人上がりでウクライナ紛争の真実などを発信している方です。
 
ミア・シャイマー:イスラエルの狙い

イスラエル政府はこのハマスの襲撃を防ぎきれなかった、として同国の諜報機関モサドとシンベトに責任を押し付け、現地新聞などでは「ネタニヤフ政権と治安関連の組織との仲がギクシャクしており、意思疎通がうまくいかなかったのでは」、と尤もらしいことを言っているのですが、あり得ない話ですね。
 
イスラエルのモサドとシンベトと言う諜報機関は世界屈指の最強の組織として知られ中近東全域、特にガザ地区には多数のスパイを抱えガザとの国境では非常に厳しい監視体制を敷いていたのにも拘わらず彼らがハマスの動きを見抜けなかったというのは全く信じられない話です。

イスラエル退役軍人が10月7日の事件はイスラエルの内部
犯行ではないのか、と主張しています。
 
ハマス攻撃はインサイドジョブ

ガザ侵攻の真の理由と背景

イスラエルは自作自演(と思われる)の作戦でガザ南部以外をほとんど瓦礫状態にして140万人ほどのパレスチナ人を南部の非常に狭い地域に追いやり、兵糧攻めにし、更にはイスラエル自身がそこに指定した避難民のテントが集中するエリアまでも空と陸上から攻撃しています。
 
イスラエルは何故明らかに民族浄化と言われても仕方のないこういった非人道的な作戦をいまだに続けているのでしょうか? 
 
結論から言うとグレーター・イスラエル(大イスラエル)構想の実現と経済的な権益の確保の為だとしか思えません。ネタニヤフ首相を取り巻く政治的状況がこういった動きを後押ししている格好となっています。

①  グレーター・イスラエル(大イスラエル)構想

この構想はシオニズムの思想から来ています。シオニズムとはイスラエルの地にユダヤ人の故郷を建設しよう、というものでこういった思想の実現を目指す人をシオニストと言います。
 
旧約聖書創世記にはユダヤ人の先祖であるアブラハムが神様に約束された地は「北はユーフラテス、南はナイル川まで」の以下の広大なエリアを指します。この地をイスラエルのものとすることを目指しているのが過激なシオニストと言われる人たちです。
 
グレーター・イスラエル

 またイスラエル国旗の六芒星の上下2本の青い帯はナイルとユーフラテスを表しているという説がありますが、このグレーター・イスラエルを語っているイスラエルの女性政治家の動画があります(英語の字幕がついています)。

現在イスラエルにいる白人種系の自称ユダヤ人はもともとコーカサス地方にいたハザール人の末裔で本来の旧約聖書のユダヤ人とは縁もゆかりもないにもかかわらず、パレスチナ人から土地を強奪し、挙句のはてにはもっと広大な土地は我々ユダヤ人のものだ、と主張をしている訳です。 
 
この白人種系ユダヤ人の出自については以前の投稿「ユダヤ人とは何者なのか」で述べた通りです。彼らの主張を例えて言うなら他人の家に来て凶器でそこの住人を追い出して占拠し、今度は両隣及び道路の向いの家の住人達も追い出そうと画策しているといったところでしょうか。
 
こういった構想実現を目指しているのならガザ地区やヨルダン川西岸のパレスチナ人全員を抹殺するか追い出すかして全て自分達のものとすることは序の口の展開なのです。武器など全く持っていないパレスチナ避難民を殺害しているのもこれで説明がつきます。
 
こういった残虐行為を可能にしているのが現在のイスラエル政府の状況です。
 

②  ネタニヤフを取り巻く状況

2022年12月に第6次ネタニヤフ内閣が成立していますが、彼の政党リクード党単独では政権を取れず複数の政党による連立内閣となっています。グレーター・イスラエルを目指す宗教シオニスト党がその中に入り、その党出身で極右の過激な人物が3人大臣職に就いています。
 
ベザレル・スモトリッチ 財務大臣
イタマル・ベングヴィル 国家安全保障大臣
ヤリフ・レビン     法務大臣
 
彼らは政権内部で多大な影響力を持ちザ地区やヨルダン川西岸のパレスチナ人に対する強硬な姿勢を取るようネタニヤフを誘導している、と見られています。
 
何故それほどまで影響力があるのか? ネタニヤフは脛に傷を持つ身であり、彼らの支持がなければ政権を維持出来ないからです。政権を維持できなければ彼は個人的に不幸な目に遭うからです。
 
ネタニヤフは3件の汚職疑惑で2017年に検察の捜査が入り起訴され裁判所に出頭したりしていましたが、ハマスとの戦闘で戦時内閣を作り裁判の話が棚上げにされています。
 
戦争終結となれば彼は刑務所行きとなる可能性が高く、出来るだけ戦争を長引かせたい彼の意向とシオニスト達のパレスチナ人排除の計画が一致してお互い利用し合う関係となっているという構図でしょうね。
 
ネタニヤフはまた自身に司直の手が及ばないようにするためか司法制度改革を行い司法が政権の意向に従うようにするなどして独裁色を強め、国民の不満が爆発して大規模なネタニヤフ退陣要求デモが起きていますが、これを無視して相変わらず強硬路線を取り続けています。

③  ガザ沖の巨大ガス油田権益

イスラエルはあまり知られていませんが、地中海沖合で発見されたリバイアサン油田と呼ばれるガス油田群のおかげでエネルギー大国となっており近隣国へ輸出もしています。
 
1999年にはガザ沖合35マイルのところで1兆立方フィートを超える巨大なガス油田ガザマリンが発見され、これはガザが国家とするとガザの排他的水域に存在するものです。

2023年6月にはこのガス油田の開発に関しイスラエル、パレスチナ自治政府及びエジプトが協議を開始、利益の大半はパレスチナ政府及びパレスチナ民間団体、残りは実際に操業を行うエジプトの会社が受け取ることでイスラエル政府は開発を仮承認しています。
 
これは2013年の同じテーマで開催された予備協議に続くものですが、2008年にこのガザ油田の開発に国連が介入し、「本来は国際法上もこの油田はパレスチナのものなのだからちゃんとパレスチナにもその利益が行くようにすべき」という勧告が出されていたことから強欲なイスラエルはいやいやながらこれに従った(ふりをした)ようですね。
 
ところが10月6日のハマス騒動が始まるとこの話は宙に浮き戦闘行為の真っただ中の10月30日イスラエルは単独で国際石油メジャーのBPやイタリアのENIなど6社に「リバイアサン油田の西側での採掘権のライセンスを付与した」と発表しています。

イスラエルは土地だけではなくエネルギー資源もパレスチナ人から強奪し、今現在ガザ地区で最後に残った非常に狭い地域からパレスチナ人全員を抹殺しようとしています。
そして今後は同じようなことがヨルダン川西岸でも起こるかもしれません。
 
表向きの綺麗ごととは裏腹にこの民族浄化に手を貸しているのはアメリカだというのも紛れもない事実でしょう。
 
現在あきれ果てたことにイスラエルの民間の不動産会社が浜辺のリゾート地を開発して売り出す為のセール活動をしたりしています。
 
ガザリゾート地計画

ガザ沖合

ガザ紛争サマリー

10月6日のハマスによる越境攻撃はイスラエルとハマスが組んで起きたと主張する人もいるものの真偽のほどは不明です。 しかし、少なくともイスラエルはハマスが越境攻撃をやり易い環境を設定して意図的に攻撃をさせたというのは紛れもない事実でしょう。

イスラエルが執拗にガザを破壊し、パレスチナ人を兵糧攻めや空爆と陸上からの攻撃で無差別に死に追いやっている背景には恐らく大イスラエル主義を主張するシオニストの意向が強く働いており、個人的に刑務所行を逃れたいネタニヤフがこれに協力している為紛争が長期にわたり継続しています。
 
ガザのガス油田というエネルギー資源の強奪は唯一の紛争を起こした動機とは思えませんが、少なくとも複数あるうちの一つの重要な理由ではあるでしょうね。
 
今回のテーマは以上となります。 次回は「ヨーロッパに搾取され続けるアフリカ」というテーマで投稿する予定です。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。 

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