Z世代のたまり場、Discordが変えるSNSの世界
リア友から、ネット友へ
ここ数年、リアルの友達ではなく、ネットの友達と交流を深める流れがどんどん加速している。Facebookはおろか、Instagramでさえ居心地の悪い空間になっている。承認欲求を満たすためのステージ・パフォーマンスの場所である上に、いろんな人と繋がりすぎていて、そもそも本音を発信しづらい。
TikTokに「おっさん」が流入しても、若者が逃げない理由
Facebookが買収したInstagramも、近年同じような道のりを辿りつつあった。ここ6年くらいのインスタの普及により、インスタは誰とでも繋がれるツールになった。今では僕も初めて会った人とは「LINE交換しようよ」ではなく「Instagram教えてよ」となる。その結果、Instagram上のソーシャルグラフがどんどん拡大していった。インスタは今の大学生なんかにとっては、僕よりもさらにごちゃ混ぜSNSになっているように思う。高校の時の友達。大学の友達や先輩。バイト先の人。就活を通して繋がった社会人。合コンで出会った人。みんなInstagramで繋がっていく。そうゆう場で本音の投稿というのはしづらい。誰が見ていて、どう思われるかわからない。SNSというのは、利用ユーザーの裾野が広がり、繋がりが増えれば増えるほど窮屈な場所になってしまい、発信しづらくなっていく。
居心地が悪くなった人はSnapchatやZenlyに逃げて、限られたBest Friendsと繋がる人もいる。あるいは大学生いわく、Instagramでは本アカウント、裏アカウント、サブアカウントの3つくらいを持つのが当たり前になっていると言う。裏アカウントでは本当に親しい友達としか繋がらないし、サブアカウントは趣味を基軸としたアカウントだ。
そこまで親しくない知り合いと繋がるよりも、ネットを通じて共通の趣味を持つ友達を作った方が良いと考える人がいるわけだ。
2020年に入ってからはパンデミックにより、大学の授業はオンラインがメインとなり、そもそもリアルの友達を作りづらい状況にさえある。
数年前にTinderの創業者は、これからのSNSは既存のソーシャル・グラフの外にあると語った。
火を灯せ。Tinderの初期グロース戦略と目指す世界
Tinder創業者ショーン・ラッド氏:
これまでの10年間(※2007-2017)はソーシャル・グラフを定義することだった。SNS上で友達を探し、彼らとコミュニケーションを取れるようになった。何人フォロワーがいるかで自分たちを定義するようにもなった。次のソーシャルの10年(※2017-2027)は、それらを使い、ソーシャル・グラフを拡大し、既存のグループの外へ冒険することになる。ユーザーがこのようなことを欲している。新しい人と知り合い、交流を広げ、ソーシャルな体験がしたい。Tinderのような会社がそのようなムーブメントの先頭を走れるように願う。
ネットで他人と知り合う場所の筆頭に、フォートナイトなどのゲームがある。成長し続けるゲームの背中に乗りながら台頭しているのがDiscordだ。Discordは直接ゲームを作っているわけではなく、ゲーマーのためのコミュニケーションツールを提供している。SlackのようなUIのチャットや、通話もできる。チャットや通話だけなら、当然LINEや海外のWhatsappでもできるのだが、なぜDiscordなのかを現役Z世代に聞いてみた。
● 属性:20歳女子大学生ゲーマー、主戦場:第五人格
※そもそも第五人格というゲームにはボイスチャット機能がついていないため、ゲームをしながら通話をするには外部アプリを使うしかないが、なぜDiscordなのか?
※スクショ掲載の許可もらっています
LINEはリア友中心だから知らない人に教えるには抵抗がある。加えて、ゲームしながら通話という面ではDiscordは性能が優れている。このように、Discordはゲームのために最適化されたコミュニケーションツールであり、2015年に海外でローンチされてから、WhatsappやSkypeなどを使っていたゲーマーは軒並みDiscordに乗り換えていった。
もう一人違うZ世代女子が次のようなことも言っていた。
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Z世代「ゲームを通して好きになった男の子とずっとDiscordでやりとりしてたんだけど、ついにLINEで繋がることになった!」
石ころ「Discordでもチャットとかできてるんだから、LINEゲットしてもそんな変わらなくない?」
Z世代「全然違うよ!LINEはやっぱり特別!プライベートなLINEを交換したというのは関係が一歩進んだ証拠なの!」
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リアルの世界で知り合う友達とはInstagramを交換し、ネットの世界で知り合う友達とはDiscordを交換する(もちろんゲーム以外はTwitterなども)。その中で、さらに親しくなった一部の人とはLINEに移行する。LINEは仲良し、恋人、家族など限られた人とやりとりをするプライベートな場所になっているのかもしれない。
既存のSNSに対するアンチテーゼ
Discord創業者のJason Citron氏のブログを覗いてみよう。
我々はDiscordをおしゃべりのためにデザインした。そこには終わりのないスクロールは無いし、ニュース・フィードもなければ、「いいね」を追いかけることもない。あなたが何を見るべきかを決めるアルゴリズムもない。僕たちは、友達やコミュニティと一緒にいる体験や気持ちを再構築できるようにDiscordをデザインした。あなたのサーバー(コミュニティ)を、パーソナルな空間で、あなたが招待した人たちがたくさんいて、話すトピックについて決められるようにした。あなたのコミュニティはそれぞれ、エンゲージメントに関わる独自のルールや規範があって、人々に楽しい役割をもたらし、内輪な冗談も付加される。
ここから分かるように、DiscordはFacebookやInstagramなど既存のSNSへのアンチテーゼ的思想を有する。この点は、フォートナイト運営が買収したビデオ通話アプリのHousepartyと同じだ。2018年にHousepartyの創業陣のインタビューをみてみよう。
ソーシャル・メディアは人と人を繋げる約束をするところから始まった。だがいま世にあるソーシャル・メディアはその約束を果たしていないように思う。ポケットにあるデバイスは、個人個人の視点を届け、みんなを繋げてくれるはずだった。だがそうはならなかった。代わりに、ステージを作った。ステージは本質的にパフォーマンスをすることを意味し、最もパフォーマンスが得意なのは、インフルエンサーやメディア・クリエイターで、私や、君ではない。そこで一歩引いてみて、ステージではだめだ、パフォーマンスを意味したらダメだ、ハウスパーティーのように感じられるようなモノを作ろう。と考えた。
2016年にローンチされたHouseparty上の会話は全てリアルタイムに起こる。「いいね」ボタンやコメント、ニュースフィードはないし、フォロワー数を数えることもないし、プロダクトが唯一届けているメッセージは「あなたが一番気にする人のための場所だ」ということだ。
20 million people are gathering on Houseparty, a group video-chat app popular with teens
SNSの歪な一面や社会問題化している話はネットフリックスのドキュメンタリでも取り上げられている。
コミュニケーションのハードルを下げるDiscord
Discordは誰がオンラインかがひと目で分かる(※オンライン状況を隠せる機能もあるが)上に、ボイスルームという常設された部屋みたいなものがある。誰かにわざわざ「電話をかける」という行為をせずに、部屋に入るだけで通話ができる。
人はFacebookやLINEで繋がっていても、キッカケが無いとなかなか連絡をしない生き物だ。そんな中、コミュニケーションのハードルを下げる方法はいくつかある。
一つは、エサを用意してあげること。InstagramのStories動画、Zenlyの位置情報、FRYDAYSのカレンダー予定を起点に会話が生まれるケース(例:料理の動画に対して「美味しそう!」、舞浜の位置情報を見て「ディズニーに行ってるの?」、カレンダーの予定に対して「日曜日の試合頑張ってね!」)。
あるいは、質問箱やBoxFresh、Nyagoのように匿名の力を借りて話しかけること。
Tinderのようにお互いに興味があることを可視化させるマッチングも有効な手だろう。
一方で、高校生が休み時間に友達に話しかけに行く時に、何か会話のネタを用意するわけではないし、当然匿名の力を借りる必要もない。お互いにウインクをしあってから双方に好意があることを確かめてから話しかけに行くわけでもない。話しかけるのは、単純にその空間に友達がいるからだ。ただそれだけ。元カノにいきなりLINEはできなくても、街中ですれ違ったら立ち止まって会話が生まれるかもしれないのと同じだ。Discordのボイスルームはそうゆう場所だ。
Zoom飲みは誰かが企画しないといけなく、数ヶ月に1回ある飲み会や数年に1回ある同窓会と同じような位置付けで、教室や部室のようなたまり場とは程遠いが、Discordは例えるなら、Zoom飲み会がしょっちゅう行われているようなイメージだ。
毎日、ゲームを始めるときにDiscordのたまり場に顔を出して、友達とつるむわけだ。
コミュニティを飲み込むDiscord
コミュニティの歴史を振り返るために、2018年にTechCrunchの記者が書いたコラムを読んでみよう。
ソーシャルネットワークがソーシャルではなくなった年
ソーシャル・ネットワークはまだソーシャルなのだろうか?Facebookを開くたびにテックに対する疲弊を感じるなら、それはあなただけではない。遠い親戚のいとこらがFacebookで政治について論争を繰り広げているのを見るのはもう楽しくない。
(中略)
あなたがネットを一定期間アクティブに使っていたのなら、インターネット掲示板が好きだった思い出があるかもしれない。ゲーム、ハリーポッター、絵のファンだったかもしれない。分断されていることが鍵を握った。複数の掲示板を使えて、そこでは他の趣味について触れる必要はなかった。時間が立つにつれ、掲示板でたびたび出現する同じ名前に気づいたり。冗談を言い合ったり、新しいことを一緒に見つけたり、笑ったり、泣いたり、何かを感じたりした。私がティーネージャーだったころ、複数の掲示板を使っていて、1年に何千ものメッセージを投稿し、新しい人と知り合った。同じ情熱を分かち合う人たちだったから、歓迎してくれるグループの友達とつるんでいる感覚になれた。それはネット上だけの偽りの人間関係ではない。リアル世界でもネット上の友達と会った。ある日、掲示板に属していた人が亡くなったことをスレッドで読んだことを覚えている。その掲示板はその人にとってとても大事だったから、多くの人がその人に向けたショートメッセージを投稿した。
多くの場合は、話している相手のアイデンティティは分からなかった。みんなニックネームを使っていて、ちょっとした情報をプロフィールに書くだけ。"ドイツのシュトゥットガルト住み"、"電車の切符検査人"など。
そして、Facebookが起こった。最初は同じように、趣味ベースのコミュニティだった。同じ大学に通う人たち、それは結局共通の趣味の一つである。それは大学の外にもスケールしていった。
続いてゆうこすさんの話。
ゆうこす「いまのSNSは1対1が苦手な人は入っていけない」の理由
誰もがSNSのアカウントを持ち、個人発信できるようになった現代では、「つながっているのに孤独」という若者も増えている。ツイッターで人気のハッシュタグ「○○好きな人とつながりたい」も、孤独感の表れかもしれない。HKT48の元メンバーで、インフルエンサーとして若い女性から絶大な支持を受けている「ゆうこす」こと菅本裕子さん(25)は言う。
「ミクシィやモバゲーが盛んだったころは、『中学2年生集まれ』『○○好きの人集合』といったコミュニティがあって、そこに入っていくだけでよかった。今はハッシュタグでつながったとしても、自分から声を掛けなければいけないし、1対1が基本なので、苦手な人は入っていけません」(ゆうこすさん)だからこそ、ミクシィのコミュニティのような存在が必要だと感じている。
最後に、平成の終わりにmixiを振り返るというエモい対談。
りょかちさん:たしかに、ソーシャルメディアを多くの人が覗くようになった今、パブリックな空間で会話できないことはありますよね。もしかしたら、mixiを使ったことがない人が使うとハマるかも。例えば、私はPerfumeのファンなので、ツアーに行った時に、感想を投稿したくなります。でもまだ他の公演もあるからネタバレは発信できない。そういう時に、mixiにはネタバレOKな掲示板があるから、体験を共有できる。そうした良さはあると思います。(中略)mixiはさっきの”ネタバレスレ”のように、見るタイムラインや、適切なルールがある世界(スレッド)を個々人が選べたから「それはスレ違いなんで」と言うことができた。ルールも特に無く、思わぬRTで意図しないツイートを見てしまうことが多々あるTwitterではそれが言えないからしんどくなってくる。それから今は、Twitterの人口が増えて、誰かが偶発的に自分を知ってくれるチャンスがTwitterに増えたからか、「何者かになりたい」「目立ちたい」という人が増えている気がしますよね。Twitterは”有名な人を目指す世界”みたいな世界観になっていっている気さえします。
古きインターネット掲示板や、mixiコミュニティを懐古する人が多い中、Discordはある意味インターネットの原点に回帰している。
Discordではサーバーという名前のコミュニティをたくさん作れて、興味関心別のサーバーにたくさん加入できる。それはゲームだけではない。海外では数年前からたくさんのゲーマーやトップYouTuberがDiscordで自分のコミュニティを作っていて、インフルエンサーがファンと繋がる場所に活用している。日本でも、インフルエンサーがDiscordを活用し始めている。YouTubeで筋トレ/ダイエット動画を投稿している「のがチャンネル」はDiscordで会員制のオンラインコミュニティを始めた。石ころも加入した。
僕は他にも、ライフハック術共有、音楽など、ゲーム以外のコミュニティにも複数入っている。
海外では掲示板サービスのRedditから派生して、 "The Bachelor"や"The Real Housewives"などの番組をリアルタイムで見ながらみんなで議論するDiscordコミュニティなんかも人気を誇っている。
仕事も一つのコミュニティと言えるだろう。Discordがリモートワークで使えるという声も挙がっている。
コミュニティといえばこれまで、mixiやfacebookのコミュニティ、オンラインサロン、最近だとLINEのオープンチャットなんかがあるが、今Discordが非常にきている。
メタバース/ネット世界への入り口
フォートナイトがSNSプラットフォームに化けているというnoteで、「People First」という考え方について触れた。
Facebookのマーク・ザッカーバーグが目指すソーシャルVRの世界は、スマホのアプリを開いてから、各アプリ内でたまたま友達に用があったら連絡する(アプリファースト)ではなく、最初に友達と待ち合わせてから、一緒にいろんなアプリを開いていろんなことをする(People First)という考え方です。例えばフォートナイトの中でゲームを一緒に遊んだり、一緒に音楽を聞いたり、一緒に有名アーティストのライブに参戦したり。
People Firstの時代が訪れたとき、Discordはその「入り口」になる可能性がある。インターネットには面白い場所がたくさんある。TikTok、YouTube、Fortnite、Spotify。必ずしも全員がずっとフォートナイトの中で過ごすとも限らない。全ての体験をフォートナイトの中でできるという究極のメタバース世界も実現するかもしれないが、現実解はきっとそこまで極端なことにはならないかもしれない。
その時、Discordは友達と各サービスに入っていく際の入り口になるかもしれない。いったんDiscordで集合してから、そのあと何をするか決める。あるいは先にFortniteに入っている友達がいれば、自分も追いかけるようにFortniteに入るかもしれない。既にDiscordでは友達が何をしているかが可視化される「Rich Presence」という仕組みもある。
Discord公式ページ
ゲーマーはDiscordのステータス機能を使って今何をプレーしているのか発信するのが大好きです。Rich Presenceを使えば、さらに素敵な画像や詳細の表示が可能になり、ゲームをもっと見せびらかすことができちゃいます。またそれを見た他プレーヤーや友だちが「一緒にプレイしてみたい!」と思うきっかけ作りにもつながります。
なお、ゲームだけでなく、例えばSpotifyと連携しておけば曲を再生中に自動連携もされるし、もちろん手入力で今何をしているかのステータスを書くこともできる。
(ちなみにBotという機能を使えば、Discordのコミュニティ内で音楽を流してみんなで一緒に聞くこともできる。)
ここで、また違うZ世代ゲーマーの意見を聞いてみた。
● 20歳大学生女子、主戦場:Call of Duty (COD)
※スクショ掲載の許可もらっています
CODでは敵の足音に耳をすませることも重要らしく、COD内のボイスチャットを使うと、通話相手の声と、ゲーム内の音が混ざってしまい、よく聞こえなくなる。外部のDiscordだと、別のところから音が聞こえてくるような感じで、ゲームに支障をきたさない。
この利便性に加えて、ゲームに入っても確実に相手がいる訳じゃないが、Discordで繋がっておけば、そっちでチャットができるという点。複数のメタバースやネットの面白い空間が存在する時代には、フレンドとはゲームだけで繋がるよりも、ゲームの入り口のDiscordで繋がっておいた方がいいのだ。
※なお、「ディスコ使う理由って(ボイス通話ではなく)トーク(=テキストチャット)の方がメインかも」と言っている理由は、彼女はボイス通話についてはDiscordではなく専ら「パラレル」という日本のアプリを使っているから。
ここまでDiscordが天下最強のように書いてきたが、実はグローバルプラットフォーマーのDiscordに挑んでいる日本のスタートアップがあり、上記のZ世代の彼女のCODフレンドはみんなこぞってDiscordからパラレルに乗り換えたらしい。
ネット世界への入り口となるサービスはDiscordの他にも、ビデオ通話アプリのHousepartyだったり、友達と画面共有をしたり一緒にYouTubeやTikTokも見れるSquad、ゲーム配信アプリのTwitchなどたくさん台頭している。
Fortniteを運営するEpic Gamesが2019年にHousepartyを買収した時、既にHousepartyで通話をしながらFortniteを遊んでいる若者も結構いた。Epic Gamesは既に人気ゲームを展開していたので、その入り口の一つとなるHousepartyも手に入れようとしたのかもしれない。
なお、メタバースというと、VR的世界が最終地点のように考えることが多い。辞書を見ても次のようにある。
メタバースとは、多人数が参加可能で、参加者がその中で自由に行動できる、通信ネットワーク上に作成された仮想空間のことである
ただ、現実世界に仮想空間を重ね合わせる形でも、メタバース的空間が生じうる。スマートグラスが普及した後の世界で、全世界同時に開催されるポケモンGO大会だったり、
あるいはマリオやストリートファイターの拡張現実版。
あるいは全世界同時で開催されるオンラインマラソン大会。チーム対戦でボイチャを繋ぐかもしれない。猫ひろしがまるでリアルタイムで実況してくれているかのような感覚になれるランニングアプリも既にある。
僕もパンデミック以降、高校の時の友達数人とLINEのグループ通話機能を使い、YouTubeの筋トレ動画をみんなで一緒にみながら筋トレをしている。この時、リアルの世界で実際に体を動かしているので、VR的メタバースの路線とは似て非なる。
Snapchatは瞑想アプリのHeadspaceと連携し、友達と一緒に瞑想をすることもできる。
DiscordはVR/AR関わらず、人と人が遠距離でコミュニケーションをする上でデフォルトのチャットツールになれたらきっと強いはずだ。もちろん個々のアプリでもボイスチャット機能を有するかもしれないが、今のゲーマーがゲームをやる時の通話はDiscordを選ぶのと同じように、将来もDiscordが選ばれるかもしれない。
ゲームツールから、総合チャットプラットフォームへ
Discordはローンチして以来、自らのプロダクトの価値を世の中に伝える時は「ゲーマーのための無料ボイス・テキストチャット」と言ってきた。
そんなDiscordの創業者にしてCEOであるJason Citron氏が今年の5月にブログで、プロダクトのミッションをアップデートすることを発表し、そのあとDiscordのウェブサイトも刷新された。
話せる、あなたの居場所。
学校のクラブでも、ゲーミンググループでも、世界規模のアート・コミュニティでも、一緒にのんびりするだけの身近な友達でも、毎日話して、もっと集まるお手伝いを、Discordがいたします。
ゲーマーのための便利な1ツールとして始まったDiscordが、ゲーマー以外のコミュニティやSNSの総合チャットプラットフォームに脱皮しつつあることを示している。新しいミッションが発表された数ヶ月後の9月19日に、iPhoneアプリのSNSランキングでDiscordがナンバーワンになった。
もちろんこれは月間ではなくあくまで日間のランキングであるが、DiscordがSNSカテゴリーで一瞬 1位になったと聞いても何の違和感も抱かないほどに、DiscordはSNSっぽくなってきていた。
最後に、Jason Citron氏がDiscordを「Free Voice and Text chat for Gamers 」から「Your Place to Talk」へのアップデートすることを発表した際のブログを引用して終わります。
Video games are about people。ゲームは世界の別の場所で、別の人生を歩んでいる人々を、大好きなことを軸に繋ぐ力を持っている。ゲームは笑ったり、懐古したり、イライラしたり、何かを達成したり、連帯感などで詰まった思い出を作ってくれる。これが、僕らが最初にDiscordを作った理由だ。友達とゲームを遊びながら育っていく中で体験するこれらの感情をとらえ、促すシンプルで簡単な方法が欲しかった。しかしここ数年で、Discordの魔法は一体なんなのだろうと問い続けてきた。それは結局、多くの人にとって、もはやゲームのことだけではなくなっていた。ゲームは多くのみんなをプラットフォームに上陸させてくれて、僕らは常に感謝している。時間がたつにつれ、僕らが気づき、言語化したことは、安心する、所属するコミュニティや友達と交流して話せるように設計された場所が欲しかったのだと。本物の会話をし、人々と質の高い時間を過ごす場所が欲しかった。それは何かについてキャッチアップしたり、学んだり、アイデアをシェアすることでも。あなたとあなたの世界が真に所属することができるような場所。みんなは僕らのところにきて、Discordはそのような場所だと行った。何百万の人にとってDiscordは既にホームのように感じられた。
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(おわり)
ツイッターでも発信しています。@ishicorodayo
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