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理科の「授業開き」アイディア-オモシロ実験で学び方を学ぶ

 4年生以上にオススメの理科の授業開きです。
 理科学習の問題解決の過程を学ぶ・確認することがねらいです。学習過程を知る・確認することで、主体的に学習を進めることができるようになります。学習することに対する気持ちも安定します。
 そのためには、オモシロ実験です。少しでも、今後の理科学習にワクワクできるように、こんな実験に取り組ませました。
 本来は、数時間かける問題解決の過程をぎゅっと1時間に凝縮します。どんな授業だったのかお伝えします。なお、問題解決の過程は、予め画用紙に書いておき、それに沿って確認しながら進めました。この画用紙は、この後1年間常掲しておきました。

①問題を見つける
 いきなり問題は見つからないので、この時間は私が次のような実験場面と問題を提示しました。


提示した実験場面

問題:水の入った容器の横にある木を水の中に浮かべると全体の重さはどうなるか。

②予想する
  秤から、容器と木片を一度下ろして、木片が水に浮かぶことを確かめた上で、上記の問題を提示し、予想をさせました。 
 この時の子供たちの予想は次の2つに分かれました。

ア 軽くなる。水に浮くから。

イ 変わらない。何も足したり引いたりしていないから。

 なかなかの盛り上がりでした。
 根拠と理由が大切であることを話しました。盛り上がるだけでは足りません。

③実験方法を考える
 今回は、実際に浮かべて重さを量り、水の中に入れる前の重さと比較すれば良いことを確認しました。

④実験
 さあ、実験です。何人かの子供たちがぐっと身を乗り出しました。
 コロナ感染の心配がない頃は、全員が演示実験の前に集まりました。

 結果は、もちろん、「重さは、浮かべる前と同じ◯◯グラム」でした。

⑤結果の記録
 ノートに記録をさせました。授業開きでは、ノート指導も並行して行います。ここまでで、「問題→予想→自分とは異なる友達の考え→結果」を順序よく書かせていきました。

⑥結果からの考察
 さて、これが、理科学習ではもっとも重要で難しいところです。中教審の「答申」(H28)にも示されている日本の理科教育の課題の一つです。
 
 ノートに記したそれぞれの考察を黒板に列記していきました。
 今回は、授業開きであり、かつ浮力と重力の作用・反作用の関係は小学生にとっては難しいので、それぞれの考察を褒めました。しかし、曖昧なオープンエンドは力を育みませんから、10種類くらい板書した時点で、どの考察が良いと思うかを問い、手を挙げさせました。
 そして、「先生は、これが良いと思う。」と、「水に浮かべても物の重さはなくならない。」という考察を指しました。
 
 最後に、こう話しました。
「<結果からの考察>が一番大切で、一番難しい。それをみんなよく頑張った。この難しい<結果からの考察>が得意になるように今年の理科を頑張ろうね!」
 
 次の理科はもちろん、<問題を見つけよう>という内容がテーマになります。本格的な問題解決単元の始まりです。