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ミニ感想文で夏休みの読書感想文指導を(1~3年向き)

ミニ感想文で読書感想文指導をする

「読書は好きだけど、感想文は嫌い!」という子がいる。
子供たちは、読書感想文が苦手なのだ。

それは、なぜか。
読書感想文の書き方がわからないからだ。
だから私は、夏休み前の読書感想文指導では、特に、感想文全体の組み立て方、つまり構成を教えることに力を注いだ。

だが、低学年や3年生の多くは、いくら「構成」を教えても十分には身に付かない。
そのため、いざ書くとなると困ってしまう場合が多い。

そこで私は、前回の投稿「ヒント帳100」でもお伝えしたように、6月~7月の国語の授業で、読み取った物語文のミニ感想文を書かせた。

実際に書くことで、読書感想文の書き方の基本を学ばせたのである。

特に、1年生から3年生ぐらいまでに対してしばしば行った指導方法である。

どんなミニ感想文を書かせるか

どのようにしてミニ感想文を書かせたかを説明する。

①「考える読書感想文」を目指す

物語を読み、面白かったところを書かせる指導がある。
指導要領にも示されているように、感想を交流したり、人によって感じ方に違いがあることに気付かせたりする上では意味がある。
しかし、「考える読書感想文」には、ならない。

そもそも、「面白いと思うところを見付ける」指導には難しさがある。

「ヒント帳71」で述べたように、子供の「面白いところ」は、<お笑い的><漫画的>な場面になりやすい。
仮にそうならなかったとしても、その理由・根拠を分かりやすく説明するのはなかなか難しいことだ。

<物語の読み方・読む観点>が知識として不十分な段階では無理もない。

つまるところ、「本を読んで考える読書感想文」には、なりにくい。

②自分と似ているところを見付けさせる

そこで、登場人物と自分とを比較させて、行動や考え方などの「似ているところ」を見付けさせる。

自分と比較するという観点を与えることで、子供は「自分だったら」という視点で物語を読み直すことになる。

③さらに、それを複数見付けさせる

可能ならば、さらに、「似ているところ」を複数見付けさせる。
「複数」という指示を出すとことで、子供たちは物語全体を視野に入れて繰り返し読む。

見つけた複数の「似ているところ」は、並列して書かせればよい。
感想文全体の構成指導は子供の書く力に合わせて指導する。
低学年は、「並列」くらいが分かりやすくてちょうどいいと、私は考えていた。

なお、「似ているところ」を見付けられない子には、無理に見付けさせる必要はない。
教科書の教材文を使ってミニ感想文を書かせているので、比較的子供の共感を得やすいものだと思うが、それでも無理強いをさせる必要はない。

④自分と違うところを見付けさせる

次に、逆に「自分とは違うところ」「自分だったらそうはしないと思うところ」「自分だったらできないと思うところ」を見付けさせる。

むしろ、この「相違点」の方が見付からないという子が多いかもしれない。
「違い過ぎてどう表現していいか分からない」という場合もある。

そうしたときは、「いいな、すごいなと思うところ」「真似したいなと思うところ」という投げ掛け方をすると、比較的見付けやすくなる。

⑤これからの自分について考えさせる

ここが、いよいよ「考える」部分である。
最後に、自分との比較を通して、今後の自分について考えさせるのである。
「見付けた似ているところをさらに伸ばしたい」、あるいは「ここが違うから、自分はそこを直したい/頑張りたい」といったことを書かせる。

注意!形式的な感想文にならないように

これで、ミニ感想文の「完成」である。

形式的なステレオタイプの読書感想文になるのではないかと思われるかもしれない。
その通りである。
注意が必要だ。

高学年における、伝記を読んだ後に今後の自分の生き方について考えを書く学習が陥りやすい<失敗>と同様である。

<失敗>を防ぐには、「似ているところ」「違うところ」をしっかりと読み取らせることが必要だ。
自分との比較がどれだけ深く行えるかが鍵となる。

そのために、まず、登場人物の心情や行動の理由を詳しく読み取らせる。
だが、その段階では、子供はまだ自分と比べてはいない。
そこで、「自分なら登場人物のようにするか、しないか」と、選択させる聞き方をすると、我が事として考えやすくなるだろう。

だから、授業で行う。国語の学習として行うのである。

1年生には特に配慮を

以上、ミニ感想文を書かせることで、夏休みの読書感想文指導を行う方法を紹介した。
ただし、1年生は特に配慮が必要である。

実際に夏休みに読書感想文に挑戦する予定の1年生の場合は、夏休み前に個別指導を行ったり、保護者と連絡を取り合ったりして、本人が路頭に迷ったり、保護者の負担を増やしたりすることがないように手だてを打つことが必要だ。

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