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日本BL映画「最短距離は回りくどくて、」三部作

主演:向理来、初瀬川博人、塩口量平、CIMA、久野木貴士、服部武雄、竹本泰志
(1) ”NOIR”および”BLANC” 2019年
(2) 雨とソーダ水 2020年
(3) 落花流水 2020年
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★☆☆
(写真=映画.comより)

ここのところ、頭の中が勝手に一人で台湾映画祭&台湾ドラマフェスティバルになっていて、盛り上がっているのだが、ちょっと合間に日本BL映画。
しかし、またやってしまった。あらすじ全く読まないで見始めちゃうパターン。映画館に行くなら絶対にそんなことはないと思うが、ネット配信だとどうもいけない。「字幕読まなくて済む!」とそれだけの理由で再生ボタンをクリック。ふむふむ、高校教師と生徒の物語ね。と思いきや、その後の展開に椅子から落ちそうになった。

先生と生徒の交換日記から始まるラブストーリー

最低限読んでおけばよかった一作目のあらすじは映画.comのサイトより引用。

孤独な高校時代を送っていた悠斗(向理来演)と、彼のことを気にかけていた新任教師の青山(塩口量平演)。2人は交換日記をスタートさせ、悠斗は青山に少しずつ心を開いていく。ある日、風邪で学校を休んだ悠斗は、見舞いにやって来た青山から突然キスをされてしまう。突然の出来事に動揺した悠斗は青山を激しく拒絶し、そして青山は教師の職を追われた。それから3年、高校卒業後にホストとなった悠斗は客とのトラブルから背負った借金のために男娼として体を売ることになる。そして、悠斗はひょんなことから青山と再会を果たし……。

男娼の世界の愛憎物語

初瀬川博人演じるホストクラブオーナー涼馬によって、借金を返すために男娼として売られる悠斗、竹本泰志演じる矢崎が経営する専門のクラブで働き始める。そこにはナンバーワンのポジションを占めていた服部武雄演じる聖夜がいたが、次第に悠斗の人気があがり、聖夜が嫉妬し始める。そしてなぜそんなに人気なのかを探るために、聖夜は客として悠斗を指名するのであった。

そこから繰り広げられる、悠斗、青山、聖夜、矢崎を中心とした男達の愛憎物語。二作目からは久野木貴士演じるクラブのオーナー柴原、CIMA演じる流花などが加わり、誰が誰のことを愛していると言っているのか、しかし本当に愛しているのは誰なのか、男娼として体を売りながらも、それぞれの心に秘めた本当の愛する人が三作目で明らかとなる。

結局は純愛ラブストーリー?

三作目の「落花流水」というタイトル、私は最初の意味ぐらいしか知らなくて、劇中でも説明されるが、“相思相愛”という意味もあったらしい。

落ちた花が水に従って流れる意で、ゆく春の景色。転じて、物事の衰えゆくことのたとえ。時がむなしく過ぎ去るたとえ。別離のたとえ。また、男女の気持ちが互いに通じ合い、相思相愛の状態にあること。落ちた花びらは流水に浮かびたい。流水は花びらを浮かべて流れたいという気持ちがある。すなわち男女が互いに慕い合い、愛し合うこと(=相思相愛)。

NCシーンがあまりに多くてついそちらに気を取られてしまいそうになるが、結局はそれぞれが一人の人を想い続ける純愛物語であるともいえる。ただ、本当の想いに気付くまで、辿り着くまで、あまりにもみんな遠回りをしてしまった。

この三部作、私には経験することもできない男娼の世界などが描かれているノワール作品であり、ストーリー的にはまあまあオススメであるが、ほぼAVであるのと、多少残虐なシーンもあるので、BL映像作品を一度も観たことのない方、およびBL初心者(ほんの触れる程度のキスシーンぐらいしか見たことのない方)には、手放しでオススメはしない。ハッピーエンドでもない。3本の映画として公開された作品だが、1本が70分なので、ドラマ3話のような感じである。

一作目は結末が異なる“NOIR”と“BLANC”という2つのバージョンがあり、最後の15分だけ内容が違う。私は何も知らずに“NOIR”から観始めたが、このサブタイトルからも分かるように、このバージョンの結末から二作目に続く。しかし、“BLANC”の結末もこれはこれで面白い。

そしてこれに出演した俳優さん達、いやぁ、お疲れ様でした!いろいろな意味でとても見応えがありました!
主演の向理来はもともとAV男優だそうだが、他のキャスト達は皆舞台などを中心に普通の俳優として活躍しているようなので(CIMAという子はポールダンサーらしい)、この作品に出演するのはかなり勇気が必要だったのではないかと思う。

*この映画の予告編や関連動画は年齢制限がかけられているため、リンクは貼らないので、各自探してください。

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