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公務員時代に学んだ、イラっとした時の要望の伝え方

公務員時代、おじさんから面と向かって怒鳴られたことがある。

まだ21歳の時だ。

面食らったが、心は折れなかった。

私としては、法律で決められていることを粛々とこなしていただけで、自分のミスではなかったからだ。

しかし、おじさんの苛立ちも理解できた。

詳しくは書けないが、文句のひとつくらい言いたかったのだろう。

しばらく怒鳴られ続けたが、話を聞きつつ、でも引き下がらず、やり取りを続けているうちに落ち着いてきたのか、

「まあ、あんたに言ってもしょうがないんだけどさ」

と言って、こちらのお願いを聞き入れてくれた。

大声で怒鳴る必要はなかったと思うが、きっと虫の居所が悪かったのだろう。

この方は全然厄介なタイプではなかった。



公務員をしていると、いろんなタイプの市民の方に出会う。

「お前らは税金で飯食ってるんだろっ!」

と、テレビで聞いたことのある台詞も言われたし(心の中では「私も納税してますが?」と思っていた)、

「俺は役人が嫌いだ!」

と、塩を撒かれた職員もいた。

文句を言いに来るのがルーティンになっているおじさんとかもいて、いつも上司に散々怒鳴り散らして帰っていった。

不満があるからクレームを言いに来るのだろうが、毎回毎回怒鳴り散らしているのを見ると、要望を聞いてほしいのか、ただ怒鳴って爆発したいだけなのか、とにかくこの人は損をしているなぁ、と思っていた。



絶対に口に出しては言えないが。

私は大声で怒鳴るタイプの方は小物だと思っていた。

一生懸命吠えているけど、怖くはない(ただし、非常に不快)。

感情的になると、論理的ではないため隙だらけなのだ。

「怒鳴られた」という印象しか残らないし、「結局あの人何が言いたかったんだ?」となる。

相手に話を聞いてもらいたければ、苛立っている時ほど冷静さが大切なのだ。

私は子どものころ、かなり感情的だったため親に、

「感情的になったら負け」

と何度も言われて育った。

社会人になってからは、その言葉の意味がよくわかる。



先日。

息子の学校の対応で少し納得のいかないことがあった。

私はまず、スピーディさが重要か、しばらく寝かすべきかを考え、今回のケースはスピーディさが重要と判断した。

礼節を忘れず(これ、こちらに隙を作らないためにけっこう重要)、かつ冷静に、事情をもう少し詳しく教えてほしい、という姿勢で学校に連絡をした。

息子の私への説明が不十分だったため、事実確認をしてから出来事を判断したかったからだ。

先生の説明は不明瞭な部分もあったが、事実確認は概ねできたため、詰め寄るようなことは一切せず、終始穏やかな親で通した。

自分で言うのもなんだが、私が対応するならば、こういうタイプの方が要注意なのだ。

実際私は学校に連絡をする前に、息子の話を整理しメモをしていた。

そして、疑問点、不可解な点、確認しなければならない点をすべて記入し、先生との会話もメモした。

学校と対立したいわけではなく、物事を冷静に判断するためである。



現実社会で怒りを露わにするのは、得策ではない。

冷静に論理的に、時に相手の感情を揺さぶるように、自分の困り感をいかに伝えるかが重要だ。

伝え方で相手の対応は確実に変わるし、自分への印象も変わる。

もっと言えば、「この人の力になってあげたい」という人間になればいい(演じればいい)。

私がたまに使うフレーズは、困り感を前面に押し出しての「助けてください」だ。

「助けてください」と言われて、放置プレイをするドSな人はそうそういない。

怒りではなく、困り感アピール。

わりと、使える。

怒り散らしてイライラ倍増からの相手に嫌われる負のループより、自分の最終目的を達成する(要望を聞いてもらう)ために、冷静に作戦を練ったり、時に演じた方が賢明……

だと思ったりするのだにゃん。


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