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大河ドラマ「光る君へ」感想と妄想の日々

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大河ドラマ「光る君へ」 毎年見ている大河ドラマですが今回はまさに沼! 結局毎週毎回、妄想爆発の感想を書かずにはいられない お使いいただけたら嬉しいです ブログに書き溜めていたも…
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#光る君へ

始まりはささやかに: 光る君へ 37回「波紋」感想

 光る君へ 37回「波紋」感想です。 ◾️倫子様、いかに  最初はささいな、なんでもないことに見えたものが、あとへ行くほどに大ごとになっていく。  という気配満載の37回でございましたが。  前回のラストでは、赤染右衛門さんに 「左大臣様とはどういうお仲なの」  と詰められたまひろちゃん、どうなる?! と思ったら特にどうもなかったようで。  衛門さんはまひろちゃんの答えを聞かず、 「そういうこともわからないではないけれど」  と一気に決めつけ、真に言いたいことはこっ

花咲ける青少年: 光る君へ 36回「待ち望まれた日」

 今回は素直に見ている視聴者としては「よかったねえ♡」と嬉しくなることの多い回でした。  が、その一方では、華やかな光をみては心に嫉妬の闇を宿す人々でした。 ◾️咲き誇る花  とにかくよかったと思うのは中宮さま、彰子さんですね。  表情が違うし何より、やはり笑顔がすてき。  年齢的にも成熟してきているし、何よりも自信というものがその心のうちに確立されているのがみて取れます。  それでいて、まだ、一条帝に近づきたいと思い、そのための勉強を自ら望む健気さは健在。  敦康親王

雪と月の輝く夜に: 光る君へ 35回「中宮の涙」

 光る君へ(35)「中宮の涙」感想でございます。 ◾️金峯山寺へ――御岳詣  前回の終わりからの続きですね。  石山寺詣はセット撮りでしたが、こちら、金峯山は実際の地での撮影だったのでしょうか。  実際にいったことがないので映像だけではわたしには判別がつきませんが、ともあれ、周囲の景色が美しくて思わずうっとり。(ドラマを見なさいって)  前回の説明では、お参りに出かける前の100日間、潔斎(肉食、酒、色を避ける)するというのですから、ちゃんと信仰としては真面目なんだな

それは沈黙ではなく: 光る君へ 34回「目覚め」②

 前回は思わずドラマの内容自体からは思いっきり脱線したお話になってしまって申し訳ございませんでした。  今日はちゃんと(?)ドラマ感想に行きたいと思います。 ◾️興福寺 強訴  まずは歴史に関係する話題として。  興福寺による「強訴」事件ですね。  時間の都合で、入り組んだ話をそのまま押し切っちゃった感じで、「結局、なんの話?」と思った方も多いのではないでしょうか。  おすすめとしてはこちら↓の記事と、動画は冒頭部分だけでもご覧いただければと思います。    まーあ

若紫誕生: 光る君へ 34回「目覚め」①

 光る君へ 34回「目覚め」の感想  ——と言えるかどうか、ちょっとわかりません。  ドラマ本編で今回最も注目したのは(いろんな〝目覚め〟がある中でも)彰子さんなんですけども。    しかしながら今回は個人的に、あるシーンにガシッと心臓を掴まれてしまい、それが頭から離れないもんですから、まずはそれについて書きたいと思います。  今回はドラマの感想からはズレると思います。  おまけに、史実とドラマとフィクションの境目があやふやな話になりますが、お付き合いいただけましたら幸い

一目惚れより深く: 光る君へ 33回「式部誕生」感想

 光る君へ 33回「式部誕生」ということで。  清少納言ことききょうさんは、本人が希望して宮仕えとなりましたが、まひろちゃんの場合は「なりゆき」そのもの。  本人がそう希望したわけではない。  リクルートされたし経済状況を考えると働きに出るしかないし……という感じ。 ◾️あってない個室◾️  史実では藤式部は初出仕から1週間程度で家に戻ってしまい、以後半年ほど、促されても出仕しなかったのは、朋輩の女房たちから無視され続けるという「いじめ」に耐えかねてとのこと。

咲くや この花 : 光る君へ 32回「誰がために書く」③

 これを「光る君へ」の感想に含めてしまっていいものかと迷ったので、別問題、別の話題として書いてみます。  32回「誰がために書く」で、中宮様付きの女房として内裏に出仕することになったまひろちゃんに対し、父上の為時さんが 「お前が女子であってよかった」  と涙ぐんでいう場面がありました。  それまではさんざん「おまえが男であれば」と言って惜しんできたパパですから、これはなかなかのシフトチェンジだったのでしょう。  幼い頃からそんなことを言われ、女であることが「失敗」である

星の降る夜: 光る君へ 32回「誰がために書く」②

 光る君へ 32回「誰がために書く」についての感想は前回書きましたが。  本日は安倍晴明さんにフォーカスしてみたいと思います。  安倍晴明さんについてはまとめて語りたかったので。 安倍晴明という名前  安倍晴明という名前を知ったのは、荒俣宏さんの小説「帝都物語」であったか、それともそれ以外の本、小松和彦先生との共著とか対談とかだったかもしれない。  藤原不比等が日本史における「姿の見えない礎石」であるように(良くも悪くも、ですな)、安倍晴明もまた、日本の「スピリチュア

運命開花 :光る君へ 32回「誰がために書く」①

 光る君へ 32回「誰がために書く」  今回、個人的にはいちばん心惹かれたのは安倍晴明さんのことなんですが。  このかたについて語ると長くなりそうなので、後日、また稿を改めて書きたいと思います。  それ以外のことでいうと。  いろんなことが少しずつ動き始めたな、と。  まひろちゃんの原稿執筆と出仕。  まひろちゃんと道長さんの関係。  一条帝と彰子さんの関係。  別項としては公任さんの昇進(でいいかな? 位階が上がるのはまた別の言い方がありそう)。 【追記】昇叙という

いづれの御時にか: 光る君へ(31)「月の下で」

 いよいよ源氏物語の誕生ということで、ちょっとドキドキしましたね。  ソウルメイトと言われてきたまひろちゃんと道長さん、いよいよその意義や能力の、本領発揮の段へかかってまいりました。  前回までにまひろちゃんが書いていた「カササギ物語」、焼失したのは新たに書いていた分だけかと思ったら全編だったんですね……。なるほどそれはがっかり。  あらすじは覚えていたり、その後の構想もあったでしょうが、書き直すのも違うし、もういいや……という気持ちになるの、わかりますね。  何時間も

笑う女: 光る君へ 16回「花の影」感想

 大河ドラマ「光る君へ」16回「華の影」。  見終わったときに、華の影の「影」って、「影」というより「陰」または「翳り」なんだななるほどーと思いました。  影という言葉には形とか輪郭という意味があります(月影、面影、など)ので、最初は、今回は道隆さんち——中関白家の華やかな姿を描くのだなと思ってみていましたが——みなさまお待ちかねの「香炉峰の雪」ですね——後半へ向かうに従って、不吉の黒い影が濃く現れ始めたので、「なるほど」と。  清少納言の「枕草子」にはそういう苦しい事

直秀ロス: 「光る君へ」9話

「光る君へ」感想をまとめておこうと思い立ち、ブログから転載しています2024年5月5日エントリー  いくらか気持ちが落ち着いたところで、1日置いて「光る君へ」第9回について。  以下、思いっきりネタバレ状態で書きますので、未視聴なのでそれは困るという方、本日はここまで。  ということでよろしくお願いします。m(_ _)m 「鎌倉殿の13人」を思い出す、理不尽な展開でしたねえ。  まひろちゃんとも道長さんともいい感じでいてくれた、ドラマ中オリジナルキャラクター(完全に架

常夏に如くものぞなき: 光る君へ(7)おかしきことこそ

2024年2月19日 ブログエントリーより転載  さても「光る君へ」。  これ当分の間、月曜日は前日の大河ドラマの話をすることになると思います。興味ない。みてない、という方には申し訳ございません😅  昨日の7話で興味深かったのは「打毬(だきゅう)」というもの。  むかーーし読んだ何かの本では、「かつては宮中で行われていたが現代においては詳細不明」みたいな説明を読んだ記憶があるんですけど。  話が全然違っていて、地元のお祭りとして残っているところもあったんですね。  

文学の力: 光る君へ(29) 感想

「光る君へ」29回 「母として」  今回はわりと平穏な印象でしたが、それってわたしの感覚がおかしくなってない? とつい自分ツッコミ。  枕草子の誕生は言うに及ばず、なんといっても宣孝さんが急逝(ではないのかもしれないけれど、私どもからしたら急なことだった)しているし、倫子さんと明子さんはバチバチだし、伊周さんは呪詛三昧だし、女院さまは崩御あそばされ、主上は(無理もないですが)虚脱しているし。  ひとつひとつを拾ってみると相変わらず、どれも過酷なことばかり。  なのに、今