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常夏に如くものぞなき: 光る君へ(7)おかしきことこそ

2024年2月19日
ブログエントリーより転載


 さても「光る君へ」。

 これ当分の間、月曜日は前日の大河ドラマの話をすることになると思います。興味ない。みてない、という方には申し訳ございません😅

 昨日の7話で興味深かったのは「打毬(だきゅう)」というもの。

 むかーーし読んだ何かの本では、「かつては宮中で行われていたが現代においては詳細不明」みたいな説明を読んだ記憶があるんですけど。
 話が全然違っていて、地元のお祭りとして残っているところもあったんですね。

 宮内庁はわかるとして、番組でも紹介されました長者山新羅神社(青森県八戸市)と、豊烈神社(山形県山形市)で守られてきたそうです。
 すごいなあ。

 やはり馬が大事な競技なので、日本馬が現在も大事に飼育されているんですね。
 知らなかったなー。知ることができてよかった。
 大事に守っていきたいことですね。

 打毬についてはいくつか紹介記事がありました。


 紀元前6世紀のペルシャに発し(紀元前6世紀……お釈迦様より古い?)、例によってシルクロードを経て日本にも伝来。
 西に向かったものはイギリスでポロになり、本邦においては打毬として現在まで残っているということですね。

 ルールは、2チームに分かれ、馬に乗ってスティックでボールを掬い上げて放ち、ゴールして得点を競う、とのこと。
 人数は、今回のドラマでは4人でしたが、人数に決まりはなくて1チーム10人でやることもあったみたい。その場合は相当広い場所じゃないと危ないですねえ。

 馬術の鍛錬ともなるものなのでけっこう盛んに行われていたんですね。
 衣装は狩衣かと思ってましたが「水干」だそうです。あくまでもフォーマルウェアなんですね。なるほど。
 貴族さまも大変ですそれなりに。

 宮中の警戒にあたっていた時の道長さんも武官としての装束をバッチリ着込んでいました。
 盗賊を追いかけるなら馬を使えばいいのにと一瞬思ったけど、そういえば御所の中って乗馬していい場所が決まっている。
 帝の御寝所周辺の殿舎あたりでは乗馬はダメだったんだろうなあ。

 出仕するとなるとどんなに偉い人でも途中で馬や乗り物を降りて、相当の距離を歩かなければならなかったようです。
 老齢や病気のために徒歩で出勤できなくなり、それが理由で辞任します、ということは結構あったそうですから、盗賊捕縛のためであっても乗馬はできないわけですね(場所によるけど)。

 貴族というとなよやかに綺麗な衣装を着て和歌を読んでいたというイメージかもしれませんが、大臣の子息というような偉い人たちでも、武術にはそれなりに励んでいたようです。
 源氏物語でも、光る君、あれでスポーツ万能ですしね。

 この打毬の撮影は8月だったそうで、あのくそあっつい最中にあんな装束だったのかと思うと——しかしそんな暑そうなそぶりもなく映っているのを見ると、本当に俳優さんてすごいなと思いますね。

 ということでストーリー自体とはまた別に、知られていない日本の伝統行事の話を聞けて嬉しいことでした。

 これ、衣装や道具のことを詳細に聞いても絶対に飽きないと思う。
 もういくらでも語っていただきたい(笑)

 若い殿方のスポーツに興じる姿はそりゃもううっとりではございましょうが、姫さま方があんなにあけっぴろげで見物するかね? というご意見もお見かけしました。

 そうですねえ……見物席がどの程度の距離にあったかにもよるけど、でも、大抵は桟敷を作って御簾をかけて、姫さまはその中かな。
 で、御簾の下から綺麗な衣装の袖や裾が見える「出し衣」くらいか。

 でもそれだと、
「あ、まひろがいる……」
「三郎かっこいい……」
 ということになかなかならんので、まーいいじゃないですかそのへんは♡ (笑)

 あと、「雨夜の品定め」——野郎どもの話をうっかり聞いてしまい、激しく傷心し、せっかくの恋文も焼き捨ててしまったまひろちゃんがかわいそうでした。

 まあなんですね。男子会のトークなんぞも聞くもんじゃありませんやね。
 これは逆もまたしかりでございましてね。
 人間には「自分とは異なる立場にいる人を人間扱いしない」という、不思議かつ非情な傾向があるんですね。
 これが諸事差別ということにもつながっていくんですけども。

 異なる立場の人を人間扱いしないのは、男女いずれも同じです。

 もちろんそうではない人も大勢いますが。

 まして最上流の貴族の子弟なんていったらエリート中のエリートですから、そりゃもうねー。てめえらの血は何色だと言いたくなるくらい酷薄なのはある意味「当然」かもしれない。

 そんなことは考えていない道長さん(=エリートを笑いのネタにしている散楽が好き)の方が希少動物なのよ……とまひろちゃんには言ってあげたかったですね。
 そんな傷つききった目で、燃やす手紙の炎を見つめていないでくださいな😢と思わず涙した人は多かったでしょう。

 来週の展開がまたエライことになりそうで。
 7話終了の余韻に浸るまもなく次回予告を見て悶絶しているツイッターTLを見て、ちょっとニヤニヤしてしまいました。

 今年の大河はいろいろと視聴者を引っ掻き回してくれているところが楽しいです(笑)
(マゾじゃないです)


——咲きまじる 色はいづれと分かねども
     なほ常夏に しくものぞなき

(源氏物語・箒木)

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