#学校
【連作短編】|囁聞霧江《ささやききりえ 》は枯野を歩く②〜学び舎・ 前編〜
「皆さん、コンバンは~。今夜は廃校を探検したいと思いま〜す」
いかにも軽薄な間延びした声は、「俺は今、変なコトをしていますよ」という自己満足と欺瞞に満ちた演出に彩られていた。
「ちょっとカメラ止めてぇ!オネェさんも楽しそうな顔してくれないと!そういうのも視聴者に伝わるんだよ」やたらと大げさな身振り手振りで騒ぐ城ヶ崎慎吾に霧江は「はぁ」と、殆ど溜息の返事を返した。初夏の蒸し暑い夜、《聴き屋》である
【連作短編】|囁聞霧江《ささやききりえ 》は枯野を歩く②〜学び舎・後編
城ヶ崎慎吾は逃げている。
「あるはずない。そんなはずない」
彼は始めから"学校の七不思議、数えてみた"の企画を6番目の七不思議を本物に見せかけて、最後の1つを知ると死んでしまうから試せなかった。と演出するつもりだった。だが、実際は丁度よい最後の1つが決まらず、なしくずし的に設定したものだった。彼は《学校の七不思議などない》という妄想に取り憑かれていた。
「全部あなたの妄想だ。と言ったんです」