消費者を神格化しても信者化してもいけない。

今日は、ブランドと消費者のあるべき関係性について私なりに感じていることを書きたいと思います。

物がなかった時代は製品力や機能をベースに新製品が大量に投入され便利な世の中になりました。

そして次に来たのはマーケティングの時代。消費者志向という名の下、フォーカスグループインタビュー、デプスインタビュー、浸透調査などを駆使し、消費者をお客様としてお客様が欲しいものをインタラクティブな関係の下届けていく。

今はというと、各企業が自社の企業理念やミッション、企業の存在価値、社会への貢献などをビジョンにして、自社の強みと結びつけてブランディングしていく時代です。

分かりやすく言うと、経営コンサルタントよりクリエイティブディレクターが必要な時代です。

コスト削減や効率化ではなく、企業のあるべき姿、提供すべき価値をデザインしてブランド価値を高め、国内外に届けていく時代。

そこには、大が小に勝つのではなく、早いものが必ず勝つフェアな時代です。

そして、本題ですが、そんな中で消費者とブランドはどのような関係性が良いかというと、私は、友人と接する距離感が良いと思っています。

自分たちのものづくりは、誰かが欲しいから作るのではなく、自分たちのビジョン、強みをベースに友人である消費者が必要とするだろうと思う自分達の答えを納得するまで磨き上げて届けていく。

それは、お客様の言いなりで商品を開発したりカラーを出したり、いわば消費者を神格化したやり方はもう時代に合いません。

一方、言い難いですが消費者を信者化しているように感じるブランドもあります。そのブランドが出すものは正しい。商品の存在意義も分からないのにロゴを入れることでオリジナルとなるなど。。。ファンが納得しているのでそれについてはなにも言えません。

ただ、人はやはり誰しも弱いもので尊敬する人、信頼する人に全てを委ねたくなるものです。そこにつけ込んでいるやり方だけは、美しくない。。。消費者を信者化して囲い込むことはマーケティング的には正解かもしれませんが、企業の存在価値としてそれでいいのか?と疑問を持ってしまいます。

では、消費者を友人として捉えているとは、どういうことなのか。

自分の大切な友人に自分が考え抜いた最高の商品を届けたい。自分たちのブランドコンセプトに合致した、そして友人のことを思い時間と挑戦を繰り返した商品を届ける。とうことです。

・大切なことは、自分たちらしさからぶれることないものづくり。(プロダクトアウト)

・友人(消費者)のことを考え抜いたものづくり。(マーケットイン)

普段から現場で製品に向き合ってるから分かることを、友人のことを考え抜いて作り上げる商品。

マーケットインの発想を持ちながら、ブランドコンセプトに合ったプロダクトアウト。これが今、最も強烈なパワーを持った開発思想ではないかと思います。

マーケティングに毒されすぎて、ブランドイメージを毀損するプロモーションを散見することは本当に悲しい。ビジネスという側面を一旦置いて、自分達のあるべき姿は本当にそれなのか?と常に自問自答すべきです。

話が逸れましたが、友人との関係で重要なことは、常に自分らしいことです。“あいつはこういう所頑固だけど、あいつらしいな。こういうことはあいつに相談しよう”など一貫した自分らしさを築き上げることにより友人に常に必要な存在であることが他社との差別化という概念を進化させた、オンリーワンになる方法だと思います。

自分のブランドコンセプトや自分らしさに誇りをもち、友人への絶え間ない思いと一つ一つのプロダクトに向き合い完成形の美しい製品を友人に披露する。

このある意味フラットな関係性は、とてもシンプルで明快です。

必要なブランドであれば、常に消費者は選び続けてくれます。そしてそれは神格化する必要もなければ、囲い込むような信者化をする必要もない。なんだったら値引きもプロモーションも必要がない。

自分達のブランドに誇りを持ち、絶え間ない努力は消費者の琴線に触れ、消費者がそのブランドを自分の生活に取り入れ、そしてその友人に伝わっていく。

私たちはNISHIGUCHI KUTSUSHITAをはじめ三つのブランドを展開していますが、どのブランドも消費者を友人と思っており、その友人に必要な存在であり続ける努力をしています。

自分たちから消費者にプロモーションなどで近づくこともなく、常にフラットに選ばれるよう努力する。

これが、今あるべきブランドの姿であり、消費者とブランドの関係性じゃないかなぁと思っています。

今、あなたが行っているコラボや値引きは本当にあなたのブランドらしい姿、あるべき姿ですか?

地場産業が次世代に価値を提供する方法はやはりこれしかないと思います。日本の各地で芯を食った、個性と頑固さが感じるブランドがどんどん出てくればと思っています。

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