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誰がために管理会計は或る

管理会計は誰のためのものでしょうか?


制度会計は税務署や金融機関のためにあることは前回お伝えしました。表現を変える(少し難しい言葉を使う)とステークホルダー、社外の利害関係者のためにあるのが制度会計です。

なぜなら、彼らは比較可能性を必要とするからです。


一方、管理会計は経営者のためにあると言われています。もう少し範囲を広げて、管理会計は経営陣のためにあるとも言えます。

なぜなら、会社を強くする(業績改善)ことを目的とした会計制度が管理会計だからです。会社の最終責任者は経営者、経営陣なので、管理会計は彼らのためにあるということは何の不思議ではありません。


でも、本当に管理会計は経営者、経営陣のためにあるのでしょうか?

管理会計のツールの一つに部門別損益計算書があります。全社損益計算書ではあまりにも規模が大きい(会社全体)ので、全社損益計算書をブレークダウンしたものが部門別損益計算書です。

部門別に拘らず、例えば、複数店舗がある会社さんは店舗別損益計算書と考えてください。あるいは、課別損益計算書、係別損益計算書というのを仮定してもらっても構いません。

これらの損益計算書は、全てブレークダウンを目的としています。

「全社では規模が大き過ぎるためにブレークダウン」をするのが部門別損益計算書です。

では、「規模が大き過ぎる」ことの弊害は何でしょうか?

それは、社員さん一人一人が自分事と捉えることが出来ないことです。

社員さんが100人いる会社さんの損益計算書があるとします。仮に全員が営業さんだとすると、全社損益計算書の数字に占める自分の貢献割合は1%(1/100)です。

でも、100人を5人づつに分けて損益計算書を作れば、その損益計算書に占める自分の貢献割合は20%(1/5)になります。

自分の貢献割合が1%と20%の場合、どちらが自分事と捉えることができるでしょうか?

それは、20%でしょう!

社員さん一人一人が自分事と捉える、つまり、会計を使って社員さんを動かすことが管理会計なのです。

重要なので繰り返します。

会計を使って社員さんを動かすことが管理会計なのです。


もちろん、最終的には管理会計は経営者、経営陣のためにあるということは間違いではありません。

でも、ぜひ、積極的に「管理会計は社員さん一人一人が自分事と捉える」ためにある、「会計を使って社員さんを動かすことが管理会計」であると考えてください。

社員さん一人一人の行動が変わることでしか、会社は強くなりません。


なお、この考え方で経営に取り組んできたのが京セラ㈱です。京セラ㈱は昔からアメーバ経営という手法を取り入れてきました。このアメーバ経営こそ管理会計なのです。

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京セラ㈱は稲盛和夫さんが起こした会社です。そして、稲盛さんは経営破たんしたJAL再生のためにもアメーバ経営を取り入れ、V字回復を果たされました。

管理会計に興味を持たれた方がいれば、ぜひ、稲盛名誉会長(私は京セラ㈱出身で、いまだに、名誉会長と呼ばせていただいております)の「アメーバ経営 日本経済新聞社」を読んでもらえればと思います。

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15年ほど前(2006年9月)に出版された書籍(アメーバ経営自体はもっともっと古くからあります)ですが、私はいまだに税理士として読み返すことがあります。そして、顧問先を強くするためにこの書籍からヒントを得ています。

「字」も大きい(単行本の場合)ので、読むのにあまり時間もかかりませんよ!

文庫本も出版されています。


それでは、今回はここまでで(*- -)(*_ _)ペコリ

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