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読書感想文 夏への扉

こんにちは、かなめです。

今日は「夏への扉」(著:ロバート・A・ハインライン 早川書房)の感想文です。ネタバレは自己責任でお願いします。




作者のロバート・A・ハインラインはSF三大巨匠のひとりと言われています。もう一人のアーサー・C・クラークの方は結構読んでいるのですが、ハインラインを読むのは初めてでした。映画化されるとのことなのでさっそくチェック。

読んでからだいぶ経って感想文書いてるのでぼやぼやしてるのは気付かないフリしてください…。


あらすじ


家事代行ロボットの発明で友人と会社を経営していた技術者デイヴィス。商品の売上も順調というとき、ともに会社を興したマイルズと婚約者ベルに会社から追い出されてしまいます。失意の中彼は「冷凍睡眠(コールドスリープ)」の広告を目にし、マイルズとベルに復讐心を抱きながら飼い猫ピートと共に30年の眠りにつくのでした。

感想


普段SFといえばクラークばかり読んでいるので、前半のマイルズ&ベルとの口論はちょっと退屈でした。というのも、クラークは人間関係のもつれをあまり深く書かず、私もそこの描写を求めてないからだと思います。とはいえ彼の技術者としてのプライドとベル達への復讐(ぎゃふんと言わせたい)心が書かれる大事なパートですし、はずせないでしょう。デイヴィスの性格もスカッと爽やかではなく偏屈な感じも技術者っぽくて(偏見)いかにもでした。
コールドスリープというと最近三体を読んだので、コールドスリープの技術よりも睡眠中の財産がどうなるか、という問題に注目して読んでいました。三体では利息が有効で大金持ちになっていましたが、本作では一文無しになっていましたね。サポートはあったけど。コールドスリープもののSFを読んで睡眠中の財産についてどうするのかを比較するのもいいかも。

30年後の世界の描写は思ったより簡素というか未来に来たわくわく感が少なかったように思います。デイヴィスの心がベルやリッキィに向いたからかな。ただ、人型ロボットが簡単な業務を行うというのはゆくゆく本当にありそうですよね。SiriやGoogleアシスタントみたいに音声認識も発達しているので、ハードが発達すればSFの世界が再現できるかも。夢が膨らむ。

トウィッチェル博士のタイムマシーンは未来に行くか過去に行くかわからない、という未完成な感じがいいですね。これが完成されたタイムマシンで何のリスクもなければ後半のハラハラ感がなくなっていたと思います。未来に飛ばされてたらどうすんだ、とも思いましたが。そして過去に戻ってから怒涛の伏線回収、スピード感がたまらないですね。前半はデイヴィス、マイルズ、ベルの3人、後半はデイヴィス、ジョン、ジェニイの3人の関係性が対比になっているのもいいですね。そして最後はリッキィと幸せに暮らすというハッピーエンドで終わってすごくすっきりしました。リッキィを迎えに行くこともピートも一緒に過ごせるのも大団円でよかったですね。


やはり名作と言われるだけあって、技術面も人間ドラマも古典とは思えない面白さがありました。これを現代で、日本人が主役で映画化するとどういうテイストになるのでしょうか。居酒屋で猫にオレンジジュース飲ませるとか?頼むから猫が人語でしゃべるのはやめてほしい。日本版にアレンジした映画も楽しみです。


それでは、よい1日を。



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