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俺・ザ・トイデストロイヤー

映画マリオ見て、まんまとおっさんホイホイに絡め取られました。イースターエッグの詰め込みっぷりがエグくて歓喜。楽しい楽しいマリオワールド。なのになんか切ないような、泣きたい気持ちになってしまうのがまさにおっさん丸出しです。という訳で20年ぶりにマリオ描いてみました。やー懐い。

キャッチーなマリオネタと見せかけて、しかし残念ながら今回も前回に引き続き、ねちっこくてウザい「ひとりテックトーク」です。だって毎日テックニュースが出てくるし、その度に色々と考えてしまうんですよ。

好奇心は猫を殺す

さて、任天堂アゲ話はこれまで何度か書いた気がします。チャレンジ精神とデザイン精神の権化・任天堂。その根幹にあるのは「好奇心」であるように思います。「ここを登ると何があるだろう」「このボタンを押すと何が起こるんだろう」「これとこれを組み合わせたらどうなるだろう」。そんな好奇心をくすぐってくるのが任天堂エンタメの真髄です。まさにゼルダ・ティアキンそのまんまですね。ゲーミフィケーションによるドーパミン制御のお手本です。で、それで思い出したのが、構造主義でおなじみ僕の推し哲(学者)、レヴィ・ストロースです。彼の著書「野生の思考」で「ブリコラージュ」という言葉が出てきますが、これがまさに「好奇心による組み合わせ」であり、それが知性の源泉であるとされています。既にある物を組み合わせて新しい別の何かを生み出す。そういえば、ブレスオブワイルド(野生の息吹)も語感が似てるし、もしやインスパイアされてるのかも。

「あれやこれやが組み合わさって、こんがらがって影響し合った挙句、予想もしなかった結果をもたらす」みたいなのを「創発」といいます。一つ一つは単純な挙動なのに、数千億組み合わさる事で全く異なる挙動を生じる。細胞活動も社会活動もコンピュータープログラムも、元を辿ればみんな単純な素子活動の集合です。このこんがらがった部分を正確に把握できないため、「偶然」とか「たまたま」とかで片付けられたりしますが、正確には「バタフライエフェクト超絶複雑バージョン」です。そして人間の創発活動の原動力になりがちなのが好奇心です。

好奇心は誰でも持っていますが、世の中にはスーパー好奇心を持つ人々がいます。興味を持ったものを深掘りし続けるので、オタクとか学者とかになりがちな若干イタい人達です。で、そのタイプを判別する方法が発見されたようです。「子供の頃、コンセントのソケットになんか突っ込んだ事ある人」がそうらしい。親から「バチクソ危ないから絶対やっちゃダメ」と念押しされてて、一応理解はしてるんだけど、「一体どんな事が起こるんだろう」という好奇心をどうしても抑えられずに物を突っ込んじゃう子供。まさに自らを殺しかねない好奇心ですが、意外と学者の素質アリかもしれません。知らんけど。ちなみに同様のネタで「子供の頃、おもちゃを分解した事ある人」というものもあります。

これ、僕は子供の頃両方やりました。まあ1回やってしまえばもう興味は失せて二度とやる事は無いんですが、遊び飽きたおもちゃは相当数分解orぶっ壊してきました。内部構造がどうなってるのか、気になっちゃうんですよね。まさに俺・ザ・トイデストロイヤーです。これがサスペンス小説なら完全に猟奇殺人鬼ですわ。そういや昔「Heroes」ってドラマで、サイラーっていう時計職人の殺人鬼が、被害者のチクタク音を聞きながら分解・構造理解して、その人の能力を奪う、みたいなのやってました。若干共感(ヤバい)。他の人にどうだったか聞いてみると、殆どの人は「えーそんな事しないよー」って言うんですが、結構ちょいちょいデストロイヤー仲間に出会います。ニューロ・ダイバーシティってやつですねー(謎)。

異次元突入するトランスフォーマー

好奇心、ブリコラージュ、創発に触れたところで、ここから唐突にまたAI話になります。

今を賑わすChatGPTStableDefusionなどの根幹をなす仕組み、トランスフォーマー・アーキテクトは、元々は言語翻訳のために生み出された「注目」に特化したアルゴリズムです。各単語を数値ベクトル化し、単語同士の関係性に注目・計算して、もっとも理論値の高い予測候補を繋いでいく。ところがこのアルゴリズムが、実は画像認識・抽出や、あらゆる分野に応用・合成可能であるという事実が発覚し、昨今の唐突な全方位AI大躍進に繋がっていく訳です。元々ニューラルネットワークは、人間の脳細胞ニューロン発火を模したアーキテクトなので、ベクトル化自体、実際僕らの脳で起こっている可能性もあります。ニューロンくんスゲー。

トランスフォーマーは基本的には言語翻訳プログラムです。日本語だろうが英語だろうが、理論上は何語だって翻訳可能です。もっと言えば、人間の言語に留まらず、コンピュータ言語への翻訳も可能です(それをやっているのがプログラマーという職業です)。更にこれらを応用して、画像や音楽であろうが、その中のデータ間の法則性を見出して、関係値の高いものを繋げて翻訳結果を生成できる事がわかった訳です。つまり「AIは何段階もの翻訳を繰り返しているだけ」という風にも言えます。そもそもあらゆる生命は「物質の混合・変換をやってるだけ」とも言える訳で、「自己保存という自立目的」と「肉体性という制約」以外は、生命に近付きつつあるのかも。

さて、これについて「対話型AIは(人間とは異なるプロセスで)言語を理解している」という言い方もできますが、むしろ言語の奥にある「意味空間における法則性」に注目して理解しているという見解があります。つまり僕ら自身も認識していない「高次元情報を観測している」という胸熱解釈。やだ、なんかいきなりカッコイイ。セグメントをベクトル化した時点で、それが「何であるか」という定義から「何を意味するか」に変換されます。その意味の関係性にのみ注目すれば、セグメントの定義が言語だろうがプログラムだろうが、絵だろう音だろうが関係無いのです。意味だけが存在する空間、AIはその概念的次元で翻訳した後、その結果を4次元世界の定義に変換し直して出力する訳ですね。もしやそれは実はもう宇宙定理に触れているのかもしれません。AI生成萌えキャラかわいい〜とか言ってるのは、まさに異次元の可愛さという訳です。「異次元の少子化対策」とかとは次元の違う話です(ややこしい)。

知性の歴史

ともかく、トランスフォーマーは異次元への扉を開いた可能性すらあるという事なんですが、そこに至った道程をざっくり振り返ってみます。

地球誕生 45億年前
哺乳類誕生 2.3億年前
原始/20万年前〜 人類(知性)の誕生
(その間19.5万年)
古代/紀元前5000年〜 文明の誕生 アミニズムとかギリシャ哲学とか
(その間6000年)
中世/1100年〜 国家、封建、宗教、戦国の時代
(その間500年)
産業革命・フランス革命/1800年代初頭〜 エンジン機械時代突入で生活洋式激変。
(その間150年)
近代/1950年〜 ポスト世界大戦時代の資本主義で生活洋式激変。世界人口爆発。
(その間40年)
IT革命/1990年台〜 PCとインターネットの登場で生活様式激変。
(その間17年)
iPhone/2007年〜 スマホの登場で生活様式激変。
(その間5年)
AI元年/2012年〜 2045シンギュラリティ理論登場。
(その間5年)
GoogleTransformer/2017年〜 ニューラルネットワーク&ディープラーニング。
(その間5年)
GPT3、StableDefusion/2022年〜 やべえシンギュラリティまじで来そう。←イマココ

人類の知性の進化を改めて振り返ると加速度がやべえ。近代化以降だけでもたった70年。うちのお母んが生きてる間だけで世界完全豹変。その前まで7000年間ウダウダやってたのにいきなり100倍速。対応しろって方が無理ゲーですわ。

先に言葉あり

この世の万物は素粒子で構成されています。粒子とはエネルギーであり、それはベクトルであり重ね合わせであり点であり紐であり波である。ごめんちょっと何言ってるかわからない。更に、それらは質量や座標や速度などの「情報」として規定されます。つまり宇宙は情報である。ということは、理論的にはバイナリ計算式としてシミュレーション可能である、というかこの宇宙自体がシミュレーション空間である、というシミュレーション仮説が成り立つ訳です。そしてそれを観測するにはこの四次元世界の外側、5+次元の存在が必須であり、加えて言えば、この「概念上の次元」は無限であり無数に存在する。もはやさっぱりわからない

例えば「メタヴァース」だってある意味では新しい次元であると言えなくもないです。最近のゲームはゲーム内物理法則を内蔵してるし、ChatGPT内蔵NPCが繰り広げるSIMS的ゲームが既に走っています。メタの外次元にいる僕らが観測・関与できるプチ・次元シミュレーション。メタヴァースがゲームから始まったのは規定路線ですが、実はゼルダもFF14もメタどころか異次元空間だったなんて。それをスケールシフトして考えると、僕らのこの世界がシミュレーションだというのも、あながちあり得なくもないのかも。

こういうややこしい話を、人間は言語的に思考し理解します。そうやって情報を整理・蓄積・伝達・継承して進化してきた生物です。その過程で生み出された大規模言語モデルAIが一人歩きを始め、知性に到達しつつある中、人間自身は肉体的進化を止め、身体拡張や環境的進化の段階に入りました。それは有機生物を超えていく段階であり、いずれ肉体を捨てた情報体に変換して高次元に進出していくのだと。そしてそれこそがこの四次元宇宙シミュレーションの目的であったのだ!とかいう「水星の魔女」ですら舌を巻くSF展開。もう厨二過ぎてトキメキが止まらない

久々アップルさん動く

さて、任天堂と並ぶ好奇心チャレンジャーの一角、それがアップルです。ここ最近ずっと大人しくてパッとしなかったアップルさんも、ついに動きを見せました。自社発表会でワンモアシング、「AppleVision」公開しましたね。次の一手は「空間コンピューティング」だそうです。これも積み重ねと組み合わせの結晶。そして人類未到の領域にまた一歩踏み出す。チャレンジング〜。世界中がAI大騒動してる中で空気を読まずMRヘッドマウントディスプレイとか、相変わらずお構い無しで我が道を行く感じが良いです。アップルウォッチのような補助モニタ的アップルグラスではなく、「専用OS搭載の独立コンピューター」というコンセプトでモニタ・キーボード・マウスというPCのあり方自体を崩しにいく。いいですねー。やはりチャレンジャーはそうでなくては。任天堂同様、失敗経験もたくさん持つアップルですが、今回はどうですかね。WiiとなるかVirtualBoyとなるか。まあVRは既定路線ではあるので驚きは少ないながら、久々ワクワク度は高いです。そしてこれがいずれAIやメタヴァースと合流するのも規定路線。次の時代ではオフィスからPCも消えるのかな。つーかオフィス自体消えるかも。潮流は止められない。更に僕らはビッグウェーブにただ流されていくのみ。

まとめ

AIとUnreal5を使って2〜3人で作ったAAA級コンテンツが毎日じゃんじゃん供給され、それらにVRダイブしてメタヴァース交流する。まじで10年後は、もうずっとバーチャル世界で廃人になってそうです。四畳半こども部屋宇宙で目指せバチャ充マトリックスでは人間は電池になってましたが、「脳反応が生成するデータや意味エネルギー」をAIに食わすための存在になっていくのか。「完全合理世界の中に不協ノイズやゆらぎを生み出すのが人間の役割」とか言ってる学者さんもいましたが、そういう感じになっていくんですかね。

まああちこちに飛びまくった話を無理やりまとめると、好奇心を止められない人類が、おもちゃを壊しまくって、VRゼルダで創発してたら、気づけば別次元空間に突入してた、っていうのが今の現実世界なのかもなー…とかボーっと考えたよって話です。SFじゃなくて、もう既に起き始めていますよ





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いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨