病理学講義3) 「循環障害」 〜リンパ マッサージは、なぜ小顔になるのか?〜
N医専へようこそ、TERUです
よく、「リンパマッサージで小顔に!」なんて、広告を目にしますが、「なんで小顔になるの? そもそもリンパって何?」と疑問に思う学生さんもいらっしゃるでしょう
循環系といったら、動脈、静脈はすぐ思い付くけど、リンパ管は忘れがちでは?
でも、大切な役割をしてるんです
どんな役目があるのか?
この講義を最後まで読んでいただければわかっちゃいます!
病理学講義2)でお話しした、疾患の成り立ち、5つのうちのひとつ、「循環障害」、スタートです
まず生理学の復習から
循環系には、体内環境のホメオスタシス(外界の変化に対し生体内の環境を安定した状態に保とうとする仕組み)を維持する働きがあります
体内では、生命活動のために、様々な物質の代謝が行なわれ、体温、pH、浸透圧なども一定の幅に保たれているわけです
この章では、おおまかに、
血液の循環は、組織に、酸素や栄養を供給し、二酸化炭素や老廃物を回収する役割を担っていると理解しておきましょう
循環系は大きく、血液循環と、リンパ循環に分けられます
血液循環は、体循環、肺循環、門脈循環に分けられます
動脈(赤)、静脈(青)、リンパ管(緑)を模式的に描いてみます
*図の原板は、マガジンの「教材係」を参照ください
リンパ循環について
リンパ循環は、毛細血管から静脈系に回収されなかった体液(細胞間質液)が、リンパ管に入り、鎖骨近くの静脈角で鎖骨下静脈に流入します、このように、リンパ循環は、体液回収で静脈のバックアップとして働いています
心臓に戻る体液の90%が静脈、10%がリンパ管を通るといわれています
動脈は、心臓のポンプの力(いわゆる血圧で、140〜80mmHg)で送り出されます
そして細動脈に枝分かれし、毛細血管では、圧はおよそ15mmHg程度まで低下します
そして、末梢の静脈圧は、心臓との位置関係に影響され、体位によって大きく変動します
例えば、立っていると足底では、静脈圧はおよそ70mmHg程ありますが、座位では、心臓に近くなるため約半分となり、寝た状態では、足と心臓の高さが同じになるため、ほぼ0mmHgになります
これほど体位に影響される静脈血が、心臓へ戻るためには、①筋肉の収縮による後押しが、かなり大きな役割をはたしています
他にも、②静脈内に、逆流防止弁が付いていたり、③副側血行路が発達している構造になっているなど工夫されています
そして、④リンパ管もバックアップとして重要な働きをしているというわけです
浮腫とは
このように、心臓から送り出された血液は、末梢の組織から心臓に戻るのに、なかなか苦労しているのが分かります
なので、静脈側では容易に渋滞を起こし易く、
末梢の組織で細胞と細胞の間(細胞間質、サードスペースといったりします)、あるいは細胞内に、血管から漏れた体液が増えると、むくみ(浮腫)となるのです
皆さんも、1日中、授業で座った状態でいると、午後になると足がむくんできませか?
休み時間は少しでも歩くようにしましょう
先にも述べたように、足の筋肉の収縮は、静脈の循環に大きく関与しています、だから「ふくらはぎは第二の心臓」と呼ばれたりするのです
運動麻痺のある方の、麻痺側の手足がむくみ易い理由のひとつでもあります
リンパマッサージは、なぜ小顔になるのか?
細胞と細胞の間隙(細胞間質、サードスペース)つまり、血管の外にある体液を、マッサージで、リンパ管を使って、再び血管内にもどすのが、リンパマッサージでしょう、
顔から頸部、鎖骨の静脈角へ、リンパの流れに沿ってマッサージをするのは確かに理にかなっています
効果の程度はわかりませんが、頸部のリンパ循環が良くなると、頭部の浮腫が軽減し、小顔効果につながるのでしょう
さて、浮腫の本体である、間質液、細胞内液の貯留する原因は、
実は、リンパや、静脈の流れが滞るだけではありません
さらに、浮腫の原因を勉強していきましょう!
次回は、「浮腫の原因4つ」についてお話しします
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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